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第82話 恋の下火はまだ燃えて03


 そんなわけで、


「はい。ルリ」


「どうしたの……?」


「友達の家で作って貰った料理だよ」


 ワールドジャンプで一旦自宅に戻る僕とラピスでした。


 テーブルに豪華な料理を並べていく。


「多い……」


「残していいから」


「うん……」


「可愛い!」


 ヒシッと抱きしめる。


 やはりルリズム万歳。


 妹とはお兄ちゃんにとっての固定資産に相当する。


 誰が嫁にやるものか。


 ルリを娶る人間は「殺してしまえ」が基本則。


「というわけなので」


 夕餉を取りながら事情を話す。


「アートの家に一泊するからお留守番任せて良い?」


「大得意……」


 引き籠りだしね。


「んで明日の夕方には帰るから。それまで一人にさせちゃうけど大丈夫?」


「はい……あう……」


「本当に大丈夫? アレなら残るけど?」


「えと……その……だいじょぶ……」


「ならいいんだけど」


「パスタ美味しいね」


「トマトとチーズが絶品」


「イギリス料理じゃない辺りが空しさを覚えますよね」


 ――そゆこと言わない。


 ラピスにチョップ。


 んで、


「イギリスは永久機関を手に入れたんだよね?」


「ですね」


「どういう理屈?」


「純粋数学による世界改竄」


「えーと……」


 何言ってんの?


 およそ言葉の意味が浸透しなかった。


「ですから改竄です」


「数学で?」


「数学で」


「露骨特異点がどうのでは?」


「さほどのエネルギーは要らないでしょう。それに管理する私が死ねばどうにもならなくなりますし」


「だね」


 ラピスにも寿命があるから死んだ後も運営出来るようにするのは必然だ。


 その意味で今のラピスの技術が希少なのもまた必然。


「世界って数学で改竄できるの?」


「普遍的に」


「基準にするだけじゃないの?」


「今の物理学ではそうですね。もっともソレを言ってしまえば、私の状況が否定されるのですけど。兄さんとしてはどう思います?」


「インタフェース」


「ええ、そもそもラプラスレコードその物が演算装置ですので。たしかに超常的な演算には相違ありません。電流の演算をすればラプラスは応えてくれますよ。お兄様におきましては何が不安なので? アレなら自重しますけど……」


「理解のハードルが高すぎる」


 純粋数学で物理法則を改竄するなんて。


 でも納得もする。


 神様というほど個性的ではないしても、「システマチックな全知全能」は存在を許される。


 ラピスはその代弁者だ。


 南無三。


 そげなわけで、


「結局ラピスは神様なの?」


「どうでしょう?」


 当人も分かっていないらしい。


「魔神が近いでしょうけど」


 ロボ?


「違います」


 半眼で睨まれました。


「光子力で動いたり……」


「そんな平和エネルギーは持ち合わせておりませんで」


 さいですね。


 そもそも光子力をエネルギーにしても微々たるモノだし。


「お姉ちゃんは……凄いね……」


「ルリもその内出来るかもですね」


「あう……」


「出来れば遠慮めしたいんだけど」


「ま、世界をつまらなくするくらいにしか役に立ちませんが」


『世界を大いに盛り上げている司馬ラピス』


 が何を抜かす。


 世界的な犯罪者だよ?


 僕に言えた義理でもないけど。


「お姉ちゃん最強……」


「照れます」


「…………」


 ふと思った。


 えーと……。


 ま、いっか。


 此処で聞くのも違う気がする。


「これは何」


 肉っぽい物をルリがフォークでつついていた。


「フォアグラですね」


「フォアグラ……」


 名は知っているのだろう。


 高級料理です。


 サッパリと濃厚のハーモニー。


 しばらく司馬家で夕餉。


 それからワールドジャンプでシルバーマン邸まで戻る。


 銀食器も一緒に。


「結局」


 ラピスに負んぶに抱っこなんだよね。


 実際のところ。


「兄さん?」


 ――何でも無いよ。


 嘘だけど。


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