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第20話 ???

〈side???〉


「っ!」


 私が痛みを感じ、動きが鈍ったところに彼が接近してくる。そして、私に対して手刀を振るう。そのまま、私に当てられる。意識が薄れていく。


 その時一瞬、私に主導権が戻った気がした。


 薄れる意識の中、私は能力を発動させる。今まで、使えなかった能力が、使えたのか、使えてなかったのか分からないまま、私は意識を失った。


⋯⋯

⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯⋯⋯⋯


「うぅ」


 頭を押さえつつ私は立ち上がる。今まで動かせなかった体も動かせる。

 能力も、うん。使える。

 さてと、どうしよう?だんだんと、頭も冴えてきて、自分の今までの行動も思い出せる。だんだんと、頭が罪悪感だろうか?何かつらい感情が湧き上がってくる。

 が、今はそんな場合じゃない。急いで、私は移動を開始する。


 目指していた場所にたどり着く。

 そこには、気絶した彼の姿と、そこに向かって大剣を振るおうとしている大男の姿があった。

 そして、そばにいた、黒衣の男が、


「あぁ。ユキさんお帰りなさい。糸が切れていたので死んでいるのかと⋯⋯。まあ、もう一度つなげばいいだけですが」


と声をかけてくる。


「ん?つながりませんね。一度つなげれば無条件につなぎ直せるはずですが⋯⋯」


 少し焦った様子であいつは言った。それに私は、


「私、ユキじゃない。???。近いけど違う」


と返す。


「いや、そこじゃないでしょうに。今言うべき所は」


「重要」


「別人ってことですか?あまりにも似すぎてますが」


 驚いているのか、大男の操作も止まっている。


「別人じゃない。ユキ=私、???」


「は、はぁ。まあいいでしょう。『雪』の能力があったところでです。こいつと同じように、殺してあげますよ」


 そう言って、あいつは私のもとへ何人もの人間人形を差し向ける。

 それに対し私は、能力を発動。思いっきり使ったからだろうか、

 瞬間、雪が周りから舞い上がっていく。幻想的な光景だ。今までこんなことなかったんだけど⋯⋯。意識したら止められそうだけど、まあいいか。

 そして、私に群がろうとしてきた人間人形が停止する。そして、そのまま倒れる。


「何が起こったんですか?関節を凍らせたんですかね?」


 さすがの黒衣もうろたえる。

 そして、私は周辺を駆け回る。


「何をしているんですか?その程度じゃ私は翻弄されませんよ」


 そう言いながら私に向かって、剣を振るう。悪くはないがそこまで技術が高いわけでもないし、身体能力もそこそこだ。人形に頼り切っていたんだろう。振るわれる剣を私は難なく躱し、さらに、走り続ける。


「そっちこそ、そんな程度じゃ倒せない」


 そう言って、剣を回避する。そんな攻防が数分間続いた。


「準備完了」


 そう呟いて、私は能力を発動する。

 背後に回り、氷のナイフを振るう。


「っ!」


 あいつはそれを躱そうとするも、完全に躱し切れず、首筋に血が滲む。

 私は能力を再度使い、背後に回る。

 そのまま、ナイフを振るう。あいつはそれを躱しきれず、ナイフが刺突する。


「さて、この街を襲った理由、話す」


 あいつにそう声をかける。殺してはいない。


「はっ」


 あいつは鼻で笑って、


「理由なんてありませんよ。ただ、人を痛めつけたい。絶望した人の顔とはいいものですよ。家族を殺した人形の表情の美しさといえばもう⋯⋯」


なんてことを言う。身体を抱いて身もだえている。気持ち悪い。


「もういい」


 私はナイフを刀大にし、あいつの首を切り落とす。

 私のすることはここまで。




〈sideミナ〉


 私はレイピアであの魔族を切りつける。


「ほう。今までのやつ中では骨がありそうだな」


 楽しそうにそう言って、奴は笑う。

 怒り狂いそうになる精神を押さえつけ、冷静にふるまう。


「はっ!だが、所詮人間。魔族にゃ勝てねぇよ!」


 そう言って、奴は殴り掛かってくる。それを私は躱すことができず、もろに受ける。口の中に血の味が広がる。

 身体能力が違いすぎる。技術があっても力でねじ伏せる。圧倒的な差⋯⋯。分かっていたことだけど、種族の差は大きい。


「だけど、私は負けるわけにはいかない!」


 そう叫ぶ。勝ち目があるわけじゃない。恐怖だってある。でも、自分を鼓舞するために叫ぶ。

 レイピアを、力いっぱいに握りしめ振るう。


「威勢だけよくても、勝てねぇもんは勝てねぇよ」


 奴は、私のレイピアに向かって拳を振るう。

 奴の、力に押し負け、レイピアは折れる。

『カラン』

と、音を立てて、レイピアは地面を転がる。

 手にはまだ、レイピア越しに伝わってきた衝撃が残っている。

 だからと言って諦められるわけがない。能力で、剣を作り出す。


「ほぉ!能力者か!」


 奴は感嘆の声を上げているが、私は気にしない。奴を殺すことを最優先で考える。そして、剣を振るうも、それは簡単に折れる。


「ふぅん、『刃』の能力か。前に戦ったことがあるなぁ!」


 私は、ナイフを複数作り出し、飛ばす。刹那ほどの速度はないけど⋯⋯。

 すべて、奴の皮膚にはじかれる。


「あぁ、思い出した。お前、あの村の生き残りか!」


 奴は『はっはっ』と笑う。


「なるほどぉ。だったら遊んでやるか。あの村の奴は多少骨もあったしなぁ」


 そう言って、私に向かって突撃してくる。私はそれに反応することができずに、殴られる。

 何度も、何度も。


「けっ!圧倒的に経験も実力も足りてねぇな。こりゃ!」


 何もできない私を、ただひたすらに殴っていた奴は、そう呟いて私から離れる。


「もっと実力つけてきやがれ!雑魚なんていくら食っても面白くねぇ!」


 そのまま、奴は私に興味をなくしたように立ち去る。

 そして、体はもう限界だったのだろう。私はそのまま、意識を失った。

いろいろ、気になることがあるとは思いますが、次はミナの過去です。おそらく。。

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