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第63話 パールハーバーを蹴っ飛ばせ02


「兄さん兄さん」


 ワンコの様にラピスがすり寄ってくる。


 超可愛い。


 ぐうかわ。


「はいはい」


「日焼け止めを塗ってください」


「…………」


 何をかいわんや。


 ちょっと思考がフリーズしてしまった。


「勿論全身を」


「…………」


 何を仰ってるので?


 むしろ何をさせる気で?


「全身を触ってくださいと」


 勝手に心を読まないで。


 いや、確かにご褒美ですけど。


 ラピスとイチャイチャするのは僕にとっての。


 ともあれ確認事項が一つ。


「肌焼けしないんじゃない?」


 司馬セーフティがあれば。


「まぁそうですけど」


 じゃあ何よ?


「兄さんにセクハラして欲しいんです。セクシャル的なハラスメントを敢行して欲しいんですよ」


「却下」


 ツンとおでこを指す。


「あうん」


 目をバッテンにして、つまらなそうなラピス。


 その可愛い仕草は僕の男の子心をくすぐってしまうのです。


「セクハラを~」


 意外とラピスも粘り強い。


「ルリとはお風呂入ってるくせに」


 うぐぅ。


「ハワイだって日本語通じるんだから止めて」


「では愛情を」


「一緒に寝てあげるから」


「ソレは何時もして貰っています」


 まぁしょうがないんだけど。


「そんなわけで」


「えー」


「何で嫌そうなんですか?」


 聞くかねソレを。


 問うかねソレを。


 こっちとしてはドキドキだ。


 ラピスはあらゆる意味で魅力的に過ぎる。


「司馬」


 とは四谷。


「あたしにも日焼け止め」


「ブルータスよ、お前もか」


「いいじゃん?」


 なにも良くは無いんだけど……。


「ビッチもですか?」


「ビッチじゃないし」


「……………………」


 その胡乱げな瞳はどうにかならない?


 僕だって傷つくときは傷つくんだけど。


「じゃ、二人で塗り合えば?」


「意味ないですよ」


「意味ないし」


 さほどサービス精神旺盛にはなれないんだけど。


 それとも何か?


 僕に塗って貰うことが本音か……。本音なんですね……。


「背中で妥協するなら一考の余地在り」


「じゃあそれで」


「だし」


 こっちがセクハラを受けている気分。


「えーと」


 そんなわけでこんなわけ。


 二人揃って寝そべります。


 背中にローションを塗っていく。


 ガリガリと精神値を削られている気分。


 SAN値直葬とはよく言った物で。


「あん」


「変な声出さない」


「何してんの?」


 ジト目の四谷。


 不機嫌そうだけど……決して僕は悪くない。


 無罪を主張して余りあるのです。


 無論「何をしているか」なら見たとおりですけどね。


「日焼け止めを塗ってる」


 他に何がある?


「ラピスも挑発しない」


「兄さんになら全裸で突貫できますけど……」


「試作三号機に乗ってください」


 他に言うべき事もない。


 四谷の方にも塗る。


「これはこれで恥ずかしいね」


「なら止めようか?」


「駄目」


 ――何を根拠に?


 少し考える。


 僕に塗って貰わなくても、久遠が居るジャマイカ。


 別に此処では仮面恋人をする必要も無いし。


 何故に僕を指名する?


「司馬はさ」


「へぇへ」


「おっぱい大きい子が好きなの?」


「大好きだよ?」


「うぅ」


 コンプレックスらしい。


 別に小さいとも思わないんだけど。


 ラピスは例外だ。


 ルリとも一緒にお風呂に入っているし。


 大切なのは大きさじゃない。


 大切な人の大切なおっぱいが大切なのだ。


「司馬さんのこと考えてたでしょ?」


「そりゃおっぱいの話題ならね」


「司馬のエッチ」


「年齢相応です」


「一応恋人はあたしなんだけど?」


「御苦労様」


 半眼で睨まれました。


 ま、ぶっちゃけ先述の通り、仮面恋人をハワイにまで持ち込むこともなかろうけど。


 ペタペタとローションを。


「…………馬鹿」


 失礼な。


 確かに馬鹿かも知れないけど、面と向かって言うことないじゃないか。


「…………だから馬鹿って言ってるの」


 寂しげに四谷の呟いて。


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