表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/101

第16話 スタンピード

 その後、僕は依頼を受けては達成するといった作業を繰り返していた。新鮮なことも何度かあったが、スライム倒しては、納品。薬草を採取しては、納品。兎角、納品。といったことばかりしていた。結果、僕はEランク冒険者になった。ペット探しの依頼とかもないこともないけど、新鮮味が欲しい冒険者が多いのか、そういった依頼はすぐに奪われる。その結果、常駐の依頼だけが残った。

 そんな日々を過ごして、数日が経った。いつも通り、ギルドでどの依頼を受けるか悩んでいたところで、


「冒険者の皆さん!スタンピードが発生しました。特別依頼としますのでご協力お願いします。申し訳ありませんが、Dランク以上の方は強制とさせていただきます」


 それを皮切りに酒場でビールらしきものを飲んでいた冒険者たちが立ち上がり、各々武器を手に取る。そして、そのうちの一人が、


「行くぞ!」


と、宣言する。それにほかの冒険者たちは


「「おー!」」


と、応え、ギルドの出口のほうへと向かう。

 え?あの蟒蛇たちはあんなに団結感あったか?

と思うが、さてどうするか?まあ、参加するしかないよな。そう思った僕は、ギルドを出て、蟒蛇どもの後を追う。


 そして、街の外へ出るとそこには、所狭しと並びこちらへと向かってくる魔物の群れがあった。幸い、街まではある程度の距離がある。そこに、冒険者たちは突撃していく。作戦とかはないらしい。とはいえ、仲間がいないんじゃ僕も突撃するしかないのだが。そう考え、僕も突撃していく。

 ナイフを魔物に投げつけ能力を発動。目立たない程度に加速させ、2,3匹の魔物に貫通させる。まあ、それだけじゃ、まったく魔物が減った様子はないんだけど。このペースじゃ、ナイフが尽きるほうが先か⋯⋯。

 さて、どうしようか⋯⋯。魔法をそこまで広範囲に使うことはできない。ラノベなんかじゃ、こういうのって奥に行くほど強い相手がいるよな?明らかに僕は、対多には向いてないから、奥に行ったほうがいいような気がする。さすがに、ロックバードよりも固い相手はいないだろ。そう思って、僕は自身に能力を使い、魔物の群れの奥へと突っ込む。手が吹き飛ばない程度に能力を使いつつナイフを振るい、勝てない相手でないことを確認しつつ。

 しばらく、奥へ切り込み続け、ある程度魔物が疎らになってきた辺りで足を止める。そして辺りを見渡し、人がいないことを確認。気配はないけど一応⋯⋯。そして、ナイフを回転させつつ投擲。それを能力で加速。ナイフは円を描くような軌道で進み、魔物を切り裂いていく。所々でスピードを変え魔物が慣れないようにもする。思い付きでやったが、案外うまくいった。そして辺りの魔物を殲滅したら、さらに奥へ、それを繰り返していく。物理無効とかいなくてよかったって、今更思った。ゴブリンキングなんかもいたが、ほとんど抵抗なく切り裂けた。円状に切り裂くので、大型の魔物でも切り裂ける。ロックバードはいなかった。いてもなんとか切断できる気もするが⋯⋯。

 それよりも、気になることがある。飛行型の魔物がいないのだ。何か理由でもあるのだろうか?

 そのまま切り裂き続け、最奥へとたどり着く。そこには、何かの機械があった。何の機械だろうか?近づいて調べる。球状のガラスがとりつけられてあり、その中には、矢印が浮かんでいる。そして、その矢印は街のほうを向いている。魔道具なのだろうか?しかし、その機械のガラスの下のほうには、銅線が見える。地球の機械に近いように思う。機械の能力者でもいるのだろうか?


「ご名答!私が機械の能力を持つ科学者だよ」


 機械を作るのは発明家ではないだろうか?という質問は置いておいて、心を読まれたように思う。機械の能力で読めるものなのだろうか?


「機械は作るけど、本職は科学者だよ。心を読めたのはそんな機械を作ったからなんだけどね」


 そう言いつつ、木陰から、現れる男。見た目は金髪で爽やかイケメンだ。白衣を身に纏っている。

 それよりも心を読む機械って、地球にもなくないだろうか?


「地球ってのはどこかわからないけど、まあ機械が多くあるのかな?」


 そんな風に、話しているが今はこの機械が何なのかを調べないといけない。


「ああ、その機械か。それは魔物を誘導する機械だよ」


 ここで、そんな機械だというということは、嘘ではないだろう。そんな嘘をつく理由がない。だったら壊すか。


「壊されたら困るんだよね。まあ、見られた以上始末するしかないか」


 そう言って、懐から銃を取り出す。異世界で銃をお目にかかるとは思わなかったな。僕は、無心で地を蹴り能力で男に近づく。


「な!」


 振るったナイフを、男は寸前のところで躱す。そして、僕から距離をとる。


「心を読んでも、今の攻撃は予測できなかったぞ」


 そんな風につぶやく男を無視し、再度、地を蹴りナイフを振るう。


「流石に同じ手は食わないよ」


 そう言って、ナイフを躱し、僕の後ろへと回り、銃を僕に向けて構える。

 僕は、振るったナイフの勢いのまま回転し、ナイフで銃を払う。


「はぁ。今のも防げるのかい。これは接近戦では分が悪そうだ」


 そして、男は僕からさらに距離をとる。そして、再度銃を構える。

 僕は、ナイフを投擲し、軽く能力を使う。

 銃はナイフにはじかれ、地面を転がる。


「構えた銃にナイフを当てるって人間業じゃないでしょ」


 男はそう言って苦笑を浮かべる。そして、もう一丁の銃を取り出す。

 その後も数十分戦闘を続けた。銃は持っているだけでも警戒しなければならない。投擲しても、二度目は躱されることになるだろう。能力で加速させればいいかもしれないが。それでは、相手が僕の能力を知らないというアドバンテージを失うことになる。この戦いではそこまで、派手に使っていないので知らないだろう。そういうわけで、僕は近づけないでいた。別に不利というわけではない。要は、隙を見せたところで、能力で接近。そのまま殺害という流れがいいだろう。

 そして、ようやくその時が来た。能力を使って、接近からのナイフを振るう。驚いた男は回避しようとするも、間に合わずナイフを突き立てられた。

 首に思いっきり突き立てたし、おそらく死んだだろう。呼吸も止まってるし。この世界で初めての殺人か⋯⋯。そう思っても特に感情は沸いてこなかった。

 と、そんな感傷に浸ってる場合じゃなかった。そう考え、僕はナイフを投擲し、機械を破壊する。案の定、爆発したので離れて投擲したのは正解だったろう。そして、辺りの魔物も動きを止め、森へと引き返していくわけでもなく、人間を殺そうと襲い掛かってくる。それを、回転ナイフで迎撃しつつ、僕は街へと戻るのだった。

 これが、デラクアでのスタンピードは収束したのだった。

銃では接近戦が弱いのは当たり前だろと思いつつ書かれたそうです。あと、あっけない。無双してる。

作者の予想外が大量発生しているようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ