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第5話 能力覚醒!?

 目の前には巨大な鳥のような魔物がいた。あの、僕を殺しかけた獣よりもはるかに強いだろう。

しかし、僕は冷静だった。こんな奴と戦った記憶があるわけではない。つまり、なぜ冷静でいられるのか自分でもわからないのだ。魔法を使えるようになって、無意識にうぬぼれているのかもしれない。

そうだとしても、緊張感がないわけではない。

ゆえに、戦うのにベストコンディション、というわけだ。そして僕は、ナイフを浮かべているミナに当たらないように炎の球を放っていく。しかしミナのナイフも、僕の火球も相手の皮膚にはじかれる。

このまま攻撃しても、ダメージを与えるに至らないだろう。それを感じ取ったのかミナは攻撃の手を止め、こちらに近づいてくる。

「このまま攻撃しても埒が明かない。最大の大きさで、最高の切れ味の刃物を作るから、時間稼いで」

そう言ってミナは、大きな剣を作っていく。まだ返事をしていないんだけどなぁ。


「ああ、わかった」


 そして僕は、火球を連射していく。それにミナは驚いたような表情を浮かべるも、すぐに、剣の作成へ意識を切り替える。ともかく、ロックバードの意識を向けさせることには成功し、ミナを狙った攻撃から、僕を狙っての攻撃へと切り替えた。体当たりや石を口から放出して攻撃してくるが、何とかよける。正直かなりぎりぎりだ。ステータスが低いから当然なのだが。よけきれない攻撃は火球で相殺していくが相殺できるのは小さな岩だけで、すべてを相殺できるわけではない。ゆえに大きな岩に対しては躱すか火球の連射で相殺するしかない。しかし、連射中はそこに意識を持っていかれるのでそこを突かれたら終わりだ。まだロックバードはそれに気づいていないが時間の問題だろう。それに、魔法の連射は体力への負担が大きく、長期戦には向かない。時間稼ぎには問題ないのだが。そして、何とかミナが剣を完成させるまで耐えることができたらしい。後ろから、


「伏せて!」


と声がし、言われた通りにしゃがむ。瞬間、頭上を剣が通り抜けていった。剣はロックバードに刺突しロックバードは苦しそうな叫び声をあげた。しかし、それは痛みによる叫び声で、ダメージは与えられたみたいだが致命傷を受けたわけではないみたいだ。現に、ロックバードは飛び回っている。そして、痛みも落ち着いてきたのか、一瞬動きを止めると上空へと飛び上がった。おそらく、上空へ避難し上から岩を投げつけよう(吐き出す?)という魂胆なのだろう。それは、僕らに対しての有効打だ。魔法の威力がもっと高ければ何とかなるかもしれないが、ダメージを与えられる攻撃が、先ほどのミナの剣だけである以上、それが届かない上空へ逃げられたらどうしようもない。詰みだ。だからといって殺されるわけにもいかない。ここで諦めたら死以外の結果はない。ミナもそれはわかっているのだろう。一瞬、顔をしかめた後、もう一本剣を作り始める。上空からの攻撃になった分ロックバードの攻撃は、見やすくなっている。その影響で、回避しやすくなっている。とはいえ、このままではジリ貧だ。上空へ届く有効打がない以上どうしようもないのだが。


「できた!伏せて!」


と言うミナの声が聞こえてきた。反射的に僕は伏せる。そして、頭上を影が通り過ぎていく。その影が、通り過ぎて、僕は顔を上げ、ロックバードのほうへ目を向ける。しかし、ロックバードのほうへと飛んでいく剣には、先ほどより勢いがない。遠すぎたため勢いがそがれてしまったのだろう。あの勢いでは、ロックバードにとっては、風と同じようなものだろう。突き刺さることはないと考えているのだろう。それは事実で、傷を負わせることはできないだろうし、負わされてもかすり傷程度だろう。もっと速ければ、可能性はあるだろう。そう思ったとき、なぜか『もっと早く』という言葉が脳裏をよぎった。瞬間、僕は叫んでいた。


「加速!対象、剣の運動エネルギー!」


 瞬間、剣のスピードが増す。ロックバードも驚いたような、反応をするが、すぐ回避行動をとる。しかし、遅い。ミナが剣を投擲した瞬間に、回避行動をしていれば躱されていただろう。そして、ロックバードに刺突する。次の瞬間、ロックバードを剣が貫通する。


「はぁ⁉」


あの剣でも貫通まではできなかったのに、加速した剣は貫通した。そして、今もなお加速し続けている。ん?どうやって止めんの?


「早く止めて!あの剣を!」


ミナが叫ぶ声が聞こえる。止めろって言われてもなぁ。止め方がわかんない以上どうしようもない。一応、『止まれ』と念じてみる。瞬間、加速していた剣が減速していく。

そして、最終的に剣が落下していく。そして、しばらくの時間、僕らは茫然としていた。その沈黙を破って、ミナは口が開く。


「勝、った?」


そして、僕にもその実感がわいてきた。


「と、とりあえず、討伐証明のために解体しよっか」


そう言って、ミナはナイフを取り出すのだった。

そんなかっこよくなんなかった⋯⋯。

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