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第27話 五分で出来る世界征服02


「司馬。今日暇?」


 四谷からそんなコメント。


「ダーヤマ電気までラピスとデート」


「付き合ってんの?」


「家族です」


「ほんとに?」


「可愛い妹につい最近なったばかり」


 家族として迎えてから数日経っているけれども。


「私も付いていって良い?」


「構わないけど喧嘩しないでよ」


「それは司馬さんに言って」


 四谷がビッチなのは、僕が死んだ未来のことだ。


 とはいえラピスには、やっぱりビッチに映るのだろう。


 こればっかりは理性による説得の埒外にある。


「てなわけで」


 布団を干して、私服に着替える。


 シャツとジーンズ。


 それから春色のジャケット。


 ラピスは、ネット通販で買ったワンピースにカーディガン。


「はふ」


 感嘆の吐息。


「あの?」


「尊い……」


「あは」


「ルリはこんな乙女に成長するんだね……。感慨深い……。ルリのお兄ちゃんになれてぼくぁ幸せもんたい……」


「私もルリなんですけど」


「そうだけど優先順位があるから」


「気持ちは分かりますけど……」


「ラピスも十分に可愛いよ」


「だから兄さん大好きです」


 いったいどっちがチョロいのやら。


 ラピスも大概だけど僕も相当だ。


 南無阿弥陀仏。


 ピンポーンとインターフォン。


「はいはい」


 現われたのはデニム姿の四谷。


「お」と僕。


「あ」とラピス。


「……おはよ」


 はにかむような四谷だった。


「早かったね?」


「暇だったし。まぁちょっと急いで来たから、ラフな格好だけど……司馬はそんなこと気にしないでしょ?」


 そりゃまぁルリには及ばずとも四谷も大概綺麗だ。


「にしてはすっぴんメイクが丁寧ですけど」


 ラピスのジト目。


 話をややこしくしないで欲しい。


「何でビッチが?」


「ビッチじゃないし!」


「兄さん?」


「二股デート」


 サクリと言ってスニーカーを履く。


「ヤポンビッチと?」


 何故にロシア語……。


 まぁビッチって語尾に付くけど。


「ダーヤマ電気に行くんでしょ?」


「さいです」


 そんなわけでラピスと四谷とお出かけ。


 春の陽気はポカポカで、ついでにラピスも可愛くて、四谷もコンスタントに綺麗で、世界はこうも美しい…………。


「えーと。お二方?」


 衆人環視の視線が痛い。


「むぅ」


「むう」


 ラピスが僕の右腕に、四谷が僕の左腕、それぞれに腕を絡めていた。


 あら……水も滴るいい男。


 本当に二股デートだ。


 ダーヤマ電気まで歩いて、店内へ。


「離れなさい」


 お二方に命令を下す。


「ヤポンビッチは離れて。兄さんが困ってる。ぶっちゃけ邪魔だから帰っていいよ? 兄さんが孕んだら危険だし」


「妹でしかない司馬が離れるべきじゃん? 普通に兄妹恋愛なんてキモいし。ここはマンガの世界じゃないから頭お花畑が迷惑だって気付かない?」


「二人ともだよ」


 振り解く。


「「あん」」


 と名残惜しそうな乙女の声が二つ。


 また衆人環視の耳目を集める。


「さて」


 ここで漸く本題。


「何しに来たの?」


 ラピスに問う……いや聞いてるけど。


「ビデオカメラを買いに」


「えーと?」


 改めて聞かされても、前後の因果がよく分からないけど。


「世界征服に必要なの?」


「別に無くても良いんですけどカメラが一番分かりやすいので」


「世界征服って何だし?」


 そりゃ四谷は、そう言うよね。


「司馬さん家は世界征服に乗り出すそうです。セレクトボタンを押すときが来た。いざイザナギイザナミ」


「はあ」


 ぼんやりと肯定。


 その表情が語っている。


「正気か?」


 と。


 冗談ならソレでもいいけどね。


 ただまぁ兄さんを取り戻したくて時間遡行したラピスが言うんだから、はったりじゃないのも確かな安心…………安心だろうか?


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