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第52話 扉の前で

 しばらくして、小雪は帰ってきた。そのまますぐベッドに横になっていた。やっぱり疲れていたんだろうな、と苦笑しつつ、布団をかけてやる。

 外はもう日も落ちて真っ暗だ。ただ、夕食を食べていないため空腹気味だ。小雪は外で食べてきたのかもしれないな。そんなことを考えつつ、僕は椅子に腰を下ろす。

 流石に小雪を一人残して外には出られない。魔法袋にも食料は入っていない。今後は食料も入れておいたほうがいいだろうなと心の中で決心する。

 にしても、小雪って色々とおかしいよな。ずっと捕らわれていたにも拘らず、あの戦闘力。あの力を数年程度で独学で身に着けられないことくらいは僕にも分かる。どこかで学ぶことくらいはしていると思うんだよな。前に話していた過去の中にはそんな話は出てこなかった。単純にセンスがずば抜けていただけかもしれないがそうれは考えにくいだろう。

 他にもある。この世界で生きている割には優しすぎるのだ。悪人でなければ虫も殺せない性格ではあるだろう。そんなことをいちいち考えていたら生きていけないような世界であることには間違いない。先にもいったが、こんな環境で、あの戦闘力を身に着けていることがおかしいのだ。

 だったら小雪は何なのだろう。どこから来たのだろう。

 そんなことを考えているうちに僕の意識は遠のいて眠りにつくのだった。

 どこから、という疑問が出てきたことに違和感がなかったことが答えに近いものだとは僕は気づいていなかった。



〈とある扉の前〉


「にしても、あっさりといきましたね」


「そうだな。もう少し骨のあるやつがいてほしかったもんだ」


 二人の男がそこで話し合っていた。一人は刹那らが村で遭遇した男である。


「何々?次はこっちの世界でやるの?」


 その中に一人の女が入り込んでくる。その顔には笑みが浮かんでいた。


「あぁ、そうだ。少し、俺でも気づけなかったことがあったもんでな」


「あっそ。ねぇ、私の獲物は壊しちゃってもいいよぇ?」


 男の言ったことなどどうでもよいことのようで、女はそんなことを聞いている。


「あぁ、かまわねぇよ。どうせ殺すことになるんだ」


 男は女の態度にはもう慣れているのか、気に留めた様子はなかった。


「ふふ。楽しみねぇ。次の獲物はどんな声で鳴いてくれるんだろ」


 抑えきれない笑みをこぼしながら女はそう呟いた。


「遊ぶのは好きにすればいいが、しくじるなよ」


「はいはい。分かってるわよ。何度も何度も毎回毎回しつこいっての」


 興が冷めたようで、女の顔には笑みはなく不機嫌そうな表情を浮かべていた。


「だったら頼んだぞ」


「任せなさい。完全に私のおもちゃにしてあげるんだから」


 そう言って、再度薄っすらと笑みを浮かべる女。


「あぁ、そうだ。一人お前の能力が通用しない奴がいるみたいだ。注意しろよ」


「ふぅん。だったらそいつに用事はないわ。おもちゃになりそうなやつだけにする」


 そう言うと、その女の笑みは消える。


「お前の相手の能力を封じる力は強いが過信するなよ」


「私はそれだけじゃないっての。私の世界では私が主役だからね」


 そう言って、女はくるりと一回転する。


「そいえばさ、あんたの狙いっていうのはその能力が効かないってやつなの」


 先ほどは興味もなさそうであったのに、突然女はそんなことを言った。


「あぁ。あいつはそもそも能力の『本質』が違う」


 男はそれを特に気にすることもなくそう返す。


「『本質』?それってどういうこと?」


「そうだな、格が違うと言えばいいか。お前の能力無効という面も通じないだろう」


「元は一緒なんでしょ。格って何よ」


 少しイラついた様子で女は言った。短気なのだろう。


「元に近い能力ということだ」


「元って⋯⋯はぁ、話すつもりはないってことね」


 口を開いたとたんに男は女をにらみつける。


「分かったわ。私はその仲間を潰せばいいわけね」


「そうだ。あいつらを別れさせるのは俺がやる」


「了解。もう一度確認するけど、壊していいのよね」


 女は再度そう確認する。


「あぁ。好きにしろ」


 今回は男が余計なことを言うことはなかった。

 女はそれだけ確認して、その場を去って行った。




〈side刹那〉


 僕は二度寝をしたい欲求を押さえつつ目を覚ます。顔に水をかけて無理やりに頭をさえさせる。さすがに椅子に座ったまま寝ても疲れは取れなかったようだ。

 そこで僕は忘れていた空腹に気付く。夕食を抜いたのだ。かなり空腹状態ではある。

 小雪が起きるのを待つか、そう考え僕は再度椅子に腰を下ろす。

 何も警戒せずに眠る小雪に危機感がないなと感じつつ、僕は起きるのを待っていた。

 小雪はかなり、というかとんでもなく美少女だ。そして、僕は男だ。そんな中で熟睡するなんて本当に危ないと思う。しかも出会ってからそこまで時間がたっているわけでもないので、信頼はそこまで寄せられていないだろう。

 じっと小雪の顔を見ていると、頬を突っつきたくなる。もちろんそんなことはできないのだが⋯⋯。万が一、目が覚めたら半殺しにされる。

 実際は真っ赤になって慌てるのだが、そんなことは全く予想していなかった。

 僕は小雪の寝顔をのんびりと見ながら目が覚めるのを待つのだった。


なんだか小雪が小動物みたいに見えてきた⋯⋯。

後、一人称でのもし、何々だったらっていう描写難しい⋯⋯。

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