表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/101

第27話 説得?

久々の更新で申し訳ないです

 さて、ユキの目的は何だろうか。

 ちょっとナイフを突きつけるのはやりすぎたとは思うが⋯⋯。今思えば、おかしなこともあった。街の襲撃の時、ユキは冒険者たちを気絶させるだけで、殺しはしなかった。あの『人形』の男に操らせるためとも考えられるが、さすがに、あの人数は運べないし、目が覚めたら大変なため、数人に絞るのが正解だろう。それに、能力を隠すことなく見せたこともおかしいし、ギルドマスターを殺したのも不自然だ。

 というわけで、話を聞きたいのだが、話してもらえるだろうか⋯⋯。ユキは僕が思考から帰ってきたのを察したのか、話し出した。待ってたの!?


「『人形』の能力で操られてた。わかってたと思うけど」


 そこは、ギルドマスターの推測通りと。


「私も罪の意識はある。だから、情報は提供した」


 善意で情報は渡したと。


「そのせいで、死刑はなくなった。死にたかった私は奴隷の主に殺されようと思った。だから、それまで抜け出したりはしなかった」


 だから、今襲い掛かってきたと⋯⋯。


「全部、話した。殺して」


 そう言って、手を広げる。よく見ると震えてる。


「はぁ、殺すわけないだろ。なんで死にたいのかわかんないけど、怖がってるやつを殺せるかよ」


「私は人を傷つけた。生きる場所なんてない」


「いや、どうしてそうなった?」


 人を傷つけたからといって、生きる場所がなくなるわけがないだろ。それじゃあ、犯罪者に行き場がないし。


「私が合わせる顔がない」


 ユキはそう言いかえた。なるほど、負い目を感じていると。


「じゃあ、お前は人を傷つけて、何もせずに逃げるのか?」


 この子には、責任はないとか言っても意味はないだろう。

 根はいい子なんだ。だから、その善意の方向を変えればいい。


「逃げてなんか⋯⋯」


 そう言って、ユキは黙り込む。

 そこに、僕はさらに追い打ちを仕掛ける。


「逃げだろ。傷つけたことが嫌だから、そのことから逃げようとしてる。違うか?」


 返事はない。


「お前がつらいから過去のせいにして逃げようとする。結局、自分のためなんだよ」


「ちがっ!」


 自分のためという言葉に反論したかったのだろう。

 ユキは間違いなく善人だし、違うというのはわかる。恐らく、知らないのだろう。どうするべきなのか。だから、こんな行動に出たのだろう。


「じゃあ、何をするべきか、分かるか?」


 それに、またユキは黙り込んでしまう。


「おい、それ以上をこの子に求めんのは酷だろ」


 いつから目覚めてたのか、ギルドマスターが口を挟んできた。

 それもそうか⋯⋯。


「まあ、少なくとも、死ぬのは違うだろ」


 僕はそう締めくくって、口を閉じた。


「何かがしたいつっても、今のお前は刹那の所有物。自由にはできないが」


 ギルドマスターが余計なことを言う。きれいに終わったつもりだったのに。


「ま、今は、刹那についていくしかないってことだな」


 そんなこと言われたら手放せなくね?


「分かった。ご主人様?」


 ユキの奴も、そばにあった、首輪をはめてそう言った。

 ふざけてるのか?

 分かりにくい相手だ。まあ、少なくとも操つらられていた時よりは話しやすい。

 ⋯⋯にしても、だ。少なくとも、『雪』の能力じゃあ首輪は外せないだろ。それには、


「能力。私は、『戻す』能力と、『雪』の能力があるらしい」


と答えた。

 なるほど、まだついてない状態まで戻したのか。だが、使い勝手のいい能力だが『人形』に使われなかったのか?


「言ってない」


らしいです。知らないものは使えなかったのか。

 とはいっても、そんな弱点があったとして、知ってたとして、結果は変わらなかったか。僕が負けたのは人質を取られたからだしな。

 まあ、今回の件は解決だよな?


「そういえば、あの『人形』殺したけど、よかった?」


 爆弾が放り込まれた。

 ギルドマスターも驚いている。少女が組織のトップを殺したんだからなぁ。

 なぜか、僕は冷静だった。


「はぁ、だったら少し話を聞かせてもらうぞ」


 ギルドマスターは、ため息をついてそう言った。


「刹那、こいつを少し借りるぞ」


 そう言って、ユキは連行されていった。

 もう、することもないし、帰るか。そう思って、僕も街に戻るのだった。



 で、またギルドに呼ばれたわけだが⋯⋯。


「いろいろと話は聞いたが、証拠がないからなぁ。減刑は厳しいだろうな。というわけで、こいつは預かってくれ。変なことはするなよ」


 呼ぶ必要あったのだろうか。ユキを返されただけだった。

 変なことはしないよ!


「よろしく」


 ユキはそう言ってこちらへとやってくる。


「改めて、刹那だ。よろしくな」


 改めて、自己紹介をする。なんとなくだけど。


「小雪。よろしく」


 え?名前はユキじゃなかったの?


「はぁー」


 ギルドマスターは再度頭を抱えている。


「小雪が本当の名前か?」


「ん、重要」


「それじゃあ、奴隷の契約すらいみねぇじゃねぇか」


 名前が違うと契約は結ばれてないも同然ってことね。かなりがばがばな契約だな。


「もういいか。大事にしてやれよ」


 そう言って、ギルドマスターは投げ出した。


「で、だ」


 そして、話を切り替える。


「指名依頼を受けちゃくれないだろうか」


 指名依頼か⋯⋯。内容を聞いてから判断しようか。


「前回会った時に分かったとは思うが、ミナの奴が全く動かなくなっている。それを何とかしてほしいんだが、どうだろうか?」


 それは、冒険者に頼むことなのだろうか。後、無理やり人を動かすのはなぁ。


「本来依頼にするようなことじゃないんだがな、Aランク冒険者がいなくなるとこの町も大変なんだよ」


 できない依頼もあるということだろうか。


「私情だが、あいつが心配だしな⋯⋯」


 ギルドマスターは人格者だったね。


「分かった。受ける」


 ちょっと、小雪さん!?勝手に決めないでほしいんだが⋯⋯。

 こちらをじっと見つめてくる小雪。


「分かったよ。じゃあ、受けさせてもらいます」


 小雪が即答しなくてもおそらく受けただろうしな。


「頼んだ」


 そうして、ミナを元気づけなければいけなくなったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ