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第36話 小雪の過去?

台詞が多すぎたよな⋯⋯。


「ん⋯⋯」


 僕は目を覚まし、伸びをする。二人を起こさないように、忍び足で小屋の外に出る。

 外はすでに明るくなっており、若干心地いい空気だ。


「おはよ」


 ミナが僕に気づいてかはわからないが、起きてきた。


「あぁ、おはよう」


 僕はそう返事をする。


「さて、今日も探索することになるけど⋯⋯。大丈夫?」


「ん?大丈夫だが⋯⋯」


 なぜ聞いてきたんだ?


「あぁ違う違う。小雪ちゃんのこと」


「そういうことか⋯⋯」


 昨日、小雪は軽いパニック状態になったからな。


「そうは言っても、僕は小雪の過去を知ってるわけじゃないからな」


「確かにそうだけど、あんな反応されちゃぁね」


「それもそうか⋯⋯。でも、一人にしておくほうがしんどそうじゃないか?」


「ん~。そんなもんなのかね」


「そんなもんだって」


 僕はそう言って、息をつく。


「結局、何にもわかんないんだ。本人が話してくれないとどうしようもない」


「そうね⋯⋯。刹那が聞いてみたら?」


「話したくないことだろうからな⋯⋯。下手につつくとよくないかもしれない」


「大丈夫な気もするけど⋯⋯」


「そんなこと言われてもな⋯⋯。僕には話したくないように見えるし⋯⋯」


「そっか。小雪ちゃんは刹那のほうになついてるしね。刹那のほうが分かるのかも」


 昨日慰めに失敗したことを思い出しているのか少し悲しそうな顔をする。


「だったら、どんなことがあったのか推測できない?」


 それは勝手に考えていいのだろうか?


「まあ、昔誰かに閉じ込められたことがあるかも、くらいしかわからないな」


「やっぱりそれくらいか⋯⋯。本人から聞くのが一番いいんだろうけど⋯⋯」


 そう言って、ミナは小屋のほうに目を向ける。


「無理やりっていうのはよくないよね⋯⋯」


「それはそうだな⋯⋯。ひと段落したら聞いてみるか⋯⋯」


「結局、それしかないんだろうね。まあでも、話したくないって言うんだったら聞き出すのはよくないのかも?」


「さぁな。僕が言い出しておいてなんだが、これからも一緒に居るなら聞いておいたほうがいいだろうな」


「ふーん。奴隷から解放してあげるかもってこと?」


「そりゃ、本人が望んだらな⋯⋯」


 とはいえ、犯罪奴隷である以上、奴隷解放は厳しいだろうが。


「まあ、できることなら解放してあげたいしね」


「できることならな⋯⋯」


「でも、奴隷の首輪くらいなら戻せそうだけど⋯⋯」


「実際戻せるぞ」


 最初に襲い掛かってきたとき自分から外していたしな⋯⋯。あの頃は死のうとしていたんだっけ。


「それなら、まだつけてるっていうのはね⋯⋯」


 そう言って、ミナは僕のほうに目を向ける。


「よほど、気に入れられてるのね」


「そりゃ、ありがたいけどな。できれば、自分のしたいように生きてくれたらいいんだが⋯⋯」


「私から見たら、小雪ちゃんは刹那と一緒に居たいように見えるんだけど⋯⋯」


 そりゃまあ、死のうと思っていた子なんだから、目的もないし一緒に居るしかすることもないんだろうな。


「ん⋯⋯。おはよ⋯⋯」


 そんなことを話していると小雪が起きてきた。


「⋯⋯ん?何事?」


 僕らが小雪を見たまま停止しているためか、首を傾げながら聞いてきた。


「いや、小雪ちゃんの話をしてたからね⋯⋯」


 正直に答えるんだな⋯⋯。


「何か気になること⋯⋯」


 そう呟いて小雪は考え込む。そして、


「あっ、昨日の⋯⋯」


思い至ったようだ。


「ん。別に話してもいい。これくらいなら」


「えっ、いいの?」


「問題ないし⋯⋯」


「そう⋯⋯それなら話してくれない?」


「ん。とはいっても、そんなに言うことはない」


 そう言って、小雪は自分の過去を話し出した。


「まず、私自身昔、差別的なことされてた。私の髪色が白いから」


 白というより透明に近い髪色をしている。かなりきれいな色だと思うが⋯⋯。


「確かに珍しいけど、差別されるような色ではないと思う」


 ミナも疑問に思ったのかそう呟いた。


「私の故郷は髪に色があるのは珍しい」


「まあ、そんなところもあるのか⋯⋯」


 僕はそう呟く。


「で、しばらくして私に能力があると分かった。『戻す』のほう」


「そういえば、能力二つっていうのは初耳なんだけど⋯⋯」


「そこはわからない」


 能力についてはまあ、自ら手に入れるようなものじゃないし、研究してるわけでもないだろうから仕方ない。


「その後、私は組織につかまって、強制労働させた。あいつらは『戻す』能力に体力無限くらいしか意味がないと思ってたみたい」


 自分の能力に誇りを持っているのか、少し口調が荒い。


「で、そこから逃げて、あの人形に捕まった」


 そして、今に至ると⋯⋯。


「そう⋯⋯。ずっと、無理やり命令されてきたってわけね⋯⋯」


 ミナはそう言って、唇を噛んでいる。ミナも正義感強いよな。


「それで、縛ろうとしない刹那についていってると⋯⋯」


「それは⋯⋯多分そう」


「ふーん。なるほどねぇ」


 ミナはそう言って、にやにやと笑みを浮かべる。


「まあ、そのことは置いておいて、そろそろ朝食にしよっか」


「そのこと?」


 小雪はそう言って首をかしげる。


「まあ、それは今度ね」


 そう言って、ミナは小屋へと戻って行った。


「なんだろ?」


 僕と小雪は一緒に首を傾げながら、小屋に戻るのだった。


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