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第86話 文化祭の準備01


「そんなわけで」


 と委員長。


 ロングホームルーム。


 夏も晩な二学期最初。


 話し合いが行なわれた。


 文化祭の出し物についてだ。


「提案がある方」


 と挙手を募る。


 ラピスは突っ伏して寝ている。


 誰も恐くて起こせない。


 多分起こせるのは僕だけだけど、その意義もあんまり感じなかったりして……というか触らぬ神に祟りなし。


 僕にとっての女神だけど、反動は世界を滅ぼす。


 南無。


「喫茶店」


「プラネタリウム」


 お化け屋敷に占い。


 様々。


「…………」


 僕は肘をついてホケッと。


 何に決まっても文句はない。


「陛下……」


 隣の席のアートが声をかけてきた。


 既に工事は終わっており、ぬけぬけと僕らの家の隣に豪邸を建てたシルバーマン。


 いやさ文句を付けるのも違うけど、その不遜さはある種の尊崇を感銘する。


 閑話休題。


「何?」


「文化祭はデートしませんので?」


「ええと……」


 少し思案。


 それはつまり……僕とアートが?


 場合によって他のヒロインが黙っていないはずだけども、そこは逸っているのだろうか。


 とりあえずの確認。


「お誘い?」


「ですなー」


 コクリと頷かれた。


「僕は構わないよ」


「恐縮だす」


 ラピスの機嫌までは推し量れないけど。


 スースーと寝ているので、後で確認しよう。


 場合によっては英国が地図から消えるけど、その場合の抑止力に僕が選ばれたのだろう。


 よく考えてある。


 アート自身の策かは別の議論として。


「メイド喫茶!」


「コスプレ喫茶!」


「司馬さんとシルバーマンさんをメイドに!」


 冥土に送られるよ。


「…………」


 一人は船を漕いで、


「は~」


 一人はあまり分かっていない御様子。


「メイドなら我が家にいぱいいますが?」


「連れてきちゃ駄目よ?」


「そですか?」


 色々と台無しになる。


 そこは弁えて欲しかった。


「はあ」


 とアート。


 分かったのか否か。


 いいんだけど。


 さすがに英国式のメイドさんを学校に連れてくればあらゆる意味で破綻する。


 それはもう間違いない。


 無論、アートに悪意がないのは分かるんだけど……問題はそこじゃない。


 単純に素人芸を越えている……の一点だ。


「食品関連の場合、検便も有り得ますけど大丈夫でしょうか」


 そんな委員長の言葉。


「「「「「ぐ――――」」」」」


 とクラスメイトが引く。


 あまり良い印象はないよね。


「しかし司馬さんのメイド服を見たい!」


「シルバーマンさんのコスプレが見たい!」


 大変だなぁ。


 ホケッと。


 賛成多数で喫茶店に。


 メイド喫茶とコスプレ喫茶で揉めたけど、


「コイントスで」


 と旅団のような事を言い、結果メイド喫茶に決まる運びとなった。


「メイドね~」


 あまり意識は湧かないけど。


 冷めているのは寂しい。


 一緒にお祭りを楽しみたいけど、「いいのかな?」少し思案もする。


「ところでラピスはどうしよう?」


 眠っている内にメイド喫茶に決まったけど……その意味でラピスのメイド姿はちょっと楽しみだったり。


 もちろん地が可愛いので、これ以上無いだろう。


 観念的に。


 その意味ではグッジョブな発案ではあれど、できれば性的な目で見られるのは控えたいのも男の子心。


「いいじゃなですか?」


「そっかな?」


「閣下のメイド姿はこーふんしま」


「…………」


 想像してみる。


 うーん。


 デリシャス。


 ワンダフル。


 フリルの付いたフリフリのメイド姿。


 ニーソックスにメイドカチューシャ。


 エプロンも忘れてはいけないだろう。


「……………………在りだね」


「でうすよ~」


 後刻、


「はあ」


 とぼんやりラピス。


 特に文化祭への意識も無いらしい。


「メイド喫茶ですか」


 感慨も無いようだ。


 赤い瞳は「興味なし」と語っていた。


「ラピスがメイドになると可愛いからね」


「兄さんがそう仰るなら」


 一応学生なので文化祭も学業だ。


 楽しんだものが勝者と言いますか。


「兄さんはメイドが好きだったんですか?」


「妹が好きなんだけど……妹メイドも大好きかな?」


 我ながらシスコン道を邁進中。


 何処に向かっているかはよく分かってもおらず。


 どこで決着するのかも……またよく分かっておらず。


「メイドのコスプレですか……」


 純白の髪を梳きながら、ぼんやりラピスは呟いた。


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