第25話 解決?
もう、奇跡の連続投稿が続いております。
そろそろ、止まるかな?
〈side刹那〉
僕が目を覚ますと、すでに解決した後だった。あの黒衣の男は首が落とされていた。周りには倒れた町民の姿がある。
ただ、僕一人で運び出すことはできない。
僕は立ち上がり、ミナを探す。彼女が何とかしてくれたんだろう。
そして、別の部屋で彼女を見つけた。血だらけの状態で横たわっている。ただ、死ぬほどではない。魔族の男の姿もない。
じゃあ、誰があの男を殺したんだ?と、思案しようとしたが、彼女を運ぶほうが先かと考えて、とりあえず、彼女を抱えて、ここから出ることにした。この場所の探索は後回しで。僕がしていいのかわからないけど。
近くにあった棒と布で担架を作る。そして彼女を乗せようとして、
あっ!一人じゃ担架持てないじゃん。
当たり前のことに気づく。ほんとなんで作ったんだろう?
これが見られてないうちにと、元の場所に棒と布を戻して、証拠隠滅。
予定を変更して、おんぶという形で彼女を運ぶ。
言ったら悪いけど、人ひとり抱えて運ぶのはしんどかった。
彼女が重いわけじゃない。断じて。
そんなこんなで、彼女を抱えて病院らしきところに運ぶ。
そこに預け、僕はギルド側の人間に報告。もちろん、ギルドマスターのところへ。
「さて、じゃあ何があったかを話してもらおうか」
今までにあったことを伝える。
「なるほど、まずその角の生えた男っていうのは魔族であってるぞ。次に、もう一人の黒衣の男だが誰が殺したのかわからないんだな」
「はい」
僕はそう答える。
「ふむ。では、その屋敷を調査兼、町民の救助をすることにしよう。もちろん救助を優先するぞ。刹那はもう休んでていいぞ」
僕も連れて行ってくれ。なんてことは言わず、待つことにする。
僕は街を歩いていく。今更だけど、気になったのでユキを気絶させたところへ向かう。あたりにいた冒険者に聞くと、もう連行したらしい。
街を歩き回った結果、もう、気にすることはなさそうなので宿に帰ることにする。
そして、数日が経った。僕はギルドに呼ばれていた。
「まあ、呼ばなくてもいいかと思ったが気になるかもしれないからな。聞きたいならどうなったか教えてやる」
「お願いします」
「分かった。まず、ミナについては無事だ。話していいかわからなかったから話さなかったが、許可ももらったからあいつのことを話してやる」
そう言ってギルドマスターはミナについて話し出す。
「ミナは、村を魔族に襲われている。それで、恨みを晴らすために冒険者となったわけだな。で、今回の魔族が村を襲った魔族と同じだったらしい。だから、我を失って襲い掛かったと言ってた。申し訳なかったと謝ってたぞ」
なるほどそういう理由があったのか。強いほうを引き受けてくれたとばかり。
「で、あいつらについてだが、ほんとに情報が残ってなかった。だが、捕らえた一人が情報を提供してくれてな。まあ、それもあってか罪は少し軽くなった。死刑から奴隷落ちにだがな。本人は拒否していたが⋯⋯法には逆らえん」
捕らえたメンバーか⋯⋯。僕が知っている中だと、ギルとかいうやつと、ユキだったな。ていうか、なんで減刑を拒否してんだ。
「奴隷は人権なんてないからな。それが嫌なんだと思う」
僕の心を読んでか、ギルドマスターはそう言った。確かに死よりもきつそうだな。
「で、だ。いろいろ考えたんだが、あいつは『人形』の能力で操られていたんじゃないかと思ったわけだ。これには黙秘されたが」
可能性はあるか。
「だからと言って、さっきも言ったが法には逆らえんわけだ。町人はちょっと無理やり罪に問われないようにしたが」
それを僕に言っていいのか?
「そこで、だ。お前は金を持ってたよな」
なんか、話の流れが分かってきたぞ。
「俺の立場で言っちゃいけねぇんだが、それで買ってやってくれないか?俺個人じゃあ、奴隷を買えるような金は動かせねぇ」
要は、助けてほしいと⋯⋯。
「ミナには許可もらっている。つまり、お前がロックバードを狩ったと分かってるぞ」
今、それを言う必要あるか?いや、そうか、暗に僕にはすぐ稼げるだろ?と言ってるわけか。
「まあ、無理強いはできねぇ。できれば助けてやってほしいというわけだ」
そんなこと言われても、相手の性格わからないし⋯⋯。
「じゃあ、オークションで見てからでいいから頼む」
頼まれているのは人助けだしなぁ。もう!わかったよ。見てから決めよう。
「分かった」
僕はそう答えて、とりあえず、オークションに参加することを決めた。押し切られた形になったが、まあ、奴隷と言えば、異世界のテンプレだからいいか。なんて思ってしまった。
数日後、僕はオークションに会場に来ていた。ギルドマスターとミナもいる。
発案者と、資金提供者ということだろう。
「では、オークションを開催します」
司会者のその声でオークションが始まった。周りには羽振りのいい貴族らしき人たちがいる。
オークションは特に何事もなく進んでいく。宝石とか、魔物のはく製とかまあ、貴族の好きそうなものが並んでいた。奴隷商だよなぁ?
「さて、本日の目玉!奴隷です。どうぞ」
そして、出てきたのは、ユキだった。彼女から情報入手できたのか⋯⋯と思った。会話がうまくできないから不思議で仕方ない。
「前回の襲撃事件のメンバーの一人です」
その声を聞いてか、今まで買おうとしていた貴族の人たちも残金の確認をやめた。危険性もあると考えたのだろう。
「では、開始は銀貨10枚から!」
その声に、何人かが入札していく。安くない?10万円くらいだよ。人身売買で。
「はい。現在は金貨1枚です。では、もう入札する方はいませんか?」
さて、どうするか。少し考え、僕は、
「金貨10枚で」
手を上げそう言った。これでも安いと思うけどね⋯⋯。大体、一千万だよ。うん。
「素晴らしい金額が出ました!それではほかに入札される方は⋯⋯いらっしゃらないようですね。では、そこの⋯⋯方!が落札されました」
ふつうは名前を呼ぶんだろうな。まあ、僕が知られてるわけもないけど。
「では、後程受け取りに来てください」
司会者はそう言って、次の商品へと移行した。
「刹那、ありがとな」
ギルドマスターがそう感謝を伝えている。ミナは特に何も言ってない。
その後も、オークションは続くのだった。