第109話 慕しき仲にも大義あり06
とりあえずは、
「ただいま」
と帰宅。
「お帰りなさい兄さん」
ルンとラピスが出迎えた。
裸エプロンで。
「は~~~~~~」
長いため息も出る。
そりゃね。そのね。気疲れもするでしょ?
最愛の妹がネタに奔ったら。
お兄ちゃんとしては許しませんし、許せません。
いや単純にラピスの裸エプロンは眼福だけど。
黄金比な乳房の突き出方は性欲をそそるし、夢に見そう。
けれども安易に肯定も出来かねて。
「ラピス?」
「はいな」
「却下」
「ではでは」
何時ものラフな格好に戻る。
「興奮しませんか?」
「するから困る」
「いやん」
クネクネ。
気持ちは嬉しいけどね。
実際の処、ラピスを抱いていない自分を誇らしげに思う程度には。
お兄ちゃんとしての矜持でもある。
あとルリに悪いし。
ルリ可愛いよルリ。
「えと、それで……」
「何でござんしょ?」
「夕餉を作ってみたのですけど」
そこで裸エプロンに繋がるのか。
「食べられ……ますか?」
「楽しみだ」
ラピスの頬を撫でる。
「あう……」
赤面するラピスの愛おしさよ。
三千世界で光り輝く。
「キスしていい?」
「兄さんが……?」
「僕が。ラピスに」
「いいです……けど……」
「ではいただきます」
ほっぺにキスした。
「唇じゃなかったんですね」
「また後日」
「頑張ります!」
「応援してる」
苦笑いを押し込めてしまった。
それほどまでにラピスは魅力的で……その気になれば、なってしまえば否が応でも抱いてしまいそうな。
「お兄ちゃん……」
と今度はルリ登場。
ラブリーエンジェル。
現時点に於ける最上級のルリだ。
純粋な原木培養。
うーん。今日のルリは百二十点。
「ただいま」
「お帰り……」
やっぱり可愛い。
髪も瞳も唇も。
彫刻すら色褪せる御尊顔の造形も。
また幼女たらしめるスットントンの体つきも……全てが愛おしい。
一緒にお風呂に入っているので、愛妹の成長は目に見て取れる。
「えと……お姉ちゃんと……一緒に……作った……」
「頑張ったね」
優しく頭を撫でる。
ちっこくて、小動物で、けど誰より優しいガラス細工な心の持ち主。
ルリ原理主義も当然だ。
こんなにも可愛い妹を、評価しないお兄ちゃんが果たしているのか?
世界の命題で、人類の最難関。
無下に出来るなら僕はソイツを殺すかもしれん。
ダイニングに料理が並んでいた。
御飯。卵焼き。ツナサラダ。味噌汁。
出汁はイリコで、合わせ味噌……か。
「味噌汁は大変だったんじゃない?」
「あう」
「あう……」
だろうね。
そこら辺は、僕の勘所の抑えかたが良く理解を示す。
けれどそんなことは実際のはなし……どうでも良くて。
「兄さんの凄さが身に染みました」
「お兄ちゃん……凄い……」
そこで感動されても。
「可愛い妹に御飯を作るのは僕の生きがいだから」
そんなわけで早めの夕餉。
冷めないうちに、「いただきます」とな感じで。
味噌汁を飲む。
冬に近づく季節。
ジンワリと温まる出汁と味噌の香りが幸福を呼んだ。
「ああ。美味い」
心に沁みて声を絞り出すと、
「…………」
ルリとラピスがモジモジしていた。
顔を赤らめて照れているようだ。
どこまで可愛いんだこの司馬シスターズ。
ルリもラピスも愛らしさに限度がない。
何処までも可愛しなりし、乙女の偶像よ。
「恐縮です」
「頑張ったね」
「はい……! はい!」
「ルリも」
「んと……頑張った……」
きゃわいいなぁ! もう!
どうにかなってしまいそうだ。
「お風呂も洗いました」
「一緒に入るため?」
「駄目……ですか……?」
「まさか」
本心だ。
「光栄だよ」
「お兄ちゃんの……エッチ……」
「しょうがないでしょ」
ルリズムなんですもの。
ルリとラピスと一緒にお風呂に入るのはお兄ちゃんの特権で、誰にも渡すわけにはいかない。
ラピスの豊満な体つきも。
ルリのロリロリな体つきも。
全ては僕だけが知っていればいい話。
そうだからこそ基礎として、僕はシスコンなのだ。
僕を以て、僕に誓うゲッシュ。
きっと全ては妹愛で満ちていて、その衝動がラピスによる世界変革。
きっとラピスは世界を一新するだろう。
そこを僕は疑わない。
世界覇王ですか。
なってあげましょうぞ。
それだけでラピスが……ルリが救われるなら、まったくの躊躇だって一欠片もない。
けれど熱は確かにあって。
だから僕はルリズムなのだから。




