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第81話 恋の下火はまだ燃えて02


 屋敷は荘厳。


 なお広く。


 マッピングだけで三日は潰れそうだ。


 客間に通された。


「やほー。陛下。閣下。ミス四谷にミスター久遠。ご歓迎いたまーす。にゃむさんだいじゅぼさつ」


「どうも」


「ですね」


「あう」


「ども」


 四人それぞれに。


「お飲み物は如何しましょう?」


「イギリスなら紅茶?」


「兄さんと同じで」


「あたしも」


「じゃあ俺も」


「主体性がなーですよ?」


 日本人の処世術です。


 周りに合わせる。


 コレ鉄板。


「遊びに来てくだすって感謝のあられ」


 雨霰と言いたいのだろうか?


 たまによく分からないアートの日本語。


 いや、別に流暢に話せとは言いませんけども。


 アートにはアートの目論見があるだろうし。


「とりあえず鬼ごこでもしますかー?」


「遭難する」


 まず以て地理不明だ。


「残念迂遠」


 どこまで本気なのだろう?


 ちょっと気になったけど、ツッコミは入れない。


 さほどの鋭敏も必要ないだろう。


 アートに邪気がないのは分かっている。


 その上で、だから……たしかにアートは良い友達だ。


 狙いがラピスであろうとも……ね。


「失礼します」


 そんな使用人さんの声。


 紅茶が振る舞われる。


 スッと僕は飲んだ。


「美味」「見事ですね」「へえ」「おんみごと」


 四者四様いに、紅茶の室を褒めた。


「うちの自慢ですだ」


 さすがは世界最大の財閥か。


 基礎的な茶からして芸術の域を極め奉る。


 緑茶を置いてないのは残念だけど、紅茶の旨味はソレを吹き飛ばすほどの味だった。


「何して遊びます~?」


 とりあえず遊ぶのは前提なのね。


 我ながら嘆息。


「テレビゲームも揃えていまーすよ?」


「イギリスまで来てせんでも」


 そんな久遠。


 僕も彼に同意。


「庭を見せて貰えませんか?」


「そげなことでいいですかー?」


「ええ」


 穏やかにラピスは首肯した。


「ではでは」


 紅茶を飲んで、一息。


 それから屋敷を歩く。


 完璧に手入れされた庭園が屋敷を覆っていた。


 屋敷に来るまでの車内でも荘厳だったけど、屋敷を囲む庭園はその上をいく威厳所持獲得してるのだった。


 息つかせぬ絶対領域。


 日本。


 中華。


 西洋も派閥ごとの庭園が管理されていた。


「言葉もない……と」


 バッキンガム宮殿でももうちょっと控えめだと思ふの。


「超法規的という意味では王国と然程変わりませんから」


 この場合は世界制覇王国だろう。


 グレートブリテン恐るべし。


「さて。今日は泊まていてください」


「いいので?」


「覇王陛下と宰相閣下。並びに親しい友人」


 然程でもないんだけど。


「とても畏れ入りますが手一杯お持てなしを」


「はあ」


 と僕。


「兄さん?」


「へぇへ」


「一緒にお風呂入りましょうね?」


「その前に僕を一旦自宅に帰して」


「ルリですか」


「うん。御飯作ってあげないと」


「では司馬様の御飯は此方で作るとは?」


「いいですね。お願いできますか?」


「料理人に頼んでみ、まーす」


「多謝」


 一礼。


「畏れおいいです」


 色々と大変だね。


「アート?」


 そこにシルバーシートが。


 白髪の健康的な老人だ。


 杖をついているけど肉体には一本の芯がある。


 とても力強い立ち方だった。


 年齢と比例しない背筋の伸び方。


「お爺様」


「お友達かな。これは宰相閣下。さくじつは有り難いことに」


「こちら」


 と僕に手を差し出すラピス。


「世界制覇王国……覇王陛下司馬軽木陛下にございます」


「なんと。覇王陛下まで」


 どちら様?


「シルバーマン財閥の当主です。公爵と呼んであげてください」


 ボソリとラピスが呟く。


「お初お目に公爵閣下。司馬軽木と申します」


「四谷です」


「久遠です」


「若い人がいると活気があって良いですな」


 公爵はカラカラと笑った。


「今日は泊まていかれるです」


 アートが言う。


「私も一緒しても」


「歓迎ですお爺様」


 アートにとってもお爺様……シルバーマンの当主は無視できえぬモノらしい。


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