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第16話 妹は噂の転校生03


 ウェストミンスターの鐘の音。


 さりとて再現は電子音。


 そんなわけで昼休み。


 廊下には生徒が幾らでも。


 司馬ラピスを一目見ようと駆けつけた。


 ノリは報道記者。


 いわゆる日常に於けるスパイスなのだろう。


 マスメディア改革はこの際、日本政府に任せるとしても、プライベートの問題に発展しませんか…………学友の皆様方?


「ラピスちゃんこっち見て」とか、「ラインしない?」などと。


 ラピスの方は無色透明の笑顔で手をヒラヒラ。


 それだけで喝采が五割増し。


「俺に答えてくれた!」


「ちげえよ!」


「俺に手を振ったんだよ」


 と御喧しい御様子で。


「兄さん」


 音符マークが聞こえそうな弾んだ声。


 すぐ隣なので逃げようも無い。


 ラピスはルンルン気分で、僕に懐いていた。


 小動物気質なのは年齢を重ねても変わらないようで、まぁ奥手か快活かの違いはあれど、「たしかに未来のルリなんだなぁ」は思う物。


「ブラコン」


「ですとも」


 そこに一片の憂慮も無い……と。


「司馬~」


 四谷と久遠が近づいてきた。


 なんか目が恐いんですけどお二方。


「あ、ビッチと妥協案」


 ――誰が火薬庫に火を放てと言った?


「誰がビッチよ!」


 吠える四谷。


 まぁギャルではあるんだけど。


「妥協案って俺のこと?」


 何気に、怒ればいいのか嘆けばいいのか……わからない御様子の久遠。


「何か用?」


 サラリと回避する面の皮の厚さよ。


「司馬と一緒に飯食いたくてな」


「ああ、今まで友だち付き合い御苦労様。今日からは、私が兄さんと一緒に居ますので、ご退場願います」


「何様よ!」


 四谷が珍しくキレていた。


 ――何が彼女を駆り立てる?


 少しの疑念と、衆人環視の思う背景……次いで、僕と仲良くするラピスと四谷と久遠は三人揃って規格外の美男美女。


 ラピスが頭一つ抜けてるけどね!


「兄さんの正室ですけど?」


「せ……っ!」


「あんなことやこんなことや」


「あ……こ……!」


「てい」


 わりかし本気で唐竹割り。


「にゃう~」


 頭を押さえるラピスさん。


「にゃにすりゅんでしゅか~」


「呷らない」


 ていうかわざとらしい噛み方しない。


 可愛いけど。


「本当に何者だよ……」


「色々ございまして」


 背景を話すと、保健室どころか精神科に連れて行かれる。


 それは双方共に面白くない。


「じゃあビッチと妥協案も一緒でいいよ?」


 切れるように赤眼を細め威嚇。


 その程度で参るほど四谷も久遠も弱くはないけど、「お兄ちゃん大好き」の病に関しては後手後手だ。


 まぁいきなり、「同年齢でクラスメイトの超美少女が妹として現われました」は普通の人生設計には存在しない。


 じゃあ僕の場合はどうかというと……、


「むう」


「むちゅ」


 考えている隙に、二度目の接吻。


 クラスメイト並びに廊下の男子生徒が沸騰した。


「「「「「――――――――っ!」」」」」


 混迷する男子生徒と、沸騰する女子生徒と、此方を呪いたもう邪視と偏見と侮蔑の弾劾……もう死んじゃおっかな?


 ルリを一人に出来ないので無理な懸案だけど。


「てい」


 チョップ。


 わいわいがやがや……戦慄のざわめき……アディオ~~~スアッミーゴ!


「沸点が低いにも程がある」


 偏頭痛にかかりそうだ。


「マジで妹?」


 久遠の確認。


 何時もの空気読む彼にしては珍しく、どこか呆然と相成っていた。


「義理ですけど」


 端的なラピスの答え。


 暗に、「恋仲になれます」と含有して。


「……一緒に住んでるの?」


 恐る恐るな四谷の言。


「一応な」


「むぅ」


 ――なぜ唸る?


「悪いことは言いませんから、ビッチは諦めなさい」


「だから誰がビッチよ!」


「スカート短くして、男を誘っている人間の表現とは思えない」


 まぁギャルですから。


 校則違反もお洒落の内。


 実際可愛いし、この前学友の誰かさんに告られたりしまして。


 ルリの方がもっと可愛いんだけど……誰に対する主張だろう?


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