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第13話 未来から妹がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!06


 朝が来る。


「くあ」


 僕は春の陽気を受けて目を覚ました。


「さて」


 隣で寝こけている天使を起こさないようにベッドを出ると、一つ伸びをして今日の任務を遂行する。


 洗濯機を回して朝食準備。


 フランスパンのサンドとオニオンスープ。


 さて後は、といった御様子。


 インターフォンが鳴った。


「はいはい?」


 玄関応対。


「よっす」


 久遠。


「おはよ」


 四谷。


 愛すべき隣人が居た。


「早いね。久遠にしろ四谷にしろ」


「心配だったから」


「そりゃご迷惑をば」


「だから……!」


「違うって言ってるでしょ……かな? いや確かに心配は掛けてるけどさ」


「分かってるなら自虐しないでよ」


「酸素のような物なので。こればっかりは業かな? 斜に構えて皮肉屋を気取るって中二病の一種だよね」


 それから、と付け加え。


「妹が寝てるから静かにね」


「へーい」


「茶でも飲む? 淹れるけど?」


「緑茶」


「同じく」


「はいはい」


 ダイニングに座らせて茶を出す。


 それから朝食を取って洗濯物を干す。


「立派にやってんだな」


「知ってるでしょ?」


「そうだがな」


 長い付き合いだ。


 僕が家事全般を修めているのは、過去からのこと。


 それから学ランに着替える。


「今日は学校に行くんだ……」


「まだ在籍しておりますので」


 皮肉っぽく。


「ちなみに話題にはしないでね?」


「むぅ」


 不満げな四谷と、


「わはは」


 気をつかってくれる久遠。


 いい人たちだことで。


 わたしゃー幸せもんじゃい。


「さて、では行きますか」


 いざ学院……その高等部。


 ピコン、と四谷のスマホが鳴る。


「また……」


 嘆息および気疲れ。


「知らない奴から?」


「みたい」


「モテるな」


 超今更だけど。


 実際に四谷は可愛い。


 さすがに面と向かって論評するのは……まぁ後刻として、モテるモテないなら彼女はモテモテなのだ。


「久遠には言われたくないんですけど」


 半眼の四谷。


「司馬にもな」


 軽やかに久遠。


 えー。


 まぁ確かにコメントは来るけどさ。


「それで?」


「既読スルー」


「一番やっちゃ駄目な奴だな」


「めんどいし」


「恋はしないのか?」


「…………」


 茶の瞳で睨まれました。


「花より団子」


 不機嫌そうな声で仰ります。


 仮に団子の方が好きなことを嘘だと申すのなら、では何の花に、と相成りまして……。


「…………」


 久遠の方を見ると眉間を抑えていた。


「何か?」


「何でもないな」


 ならいいけど。


 ……………………いいのかなぁ?


「結局あやつはどうなったんだろう?」


「あやつ?」


「なんでもござらん」


「あたしらが知ってる人?」


 半分正解。


 未来から来たルリとは、さすがに言えないけど。


 頭の病院に連れて行かれる。


「両親の死でおかしくなった」


 検診結果は、そんなところだろう。


 無念。


「さりとて人の、知るでもなしや」


「?」


「?」


 四谷と久遠は、目を見合わせて疑問符を飛ばしていた。


 ま、解決ズバッと……とは行かないので、黙るしかない。


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