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第43話 刹那 過去3

〈side刹那―過去―〉

 そして、僕はその組織の前にまでやってきた。それは一見、工場のようで、これが危険な組織の一拠点のようには見えない。今までも気づかなかっただけで、こんな場所はいくつもあったのかもしれない。少しやるせないような気持になる。

 あらかじめ、内部の様子は調べてあり、一番警備が手薄になるタイミングを見計らって侵入する。実際、すぐ警備員は集まってくるためあまり意味はないのだが⋯⋯。ナイフをもって襲い掛かってくる相手を、切りつけて、飛び交う銃弾を能力で反応速度を上げて回避する。使い続けると体に負荷がかかりすぎるので休み休みに。

 そのまま、内部へと侵入し、まずは捕らえられた能力者の解放。人質に取られると危険であるためだ。

 檻を手当たり次第に破壊していく。破壊していく中も、襲い掛かってくる奴らもいる。そいつを軽くあしらいつつ、進めていく。その中で、特徴的な透明な髪色を持つ少女もいたが、まあそれは置いておく。

 そのまま、何事もなく救出は完了する。ついでに言うと、救出しているときに襲い掛かってきた人間の中にトップもいたらしい。トップの人間が襲撃に加わるとか馬鹿なのかな?

 軽く一息ついて、進んでいく。今回の任務では、組織の崩壊が目的。何をするのかというと、単純にこの工場の破壊になる。とはいえ、この工場を燃やすなどしてしまうと周りにも被害が出る。さらに、何かうわさが広がる可能性もある。そうなると、工場内の機械の破壊が一番妥当なところか⋯⋯。ただ、能力者を労働させている分、運営はかなり厳しくなると思われるが⋯⋯。

 ひとまず、工場の制御室へと侵入。そのまま、制御基板を破壊し、能力を発動させて、一気に駆け出す。うまく能力の作用方向を切り替え、壁に当たらないように進んでいく。そのまま、工場から脱出。数十分ほど待っては見たが、特に爆発などは起こることはなかった。


 僕はその後、組織へと戻って行った。捕らわれていた能力者は、裏に控えていたであろう組織の人間が回収していった。もちろんこちら側の人間であることは確認済みだ。


「なるほどな。あの工場は、組織の収入源の一つだったわけか⋯⋯。で、どこから能力者を集めたのかは不明と⋯⋯。あらかじめ、証拠は隠滅しておいたのか⋯⋯」


 僕は今回の任務で分かった内容を報告していた。報告内容としては、そこまで不思議なものではない。強いて言えば、いくつかの拠点を持つ、かなり大きめの組織であったことだろうか。

 まあ、よくある話だ。いくつも拠点のある組織は少なくない。組織らにとっては会社の支店のようなものだろう。能力者が多くの組織のトップを務めているため、全体数は過去の会社よりもかなり減っている。そして、その組織で働くというのが、大人となっている。組織とは本当に会社に近い。僕らが取り締まるのはその中での違法な組織。こう考えてみると、僕らは労働基に近いと思う。違いは暴力が可能という点になるのだが、それ以外は大きな差はたぶんない。

 と、それは置いておいて、話を進める。そのまま、僕は解散していいということになった。

 そのまま、自分の家に帰ってきた。組織には寮があるが、家が買えるくらいには給料がいい。寮に住んでいるのは、実家への仕送りとかでお金のない人や、一人が嫌な変わり者だろう。

 僕は、軽い夕食、夜食?を作って、それを食べる。そこまでうまくはないが、人並みには料理できる。そのまま、訓練へと移る。

 二、三時間ほど訓練した後は、風呂に入って、ベットに転がり込む。初めはつらいものだったが、割と慣れれば何とかなるもんだった。そして、僕の意識はそのまま闇に落ちていくのだった。




〈sideボス〉

 刹那に任務を与えて、その報告を聞いたのちに報告書をまとめていた。とはいえ、そこまでめぼしい情報はないので、時間はかからない。

 今回の件で重要になるのは、そこに捕らわれていた能力者になる。こいつらはこの組織で保護するということになるのだが、振り分けもしないといけないし、刹那につける奴も考える必要がある。とりあえず、明日は面接を行い、選別していかなければいけない。できる限りの希望は取るつもりだが、この組織はそんなことを言ってられない面もある。

 軽く一息ついたのちに、俺はペンを置く。


 翌日、面接の準備を整え、開始する。


「突然のことで悪いとは思うが、君たちにはここで働いてもらうことになる。とはいっても、休みも与えるし、休憩もある。過度な労働はないと思ってもらって結構だ」


 その台詞で一部の奴らは安心した様子にもなるが、少数だ。今までの環境だけに無理もない。安心した一部の人間のほうが信用しすぎるという点で注意する必要がある。と、そんなことを考えながら、適当なスピーチを終える。

 続いて、面接を始める。もちろん面接官は俺だけではないが⋯⋯。

 そうして面接が開始されたわけだが⋯⋯いい相手がいない。いや、組織で働いてくれるという点だといいのだが⋯⋯刹那につける相手となるとなかなかに困ったことになった。ひとまず、新人教育という名目でつけることにする予定だが、助け出したのが刹那というだけあって、異常なほどに好印象を抱いている奴が多い。好印象というより、下手をすれば依存しそうな奴らだ。そいつらをつけるとなると、刹那との傷の舐め合いになりかねない。それでは駄目だ。それは楽なだけでなにも進めない。依存することが悪というわけではないが、今回の場合は良くない。

 そんなことを考えながら、俺は次の奴を呼ぶのだった。


今回で終わらせるつもりではあったんだけど⋯⋯。思ったより長くなりそうなので分けます。

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