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第12話 村での依頼1

 次の日、僕がギルドの依頼板の前で何をしようかと考えていた時、


「おお、新人!今日も依頼か!?精が出るな!」


と、クラエスが声をかけてきた。疑問形の文にも!がつくのかよ!


「もう依頼受けたか!?」


「いや、まだ受けてないが⋯⋯」


と答えると、


「よかった!これから、ゴブリン討伐に行くんだが、人数が足りなくてな!俺とモニカなら全く問題ないんだがな!依頼の条件が3人以上なんだよ!」


 いや、行くとは一言も言っていないんだが⋯⋯。まあ、迷っていたくらいだしいいけどさ。というか、依頼の受注自体できたのか?そう思っていると、クラエスが一枚の依頼を取って、受付に向かおうとしている。受注自体はしていなかったみたいだ。


「おーい!こっちにこい!」


 クラエスに呼ばれ、僕も受付へと向かう。受付にたどり着くと、


「では受注される場合こちらにサインをお願いします」


 言われた通りにサインをする。クラエスとモニカはパーティーを組んでいるのでどちらかのサインでいいらしい。


「受注完了したし行くか!」


 そう言ってクラエスは出口へと向かう。その姿がまさに冒険者って感じで、今更なんだが、まじめな冒険者もいるんだなって思った。全員蟒蛇なのかと思っていた。


 そして僕らは昨日と同じく馬車に乗り込むことになった。クラエスが説明することなく連れてこられたため、今回の依頼の内容なんて詳しくは知らない。とりあえず、


「モニカさん今回の依頼の内容ってどんな感じなんですか?」


「はぁ~。クラエスのやつ説明もせずに連れてきたのね」


はい、その通りです。


「今回の依頼は、まず村に向かって、そこの村人から情報収集かな?今回はそこまで被害が出ていないから情報収集できるけどほとんど村人が生き残っていない場合やトラウマになってまともに話せない場合もあるから注意ね。そのあとは、情報次第なんだけど、ゴブリンの巣を見つけて殲滅って感じかな?あと、昨日今日で人を信用しないようにね。気を付けないと強奪やらされるわよ」


 確かにそうか。日本と違って安心しきっちゃいけないな。


「はい。気を付けるようにします。ご忠告ありがとうございます」


「あと、敬語は冒険者として舐められるわよ」


「は⋯⋯ああ」


「ちょっと待て!俺には敬語を使われたことないんだが、どういうことだ!」


「そりゃ、クラエスだからでしょ」


「クラエスだからだろ」


 モニカと意見が合う。


「そんな言い方ないだろ!俺だってあいつらに好かれるように努力してるんだぞ!」


「好かれてるわよ。兄貴的な存在としてね」


 あの蟒蛇どもにそんな感情はなさそうだけどな。


「あいつらは酒以外に興味ないだろうが!」


 ほかの冒険者にすらそう思われているのか⋯⋯。


「だいたい、なんでこの町のギルドには酒飲みだけが集まってんだか!」


 そこ!いりますかね?いやまあ、クラエスだから仕方ないか。

 というか、この町が特別なのかよ!冒険者ってこんなもんかと思ってたわ!


「あっ、そういえばユキちゃんはいなかったの?てっきり、刹那と仲がいいのかと思ってたんだけど」


 いや、新人同士なだけでなぜそうなるんだ?


「いや、別に仲は良くないし、何ならダンジョンでは初対面だぞ」


「そいやぁ、居なかったな!まあ、俺は3人集まったからどっちでもいいが!」


 なんだろう。クラエスが冷たいやつに思えていたんだが⋯⋯。


「知り合いじゃないなら気にしないけど」


 こちらも冷たいんですね⋯⋯。いや、気にしないのは普通なんだが言葉に表すとなぁ。


「そろそろ、目的地の村ですよ」


 そう御者に呼ばれて僕らは、馬車から降りる。ちなみに、乗合馬車ではあったが客はいなかった。まあ、わざわざ町から村に行く人はそうそう居ないよな。


「さて、情報収集をするわけだけれども、刹那は一人でできる?私はクラエスと聞き込みするけど⋯⋯こいつがいると大変だろうから⋯⋯」


 それには同意だな。クラエスは強引だししゃべり方もうるさいし。聞き込みには不向きだよな。


「ああ、大丈夫だ。そっちのほうが心配だが」


「なあ、あんたら人が黙って聞いてりゃ失礼すぎないか!」


 それを華麗にスルーし、僕らは分かれる。


 さて、どうしようか?

 聞き込みは、あの二人がするだろうし、こっちは村周辺の調査かな。

 そう思った僕は、行動を開始する。ひとまず、村の周りを回る。

 回り終え見つかったのは、森の中に続く道が一つ。おそらく、村人が野菜や薬草を採集するときに使うのだろう。できることは、その道の調査か。そう思って僕はその道へと歩き出す。

 道は細く、一人歩けるくらいのスペースしかない。木々も鬱蒼と茂っていて、周りもよく見えない。これで、横から襲われるとなると、被害者も多く出るだろう。この道は封鎖するか、ある程度視界を確保できるように整備したほうがいいだろう。それを決めるのは僕じゃないが⋯⋯。

 ある程度歩いたところで開けた場所に出た。ここまで、曲がりくねった道だったため、村から直線での距離はそう遠くないだろう。開けているため、ここで襲われたとは考えにくいか⋯⋯。魔物も馬鹿じゃない。狩りをするにも場所を選ぶ。ここで襲われ、死者が出たならある程度は実力のある魔物だろう。

 一応辺りを見渡す。ここには草は生えているが、神聖な場所であるかのように背の高い木や草はない空間が円状に広がっている。地球にあればミステリーサークルなんて呼ばれそうだな。スポットだろうか?どっちでもいいか。その空間の奥には、質素な祠がある。何らかの神を祀っているのだろうか。この祠のためにこの空間は整地されたのだろう。

 僕は興味本位でその祠へと近づく。見た限り、普通の祠だ。簡素な作りで、箱に屋根を付けただけのような形で中は見えないようになっている。

 開けるのはさすがに躊躇われたため、立ち上がり再度辺りを見渡す。特に気になるものはなかったため、村に引き返そうと後ろを振り返り、先ほどの道へと戻り、どこかに魔物の痕跡が残ってないかと探りながら帰路をたどるのだった。


クラエスがいじられてますが、そんな悪い人ではないんだけどな⋯⋯。

というか、後半と前半がすごい温度差⋯⋯。

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