第28話 特訓?
サブタイトルが連続で最後に?がつくという不思議。
依頼を受けたはいいけど、全く作戦もない。そこで、とりあえず、宿に帰ってきていた。
とはいえ、僕も世話になってるわけだし、立ち直ってもらいたいよな。
「で、ミナって誰?」
小雪は知らないよな。知らずに受けたのか⋯⋯。
とりあえず、説明する。ミナの過去についても一緒に。
「逃げ?」
毒舌だなぁ。まあ、間違ってないのか?
「じゃあ、行く」
そう言って、小雪はドアを開けた。
はぁ、ミナの場所なんて小雪も知らないだろうし、僕も行くか⋯⋯。もう少し、作戦を立てたほうがよくないかとは思うが⋯⋯。
そして、僕らはミナの泊っている宿にたどり着いた。受付の人に部屋を聞いて、向かう。
「最近、挨拶もしてくれないからついでに声をかけといてもらえないかい?」
そう頼まれた。深刻なのだろうか。
そして、ミナの部屋にたどり着き、ドアをノックする。
「はーい」
ミナは出迎えてくれる。思ったよりは明るいな。なぜ、武器を携帯しているのかはわからないが⋯⋯。
「あぁ、刹那にユキちゃんだったかな。いらっしゃい」
「小雪」
訂正するのね⋯⋯。重要なんだろうか。
「じゃあ、移動する」
小雪は、そう言って、ミナを宿から連行していく。何がしたいの?
とりあえず、今は見守っとくか。
そして、僕らはスライム狩りをした草原にやってきた。徒歩圏内ではある。
そこで、小雪は立ち止まり、ナイフを構える。そのまま、ミナに切りかかる。
ミナは驚いたが、すぐさま対応する。
「刹那!あんたの連れが襲い掛かってきたんだけど!」
そう叫んでいる。まあ、小雪に殺気はないし、気にしなくてもいいかな。
「ちょっ!」
小雪はかなり、危ない位置にもナイフを振るっている。
「はぁ、はぁ」
ミナの息は絶え絶えだ。
ミナは、距離をとるために一旦、離れる。それを小雪は追うことはしなかった。
「すぅー」
ミナは、一度大きく息を吸い込んで、レイピアを構える。
大分、雰囲気が戻ってきたな。そして、小雪に向かって切りかかる。
小雪はそれをはじき、距離を詰める。
ミナはそれを許すわけもなく、後ろに飛んで、レイピアの切っ先を小雪に突きつける。それを身をひるがえして、小雪は躱す。そのまま、再度接近。そのまま、ミナの首元にナイフが突きつけられる。
「私の勝ち」
小雪はそう言って、首筋からナイフを離す。二人とも能力は使っていないけど、戦闘慣れはしていた。
ミナは、唇を噛んでいる。
「じゃあ、もう一戦」
小雪は、また距離をとってナイフを構える。
しばらく、戦闘は繰り返された。
結果を見た限り、小雪の方が戦闘技術は上だろうな。
「終わり」
そう言って、小雪はナイフをしまう。
「ふぅー」
ミナも息をついて、
「で、なんでこんなことしたの?」
と言った。
やっぱりそう思う?
「後半は動きがよくなった」
小雪はそう言っている。
「ははっ。まだ、上はあるってことか」
なんで通じてるのかな?
「依頼は完了」
小雪はそう言って、こちらへと向かってくる。
「ちょっと、もう少し、付き合ってもらえないかな?」
え?まだ、戦い足りないの?
小雪は少し考えて、
「刹那も」
僕を巻き込んだ。
三つ巴ということか?
「じゃあ、二人ともかかってくる」
二対一か。大丈夫だろうか?
「能力もありで」
さらに、不安になる。
「じゃあ、行こうか」
ミナにそう声をかけられ、僕も走り出す。
ミナはレイピアを、小雪を突き刺そうと繰り出す。小雪はそれをナイフではじいて、軌道をそらす。
さらに、接近しようとするが、僕がすぐさま能力を発動させ、間に入り込む。そして、振るわれるナイフをいなしつつ、切りつける。それを小雪は瞬間移動のように回避する。
僕は驚いたが、そのまま、再度接近。ナイフを振るうが、万全の状態で待ち構えている小雪にはいなされる。
そこで、僕はしゃがみ込み、後ろから飛んでくる無数のナイフを避ける。ミナの能力で生み出されたナイフだ。僕が気づけなかったら、僕に当たってない?
無数のナイフは、小雪へと向かっていくが、瞬間、それらが消滅した。そのまま、小雪はミナに接近。そのまま、ナイフを振るうが、ミナはレイピアで応戦する。僕も、すぐさま加勢し、小雪はそこで、距離をとる。
僕はそれを追い、ナイフを振るう。が、それを読まれ、懐に潜り込まれ、首筋にナイフを突きつけられる。
「刹那、アウト」
そう言って、ミナのほうへと向かっていく。しばらくの交戦の末、ミナにもナイフが突きつけられる。
「刹那は、もっと攻撃に緩急をつける。ミナは、もっと不意を突くことを意識する」
アドバイスもしている。今言うことじゃないけど、かなりしゃべる子だったんだな。
「じゃあ、次」
そう言って、特訓が開始された。
数時間が経った頃だろうか、僕はナイフを振るい、切りつける。小雪はまた瞬間移動で回避する。
僕はすでにその先にナイフを投げつけていた。
「っ!」
小雪は、そのナイフに驚き、回避に失敗。そのまま、突き刺さる。
しまった!やりすぎたかも⋯⋯。
小雪は、突き刺さったナイフを、抜いて一瞬で傷をふさぐ。おそらく、傷つく前に戻したのだろう。
僕らが、さすがに停止していると、
「ん。及第点」
そう言って、ナイフをしまった。
「いやいや、ナイフが刺さってたよねぇ!痛くとかないの」
「とかって何?」
「いや、そこじゃないでしょ⋯⋯」
ミナは心配しているが、それに変な返しをされてる⋯⋯。まあ、痛いくらいしか言えることはないだろうけど。
「って!傷もふさがってるじゃん。はぁ、刹那の次もおかしな人が来るのかぁ」
そう言って、もう呆れてる。
僕も変なの!?
「じゃあ、帰る。あっ、戻った?」
依頼のことを忘れてたらしい。
「何が?あぁ、私のことね。確かに、あいつを殺したいとはまた思えるくらいにはなったかな」
真っ先に復讐のことを思い浮かべるのね。まあ、わからなくもないけど。
「私じゃ、攻撃とおらないと思うけど、その能力なら可能性あるんじゃない?」
小雪でも勝てない相手なんだな⋯⋯。
「そう?なら、頑張りましょうか!」
そう言って、明らかに機嫌のよくなるミナ。これなら、心配することもないかな。
最後に思ったのだが、僕は全く役に立ってなくない?
ずっと小雪と戦ってない?