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第37話 屋敷に侵入

 そして、僕らは朝食を食べた後に再度、森の探索を開始した。


「ん~。だいぶ調べてみたけど、まだ見つからないねぇ」


 しばらく、探索を続けたが何の成果もなく時間だけが過ぎていった。日はもうかなり傾いている。


「そうだな。大体、四分の一くらい探索が終わったか⋯⋯」


「そうなんだよねぇ。前回ほど詳しく調べる必要もないから早く終わると思ったんだけどね」


 ロックバードの調査をしているため、範囲はかなり絞られている。


「小雪ちゃんがいたのってこの辺りなんだよね?」


「ん。そう」


 小雪のいた場所から探していくのがいいかと考えてそこから探していた。


「それにしても、魔物から逃げていたって、倒せなかったの?」


「えっと、ナイフが通らなかった」


 魔物に襲われていたらしいが、何とか倒すことはできなかったのだろうか?確かにナイフは通らないだろうが、魔法なりなんなりで。


「魔法とかは使わなかったの?」


 ミナも僕と同じことを思ったのか、そんなことを聞いている。


「⋯⋯魔法?能力じゃなくて?」


「えっ!」


 小雪は魔法を知らないようで、首をかしげている。


「魔法がないところから来たってこと?」


「たぶん?」


 魔法が使われてない場所があるってことだろうか。


「それじゃあ、どうやって生活してたのさ?」


「ん~。科学?」


 科学がある場所があるってことか?この世界で科学が発達しているとなると、かなり不思議な状態だな。魔法があるにもかかわらず、科学に目を向けた人間がいるってことだろ?僕と同じ転移者、もしくは転生者がいるのだろうか?


「科学って、雷とか?」


 まあ、自然現象の中の科学って、雷くらいしか感じられないよな。いろいろあるけど。


「⋯⋯まあ、そんな感じ」


 そんな話をしていると、突然視界に屋敷が現れた。


「はぁ!?」


 話に聞いていたとはいえ、突然現れたら驚く。もちろん僕も。小雪はどちらかというと、ミナの声に驚いているように見えた。


「まさか本当に現れるとはね⋯⋯」


 ミナはまだ呆然としている。


「⋯⋯信じてなかった?」


「そういうことじゃなくてね!えっと、組織のリーダーは死んだのに、まだ効果が続いているとはって思って⋯⋯」


 昨日のことがあってか、ミナは小雪に気を使っているのだろう。早口になっている。朝は大丈夫そうだったのにな。


「まあ、とりあえず入るとするか。小雪、案内は任せていいか?」


「ん」


 小雪は頷いて、その館の中へと入っていく。


「えっ!罠とか警戒しないの?」


 ミナは驚いている。


「警戒はしてる⋯⋯。そこにもあるし⋯⋯」


 そう言って、小雪は指をさした場所に氷の塊を作り出す。氷が雪なのかはよくわからないが⋯⋯。

 そして、氷が落ちた場所にナイフが通り過ぎた。


「えっと、これどうなってるの?」


 ミナは不思議そうな顔をしているが、単純に重量センサーみたいなもんだろう。


「重さ」


 小雪はそれだけ言って、前へと歩き出す。そして、


「あっ」


少し驚いた声をあげて、辺りに氷の塊をいくつか作り出す。そして、それが落下すると、大量の罠が発動した。


「ちょ!」


 ミナはそんな声を上げて、罠によって飛んできた物たちを躱したりはじいたりする。僕は、一応、罠の巻き添えを食らう場所も避けて通っているので問題はない。


「なんで、刹那には当たってないのさ」


 罠を回避し終えたミナは、一息ついた後にそう呟いた。


「当たらない場所にいたからだが⋯⋯」


 僕はさも当然のように告げるが、


「そんなことできるわけないでしょ」


「普通にできるよ」


「二人ともおかしいでしょ!」


 そんなにだろうか。罠の位置と形でなんとなくわかりそうだが⋯⋯。


「多分、能力で思考を加速させてる?」


 小雪は少しはっとしたような表情を浮かべた後、そんなことを言ってるが、特に意識なんてしてないんだが⋯⋯。


「特に使ってるようには感じないが⋯⋯」


 そもそも使ってたら、日常生活もままならないだろう。


「無意識に使ってるってこと?それはそれでずるくない?」


 ミナは不服そうだが、そうなってるんだから仕方ない。

 ん?実際できるんだろうか?試しに自分の思考に対して能力を発動させる。

 瞬間、世界がスローモーションになった。やっぱりこんな状態だと日常生活なんて遅れないな。


「そろそろ行くよ?」


 小雪が小声でそう言って、歩き出す。ちょっと聞こえずらいとは思う。


「えっ、ちょっと待ってよ」


 ミナも追いかける。僕もそれに続く。



 屋敷の中はほんとに屋敷らしい。ゲームとかで見るような、エントランスがあって、上には光のともっていないシャンデリアがたたずんでいる。


「ねぇ、あんなところにどうやって火をつけるの?」


 ミナは不思議そうに首をかしげる。すると、小雪が、


「確か⋯⋯」


そう言って、壁に近づく。そして、壁のボタンらしきものを押す。すると、シャンデリアに光がともった。


「えっ、ちょっとどうなってるの?」


 おそらくスイッチだったんだろう。電気が普及していないのか、ミナは、かなり驚いている。


「⋯⋯私にもわかんない」


 小雪もスイッチの存在しか知らなかったからか、何かは分かっていないようだ。あれ?さっき科学の普及した場所って言ってなかったか?

 それに気づいたのか小雪は、


「配線が見えない」


と付け加えた。まあ、配線は見えないけど、壁の中とか、シャンデリアの中に配線してあるのだろう。そこまで進歩しているわけではないのか⋯⋯。まあ、中世ヨーロッパレベルの文明だしな。中世ヨーロッパがどの程度の技術があるのかは知らないけど⋯⋯。


「考えてもわからないし、先に進もうよ」


 ミナがそう言って、小雪をせかす。


「ん」


 小雪はそれだけ答えて歩き出す。まあ、何もわからないし、配線が分かったところでだな。

 僕はそう結論付けて、二人の後に続くのだった。


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