第32話 調査&とある神話
扉の先の景色は⋯⋯森だった。僕のいた森だ。
つまり、小雪の僕のせいだという仮説は正しいということになる。はぁ。こんな影響があるとか考えてもなかった。僕の落ち込んでいる様子を見て、
「あのロックバードの召喚跡が原因かもしれないし、そんなに落ち込むことないって」
とミナが励ましてくれる。小雪は何を言えばいいのかわからず、わたわたしてるような空気が見える。一見は普段通りだが、なんか感覚的に。超能力でも目覚めたのかなんて思ってしまう。あっ、加速があるんだった。うん。
「とりあえず、原因は大体わかったな」
僕は、立ち直ったようにふるまう。
「まあ、立ち直ったんならいいけど、とりあえず、この森から魔力が流れ込んでいたのが原因ってわけね。あの隠し扉を開けとけば魔力は勝手に散る⋯⋯」
そこまで言って、ミナは黙り込む。
「あの隠し扉は誰が作ったわけ?」
僕も、そう言われてそういえばと思い出した。
「とりあえず、まだ洞窟には秘密がありそうね⋯⋯。単なる近道ならいいんだけど」
それなら、岩にカモフラージュする必要ないだろと思いつつ。引き返しているミナに僕もついていく。
その途中、
「刹那は悪くないよ」
と、小雪に声をかけられた。小声だったけど、そこには強い意志が感じられた。僕はありがとなと言って、頭を撫でてやる。すると、小雪は少し顔をほころばさせた。不覚にもその仕草がかわいいと思ってしまった。僕は、恥ずかしさから逃げるようにミナの方へと足を向けた。
「いちゃつくなら依頼の後にしなさい」
なんて言われてしまった。この時なんで逃げたのか考えなかったことは幸運だったのだろう。この時の僕にとっては。
僕らは洞窟に戻り、さらに何かないかと探してみる。先ほど小雪の見つけたように、隠し扉があるかもしれないのでそこにも気を向けながら。
そして、30分くらい探したところで、先ほどと同じ扉を見つけた。前回のような失敗はせずにドアを開けることには成功した。
そして中に入ると、
「紙の束?」
紙が所狭しと散らばっていた。目に映るだけでも、かなりの枚数があり、すべて調べるとなるとかなりの時間がかかるだろう。
「うん。まあ、とりあえず分かれて調べてみよっか」
ミナがそう声をかけて、僕らは分かれてその紙を集め確認していく。
「うわぁ、この紙薄いし、質もいい」
ミナがそんな声をあげる。確かに、日本のものと比べても遜色がない。真っ白で、サイズも統一されている。おそらく、コピー用紙だとか言われても信じるだろう。
そんなことを考えつつ、紙に目を通していく。が、特に重要そうなものはなく、戦術の本とか、神話だとか、ジャンルもぐちゃぐちゃだ。それでも、目を通しつつ、紙を重ねていく。
「ん?」
目を通していた中に地図らしきものが見つかった。
「どうかし、これはこのあたりの地図ね」
「そうなのか?」
「あ、れ?これって⋯⋯」
「いろいろな場所に日付と印がついているな」
「デラクアにこの森も⋯⋯」
「ってことは、あの組織の書類ってことか⋯⋯」
「ギルドに戻って、示し合わせておかないと」
日付は過去のものもある。つまり、それを記録と見比べるということだろう。
「にしても、もう一つの記号はどういう意味なんだろ?」
襲撃と異なる記号も並んでいる。
「場所は、この森に、確かここは村のそばだったはず、で、もう一つは⋯⋯」
地図と示し合わせると二つ目の村のそばはゴブリンキングのいた村だったはず。
「⋯⋯私の村の跡地⋯⋯」
ミナの故郷か。魔族に襲撃されたからか、今は跡地らしい。
「ねえ、ちょっと悪いんだけどさ、私の村まで一緒に来てくれない?」
そりゃまあ、不安にもなるわな。世話にはなってるし受けることにするか。
「分かった。じゃあ」
僕が予定を決めようとすると、
「ダメ」
小雪からダメ出しを食らった。
「まだ、実力不足。魔族が居たら勝てない」
「いない可能性だってあるでしょ!」
ミナは声を荒らげて、言った。
「あの組織にかかわるなら、いる可能性のほうが高い。それに⋯⋯」
小雪は何かを続けようとし、
「やっぱり何でもない」
と言った。気になるが、無理に聞き出すわけにもいかないだろう。
「だからって、村を荒らされるのはいやでしょ!」
「いつ来るのかもわからないのに気が早い」
それに、と小雪は続けて、
「あいつに出会っても逃げないでしょ」
と言った。これにミナは図星だったのか、黙り込む。
「だから、訓練してから行く」
「え?」
そりゃそうだろう。なぜ、行くなと言われると思ったのか分からないが、鍛えればそこまで無謀じゃないと思うぞ。
そうして、訓練の日々が始まったのだった。
「刹那も」
そして、僕も巻き込まれた。
〈神話から創世の部分のみ抜粋〉文字化け部は解読不能。おおよその推測も記す。
かつて、3柱の神がいた。その神は、縺昴l縺槭l、創造、辟。(破壊)、変化をつかさどった。
まず、創造の神は世界を作り出した。そして、逕溽黄(生物)を作り出した。そして、変化の神は、生物、世界を謌宣聞(成長)させた。もう一柱の神は、不要なものを破壊していった。
創造し、成長し、破壊し、それによって世界の均衡は保たれていた。
しばらく、経過し莠コ(人)が生まれた。それによって世界は大きく変化した。
しかし、創造の神は、螟牙喧(変化)を良く思わなかった。荳也阜(世界)は不変であるべきだと考えていた。
ゆえに、変化の神を排除しようと考えた。また、辟。(破壊)の神も変化を嫌い、不変を好んだ。
しかし、変化をなくすと、現状の世界は成り立たなくなってしまう。そこで、神は新たに世界を作ろうと考えた。
だが、他の二柱は、自身の作った世界を愛していた。
そこで、二柱は、自身の讓ゥ閭ス(権能)を犠牲とし、その世界へと降り立ち、世界を守った。
変化の神の権能はここで失われたため、排除する必要はなくなった、はずだった。
創造の神は変化の神を単純に嫌っていたのだろう。創造の神も地上へと降り降りた変化の神を殺した。そして、変化の権能が二度と蘇らぬよう、世界に能力として、ばらまいた。
神話の間違い1 変化の権能=能力
神話風の書き方ってあるのかな?ぜんぜん書けなかった。