第14話 村での依頼3
今回の話で村での内容は終わりです。
あと、ブクマの登録してくれた方が一人いらしたようでめちゃくちゃありがたいです。
〈side〇〇〉
その夜のこと。男が一人歩いていた⋯⋯。
「さて、準備も進んできたが、まだだろうな。今行動したところで、だ。やはり力不足か⋯⋯。この能力じゃあな⋯⋯」
そう言って男はため息をついたのち、舌打ちをする。
「あの森にあいつがいなければな⋯⋯」
そう悔やむように、吐き出すように言った。
「処分しろと言いたいところだが⋯⋯私の信頼にもかかわるだろうからな。今、あいつらからの協力を失うのも痛いか⋯⋯」
男は、まるで『あいつら』が道具であるかのようにつぶやく⋯⋯。
「ここで、成功したらいいだけのだが、結局見つけられるかは運でしかないか⋯⋯」
そう言って、男は歩みを進める。そして、ポケットから何かしらの機械を取り出し、再度ため息をつく。
「また、何者かに先を越されたか⋯⋯。とはいえ、これで候補者は最後のはずだ⋯⋯」
そうつぶやいたのち、男は身をひるがえしその場を後にするのだった。
〈side刹那〉
翌日、僕らはまた、あの道に来ていた。はいいものの、まったく、ゴブリンらしき痕跡は見つからない。歩けど歩けど木々が鬱蒼と茂っているばかりだ。
となると例の開けた場所しか候補がなくなるわけだが⋯⋯。あそこにも痕跡はなかったよなぁ。そんなことを考えながら、道を歩き続ける。
そして⋯⋯
そして、道の先へとたどり着いた⋯⋯が、そこには前日の祠はなく道が続くだけだった。少し開けているとはいえ採集できるぎりぎりの空間しか広がっていない⋯⋯。
「刹那の言っていた祠とやらはないな!違う道でも通ったのか!」
怒っているようだが、実際はただ訪ねているだけである。
「いや、実際にあったはずだ。ここまでかかった時間もほとんど同じだし道も分かれていなかった」
「何か見間違えたんじゃない?まあどちらにしてもここが正解みたいね⋯⋯」
そう言ってモニカは奥に目を向ける。そこには人を引きずったような痕跡と道があった。
「そうだろうな!さあさあ、行くぞお前たち!」
とクラエスが号令をする。もちろん返事は聞かずに先行して奥へと向かう。モニカも慣れているのかそれについていく。
しばらく、歩いた先には簡単な家々が立ち並ぶ集落があった。
え!?ゴブリンって集落なんて作らないはずだよね⋯⋯。
「あぁーえっと、これ上位種いるわね⋯⋯。ギルドに戻るしかないかしらね」
「今回はまずいかもしれないな!」
明らかにまずいでしょうね!あと、上位種とかもあるんだね!さすが異世界!もう、クラエスのしゃべり方には突っ込まないよ!
と、投げやりになった心で考えていると⋯⋯何かの足音がしてきた。その足音はだんだん近づいてきて⋯⋯
何やら、筋肉質な体を持った緑色の生命体が現れた。あの筋肉だるまの称号を持つギルドマスターよりも筋肉が目立ってます(勝手に付けた)。王冠を身に着けてるし多分ゴブリンキングとかいう名前だろう。
「これは逃がしてくれそうにないな!」
そう言って、突撃していくクラエス。恐怖心はないのだろうか?それに、こんな性格でも生き残ってこれたのはなぞでしかない⋯⋯。まあ、単純に逃げることもできないくらいの相手なだけかもしれないが⋯⋯。まあ、ここで置いて逃げても後悔するだけだろうからな。そう考えて、僕も臨戦体制へと移行する。不思議と恐怖はなかった。
「まあ、やるしかないわよね⋯⋯」
そう言ってモニカは杖を構える。僕はナイフを手に持ちゴブリンキングに近づく。図体が大きいためナイフで傷つけてもかすり傷程度にしかならない。クラエスの大剣はしっかりと回避されている。まあ、つまりクラエスの大剣で仕留めるか、魔法で何とかするくらいしかないかな。腱を切るとかもあるのかもしれないが僕に場所なんて⋯⋯あれ?なんとなくならわかるんだが⋯⋯。まあ、それを試すしかないか⋯⋯。そう思った僕は狙いを定めナイフをふるう。が、それは固い腕の皮膚に防がれた。よく見てみれば体以外の部分だけにしかほとんど傷がない。もちろんゴブリンキングはそんな隙を逃すわけもなく腕を振るう。僕なんて棍棒を使わなくても十分なんですね⋯⋯。そりゃ、僕のほうが弱いけど少し悲しくなる。と、そんなこと考えてる場合じゃない。今はこの手を避けないといけないが、
まずいな。
体勢が悪く回避が間に合わない。無理やり地面を蹴るが回避できるほどの移動はできそうにない。
「っっ!」
衝撃に備えようとするが、よくよく考えると能力使えばいいよな?今更そんなことに気づいた僕は、自分に対して能力を使う。瞬間、体が勢いよく引っ張られ後ろに飛ばされるような感覚がした。急いで僕は能力の発動具合を調節して着地可能なくらいの速度にする。
そして、何とか着地する。そして、再度ゴブリンキングのもとへと向かう。そして、ナイフを再度、腱へと振るう。そして、ナイフを勢いのままに投げる。そして、そのナイフに向かって能力を使用する。瞬間、能力によってナイフは一瞬で森の木に突き刺さり、ゴブリンキングの腕が空を舞う。腱を切ることを狙ったんだがなぁ。
それに、ゴブリンキングは怒り狂ったように暴れる。そんな動きではクラエスの攻撃を防ぐことはできるはずもなく、あっさりと首に大剣が振るわれる。そして⋯⋯首が飛ぶなんてことはなく大剣がのどに突き刺さった状態でゴブリンキングはこと切れた。
終わってから思ったがゴブリンキングも大したことなかったな。脅威なのはあの身体能力か。まあ、油断してくれていてよかったって感じかな。
「ふぇ~~。何とかなったわね。正直、ゴブリンキングが出てきたときは死を覚悟したわよ。まあ、あいつが痛みに慣れていなかったことと、刹那のナイフがなければ私たち死んでたわね⋯⋯」
「お疲れだ!二人とも!さて!次はこの集落の殲滅があるぞ!さあ、もう一仕事頑張ろう!」
僕とモニカが感傷に浸っているとクラエスがそんなことを叫ぶ。モニカたちはあのナイフがとても鋭いナイフだと思っているようだ。能力についてあまり広めるのもよくないかと思うため訂正はしないが。
その後は、ゴブリンをクラエスは大剣で首を飛ばし、モニカは杖で頭をつぶし、僕はナイフで首を切る。何度も切り込む必要があり効率は悪いが⋯⋯。
そうして、村での依頼は解決するのだった。
もう三人称視点で書きたくない⋯⋯。
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モチベにつながるので更新速度が早まるかも⋯⋯。