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偽り言葉日記  作者: 瀬那鶫
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 最近、指輪を付けるようになった。


 昔から指輪をつけたいな、とは思っていたが、何しろ私はデブなので太い指に見苦しいだけの指輪を付けても仕方がないし、お金の無駄だからと思って付けていなかった。

 それを願掛けのために付け始めたのが、確か昨年の終わりだった。

 期せずして人の上に立つという役を与えられて、やりたくもない仕事をするようになり、自信が欲しかったのか、ただ単に今まで興味がなかったおしゃれにひかれたのか、右の親指と左の小指に指輪を付け始めた。


 左の小指に付けた指輪は、すぐにその力を発揮した。

 怖くなって私は、その指輪を右の小指に付け替えた。

 右の親指に付けられてた指輪は、効果を発揮しているのかさだかではないが、昔の私だったらできなかったようなことをする後押しをしてくれているように思う。それが、いいことなのかどうかはここでは、まだ、考えるべきではないと思うが。

 そして本当に最近、指輪が増えた。

 右の人差し指と左の中指だ。

 左の中指に付けた指輪が早いところ効果を発揮することに期待している。

 右の人差し指は、親指と協力してさらに私を後押ししてくれることに期待しているが、私は他人の裏切りに弱い生き物で、ごく最近それに直面してすっかりやる気をなくしてしまっているので、指輪の力だけではどうにもならない気がする。

 まずは、自分が変わらなくては。

 そして、これだけ指輪を付けているのに、私はさらに左右の薬指に指輪が欲しいと思ってしまう。

 指輪をたくさんつけたがる人は束縛されたがるし、したがるのだそうだ。

 また、認められたい、という欲求も強いらしい。

 そうなのかもしれないし、いや、そうだと思いたくない、という自分がいるが、今の自分の心の様子がおかしいということはよくわかっているし、どうにかしなければと思っていてその過程に、自分がどうにかなったということを他人に認めてほしいというのも入っていることは間違いない。

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