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第29話 五分で出来る世界征服04


「ただいまです」


 夕方になってラピスが帰参した。


 ――身元引受人とか要らないのだろうか?


 四谷は駄弁った後、親にお使いを頼まれ帰宅。


「お務め御苦労様」


 僕は朗らかに妹を迎えた。


「あう……」


 ルリが階段の折り返しでこちらを見やる。


「四谷さんは……帰った……?」


「だね」


「他に人は……?」


「僕とラピス。ロビンソンでも歌いたい気分だけど、まぁ利権の関係があるので止めておきましょうぞ」


「にゃ……」


 テケテケと歩いて一階に顔を見せるルリ。


 まぁその健全にしてたどたどしい立ち居振る舞いが愛らしいこと愛らしいこと。


「ダーヤマ電気に……行ったんだよね……?」


「だね」


「です」


 そこは当然。


「何するの?」


「世界征服です」


 言葉にする度に、胡散臭さが青天井なんですけど。


「電気屋さんのビデオカメラで?」


「ですね」


 ビデオカメラに、世界を敵に回せる性能はないと思うんだけど……。


「まず以て世界征服をするには何が必要だと思います?」


 ラピスがビデオカメラを弄くりながら問うた。


 僕とルリは、カフェオレを飲んで考える。


「軍事力?」


「権力……?」


「違います」


 ビデオカメラを操作。


「じゃあ何よ?」


 となるわけで。


「世界に向けてセンセーショナルな宣言をすることです」


「んーと?」


「所謂、言った者勝ちですね」


「世界に喧嘩を売る……と?」


「其処までは言いません」


 曰く、「喧嘩を売れば反発されますから」とのこと。


「もっと単純に主張するだけです。動画を作れば手っ取り早いですし、ま、後はコッチの裁量次第でどうてでもなりましょうぞ」


「それとカメラがどう繋がるの?」


「アピール動画を作って全世界に配信します。この国際社会なら、簡単に広まるでしょ? グローバルネットの時代でもありますし」


「ユーチューバー?」


「もうちょっとお茶の間寄りですけど」


 お茶の間寄り……ときたか。


「大丈夫です」


 何に安心しろと。


 率直な様子……何もかもが安心のベクトルには向いていない。


「万事上手く行きますので」


 その論拠は何よ?


「兄さんパワーです」


「お兄ちゃん……パワー……」


 ルリが感銘を受けている御様子。


 さりとて意味不明。


 うーん。


 嫌な予感。


 エイトセンシズがざわめく。


 おおよそラピスが何を考えているのか。


 予測の立て様が無い……とはいえ仮に立てた場合にラピスを止められるのかは、また別種の問題だけどね。


 キャピ。


「動画配信ね……」


「ぶっちゃけ世界を支配しますと言うだけで世界征服は為るんですよ」


「悪の秘密結社も真っ青だね」


 身も蓋もないとはこのことだ。


 たしかに国境の問題さえ解決できるのなら新しい国が勃興してもおかしくはないんだけど……今回に限って云えばラピスは地球の国全てを掌握する……つまり世界征服を企んでいらっしゃるわけで。


 先述したように嫌な予感増し増し。


「動画サイトに上げるの?」


「いえいえ。先にも申したとおりお茶の間に」


「テレビ局が許すかな?」


「その辺はラピスにお任せを」


「いいんだけどさ」


「となわけで」


 何か?


「お腹が空きました」


 はいはい。


 リビングから繋がるダイニング。


 その奥のシステムキッチンに立つ僕だった。


 料理をしている間くらいは現実逃避も可能でしょう。


 なんかラピスが来てからこっち常識から幽離してるなぁ。


 キスされたし。


 慕われたし。


 同衾。


 一緒にお風呂。


「ルリ……か」


「お兄ちゃん……?」


「ルリは夕餉にリクエストはあるかな?」


「あう……パスタ……」


「承りました」


 パスタは常備しているので作るのは簡単だ。


「カルボナーラでいい?」


「お兄ちゃんのなら……」


 やっぱりルリは可愛いなぁ。


 つまりラピスが可愛いって事で。


 妹は宝だ。


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