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第40話 小雪と刹那

第41話になってました。すいません。

〈side小雪〉

 私たちは小屋に戻ったが、その夜私はミナさんに呼び出されていた。私に何かしようというわけではないとは思うけど。

 呼び出されたのは私だけなので、刹那はいない。


「ごめんね⋯⋯。刹那のそばに居たかったでしょ」


「いや、別に⋯⋯」


 からかうようにミナさんは私に言ってくるが、別に気にしてはいない。


「まぁ、その話は置いておいて⋯⋯」


 置いておいていいのかな?そんなことを考えたが、ミナさんには関係ないことか。


「ちょっと、ついてきてくれる?」


 そう言って、ミナさんは森の中へと入っていく。私もそれに続いていく。

 大体、小屋が見えなくなったくらいの距離まで来て、ミナさんは足を止めた。


「ここまでくれば、流石に来ないかな?」


 おそらく刹那のことだろう。気配は感じないし問題ないと思うけどなぁ。


「さて、聞きたいことがあるんだけど⋯⋯」


 聞きたいこと?過去の話はしたけど、まああれには嘘を混ぜたが。


「最近の小雪ちゃんって情緒不安定だけど、何か理由があるの?」


 急に泣き出したり、落ち込んだりしていたからかな?それじゃあ、流石に気付かれるか⋯⋯。一応割り切ったつもりではあったんだけどなぁ。


「⋯⋯特にない」


 私は嘘をつく。もちろん悩んでることもあるし、変な行動をそこそこしているのも自覚している。ただ、この話はほかの人を巻き込むべきじゃない。私一人が頑張れば解決する問題だ。


「じゃあ、別の質問をするね」


 まだあったっけ?考えてみると思い当たる節はいくつもある。はぁ。


「あの水晶直すことできたでしょ?」


「っ!」


「その反応だと、合ってたみたいね。位置を戻すなんて意味の分からないことができるのに、物の修理ができないとは思えなかったのよ」


 確かに直すことはできた。それに、位置なんて物でもないものを戻すほうが技術的に難しい。認識していないとしても、過去にその事実があれば戻せる。むしろ、魔力とかいうものだけを除外して戻すことは不可能に近い。魔力がない過去があれば別だけど。


「⋯⋯分かった。あの水晶を戻せばいい?」


 つまり、便利なものが壊れている状態がよくないと言いたいんだろう。ばれたものは仕方ない。


「ただ、刹那には使わせないで⋯⋯」


 ここだけは念を押しておく。これでは、わざわざ壊した意味がない。


「いや、別に戻す戻さないはどうだっていいんだけど、その理由が気になってね」


 好奇心というものだろうか⋯⋯。

 はぁ。でも、そこは譲れない。私の目的に関わることだから。ただどうやってごまかそうか?


「理由は⋯⋯ずるいから。あれだけ恵まれた能力なのに二つあったら」


「いや、小雪ちゃんの『戻す』も十分恵まれてるでしょ。まあでも、小雪ちゃんはそんな子じゃないし、嘘でしょ。仮に事実だったら、なんで私たちに戦闘技術を教えたんだって話になるし」


 ごまかし、失敗。


「⋯⋯言えない」


 もう言えないと正直に答えるしかないだろう。ここから嘘をついてもすぐにぼろを出しそうな気がする。


「そう⋯⋯。無理やり聞き出すっていうのは悪いし、諦めるよ⋯⋯。じゃあ、最後に、それは刹那と同郷ってことと関係ある?」


「⋯⋯えっ?」


 えっ⋯⋯。いつばれた?いつしくじった?髪の色も違うし、ばれないと思ったけど⋯⋯。


「⋯⋯正解みたいね。ごめんね。さすがに、小雪ちゃんの様子を見てると黙ってるわけにもいかなくてね。どう見ても、無理してるんだもん」


 ミナの話は私の耳には入っていなかった。


「いつから、気づいたかって顔してるわね。最初に疑問を持ったのは、村で小雪ちゃんがいきなり男に切りかかっていったときね。いつも、冷静な小雪ちゃんがいきなり攻撃を仕掛けるんだから、何かがおかしいとは思ってたわ。それに、刹那との息が合いすぎなのよ⋯⋯。あれに合わせるとなると、数年はかかるものよ。確信に至ったのは、今日の図書館で、本を探していたときね。刹那の国の本をちらっと見ただけだったのに、同じ言語だってわかるのはさすがに無理があるわよ」


「黙ってて⋯⋯」


 頼みというよりも懇願だった。刹那がそれを知るのはまずい。


「だったら、教えてくれない?なんでなのか」


 意地が悪い。そんなこと言われた後だと話さないわけにもいかない。ミナの性格的には周りに言いふらしたり、刹那に話したりはしないだろうけど、だからといって、簡単に話すわけにもいかなかった。はぁ。もっと演技力があったらなぁ。ないものねだりをしても仕方ない、か。

 私は意を決して、言葉を紡ぎだす。


「⋯⋯刹那は、両親を失ってる。火事で」


 こういう話は本来、本人に許可を取らないといけないのだろうが、話せない以上仕方ない。


「⋯⋯今は、両親を失う直前の記憶しかないみたいだけど。そのあと、能力者が所属する組織に刹那は所属することになった。そして、『燃やす』能力者が刹那の家を燃やしたと分かった。そこから、刹那はそいつに復讐することを目的にして生きていくようになった。とはいえ、刹那も組織の一員だから任務とかはこなしていたけど。その任務の一環で、私が働かされていた場所を壊滅させた。捕らえた能力者を奴隷のように扱うところだったから壊滅するべきだったと思う」


 今、奴隷の私が言うことではないけど。


「⋯⋯で、そこから私たちは刹那たちの組織に保護された。私は、そのあとその組織に所属することになった。そこで、私の教育係みたいなのに選ばれたのが刹那だった。私に、小雪って名前を付けてくれたのはそのとき」


 だから、私にとって、名前は大切なものだ。


「そこで私は戦闘技術を身に着けた。その時の刹那は、今より遥かに強かった」


 今は、変に感覚があるせいで、ちぐはぐな状態なんだと思う。


「そのあと、私たちはとある屋敷を調査することになった。で、そこで出会ったのがあの村にいた男。そいつをとらえようとはしたけど、結局逃げられた。そいつが逃げた先がこの世界だった。そいつの能力は『創る』で異世界への扉を作ったんだと思う。その世界には、もう一つの能力がある。と書かれた紙も見つかった。そこで、さらに復讐のための力が欲しかった刹那がこの世界に行こうとした。もちろん、組織には止められたけど、ボスも止まらないっていうのはわかってたみたいで、形式上だけでのやり取りだった。で、私はそれについていった。そして、私たちが出てきたのがこの森。私が気づいた時には刹那は気絶していて、近くになんだかよくわからない獣?がいた。私は、そいつらを気絶している刹那に向かわせないために引き付けることにした。結果、私たちははぐれて、私はあの組織につかまった。これが事の顛末」


「うーん。なるほどね。で、なんで刹那が思い出しちゃいけないの」


 確かに、さっきは言ってなかったな。なんというのがいいのかな?少し考えるが、結局これが一番適格な気がする。


「楽しそうだったから」


『動作』の能力=地球

『もの』の能力=異世界

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