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第19話 黒幕

 その後、僕らはあの男の指した建物に向かった。見た目は貴族の屋敷のように見える。どうやって仕入れたのだろうか⋯⋯。流石に、この物件の持ち主は有名になると思うのだが。今回は能力者がかかわっているのだろうか?


「ここねぇ、明らかに隠れるのに向いていないけど⋯⋯」


「だな。権力者もしくは能力者がかかわっているって考えるのが妥当か」


「どちらでも厄介なことに変わりないわよ⋯⋯」


 そう言って、ミナはため息を吐く。どちらにせよ厄介だな。うん。

 そんな雑談をしていると、食堂にたどり着いた。そこには


「ここまで来られるとは、ユキもギルもしくじったようですね」


「ふっ、所詮人間だってことよ」


と、話している二人の男の姿があった。見た目は、前者が黒いロングコートのようなものを纏っていて、魔道具の効果だろうか、顔が見えない。能力の可能性もあるが。後者は、角の生えた男でまたマッチョだ。マッチョ多くね?外の哀れな男はギルという名前なのだろう。角の生えた男は獣っぽくはないし、ファンタジー世界でいう魔族という奴だろう。


「先手必勝!」


 そう言ってミナが、魔族の男に切りかかる。


「刹那はもう一人のほうお願い」


「あぁ」


 僕もそれに答え、黒衣の男に切りかかる、


「気が早い方々ですね」


「雑魚が何匹集まろうと変わらんよ」


 そう言いながら、相手らは僕らの攻撃を受け流す。

 再度、僕はナイフ、ミナはレイピアで切りつける。それを、相手も同様に受け流す。


「ここじゃ、戦いずれぇ。別れるとしようぜ!」


 そう言って、魔族は別の部屋へと移動していく。ミナはそれに攻撃を加えるがほとんど相手にされていない。まあでも能力を使ったらなんとかできるだろう。

 僕はこの黒衣の男か。


「私たちも移動するとしましょうか」


 そう言って、黒衣の男も移動を開始する。もちろん、それを妨害しようと追撃するが、それはうまい具合に躱される。感覚的にはあの魔族以下ではある。つまりミナは強いほうを担当してくれると。まあ、能力者だったら分からないけど。

 移動が終わったのか立ち止まる。そして僕の考えを読み取ったのか、


「あぁ、私も能力者ですよ。能力の内容は⋯⋯こんな感じです」


そう言って、辺りから人形が現れる。そして、そのすべてが僕に向かって襲い掛かる。全員が剣を持っているために当たると殺される。

 流石に能力なしはしんどいか⋯⋯。僕は能力を発動し地を蹴る。

 切りかかってくる人形の剣をいなし、ナイフで腕を切り落とす。流石に能力で加速しないと避けきれない。これくらいなら黒衣の男も気づかないはずだ。そもそも、人形が多すぎて僕の姿なんて見えないだろうけど。

 しばらく、そんな戦闘を続けていた。人形の手足を切り捨て続ける。足の踏み場もないくらいに、手足が地面に散乱している。

 とはいえ、うまい具合に時折蹴り飛ばしているので問題はない。ただ、このままじゃ体力が持たないだろう。そう考えた僕は、能力でナイフを回転させ、一気に人形の数を減らす。そして、相手が能力を知らないという有利点を失う。それを見た黒衣の男は


「ほう。その様子だとあなたも能力者ですか。見た限り、速度ですかね」


と、そんなことを言う。仕方ないとはいえ、残りの隠し手段は銃のみか⋯⋯。しんどくなってきたな。


「それでは、この人形たちでは意味ないですね。残数が減ってしまうだけです。私も切り札を使いますか」


 切り札を使うって言ってもいいんだろうか?という疑問は置いておいて、相手の能力はなにか?が重要か。


「あぁ、能力を伝えてませんでしたね。まあ、わかりやすかったとは思いますが、私の能力は『人形』です」


 『人形』か。まあ、見た目通りだな。


「つまり、こういうこともできるんですね」


 後ろの扉から、多くの人間が現れる。


「少し時間はかかりますし、意識がない状態でないとできませんが、人間を人形として操れるんですね」


「っ!」


 その人間たちが剣を振るってくる。それに対し、僕は今までと同様にナイフで切りつけようとする。


「ちなみに、人形といっても生きてますよ。意識もあります。感覚も。そんな相手をあなたは切れますかね?」


 僕は急いでナイフを止める。黒衣の男は、笑顔を浮かべたような気がする。表情は見えないのでわからないが。


「最低だな」


 そう呟きながら、攻撃の回避に専念する。


「はは。最低ですか。いいですねぇ。私にとっては、誉め言葉ですよ!」


 本性が表れた。多分。

 ただ、攻撃ができないんじゃ、体力が削られるだけ。詰みか⋯⋯。


「能力を使えばいいでしょうに。人のいい人には効果的ですね。この技は」


 こうなったら、黒衣の男本人を狙うしかないのだが⋯⋯。どこにいるかも分からないし、攻撃すれば、周りの人が巻き込まれる。だからといって、巻き込めば、彼らに向ける顔がない。


「どうしました?このままでは死んでしまいますよ」


と、笑いながら奴は言う。


「そうですねぇ。少し遊びましょうか」


 そう言った瞬間、周りの人間が一斉に引く。そして、僕を囲むように輪を作る。


「さて、今から一人一人と戦ってもらいます。勝敗は死によって決まるということで、では、始め!」


 そして、その輪の中から一人の男が出てくる。大剣を背負った大男だ。大男は大剣を振りかぶる。今までと違って、動きもきれいだ。集中すれば、動きがよくなるのだろう。


「さあ!さあ!どうしますか!?」


 狂ったように笑いながら、奴は言う。僕は、大剣を躱しながら何とかできないかと考える。だが、いい案なんて浮かばない。

 大剣をかいくぐり、接近。そのまま、気絶させようと攻撃を仕掛け、命中。人形の時点で気絶なんてないだろうが、可能性にかけるしかない。が、


「人形は気絶なんてしませんよ。若干制御は乱れますが、もう慣れているので関係ありません」


全く、今までと同じような動きでこちらへ大剣を振るう。思わず僕は舌打ちをする。確かに、一瞬ぐらついたがほとんど関係ない。拘束具のようなものがあればいいのだが、そんなものの持ち合わせはないし、仮にあってもこの人数分はないだろう。

 数分、下手したら数時間、大剣をいなし続けた。が、もう体力も限界だし、視界もふらついてきた。そんな状態だからだろう。僕に大剣が直撃。視界が闇に染まった。

 そして、再度目を覚ました時、すべてが終わっていた。

多分、次回は短いです⋯⋯。

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