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野ねずみと迷宮への手引き

 橋予定地は森の中。

 いきなりばっすんと地面が消える。

 おっさんに頼んで少し広いなにもない空間を作ってもらった。私が落ちる防止である。

 桜に似た花をつけた木は切らないでと頼みつつ、私は周囲散策ではなく、小麦ちゃんのブラッシングである。

 抜け毛が大量なんだけどーと叫べばおっさんから「冬毛抜け時期だろ」と流された。

 がすがす抜けた毛をある程度の量で縛るとフクロウがその束を掴んでよろよろと飛んでいく。

 機械に放り込みに行ったらしい。すげぇ。

 ブラッシングが終わったら、次は蚤退治。蚤も網にまとめたらフクロウが持っていった。おりこうなフクロウたちだ。日が傾いた頃には寛げる空間と時間ができていた。

「おまえ、やる気あるのか?」

 上半身むき身なおっさんに覗き込まれた私が悲鳴をあげたのは悪くないと思う!

 つーか、なんで脱いでんのよ!

 効率のいい肉体労働?

 そ、そう。

「やる気はあるよ!」

 でもブラッシングと蚤退治は義務だから!

「そうか。じゃあ、ここからどう動いていくつもりなのか決めれたのか?」

 したいこと。

 侵入者をリア獣上司様のところに誘導するルートの固定化だ。

 一直線に、それでもじわじわ数を減らして一気に行かせない。

「洞窟に誘い込むのが一番楽かなぁって思うんだ。ただ、それをするにはそれだけ吸引力のある場所じゃないとキツいよね」

 引き込めるだけのエサがいる。

「洞窟、地下迷宮か。悪くないな。天候の影響を受けずこっそり侵入できる夢を与えるワケだ。ハズレても沈んだ遺跡跡が見つかればひと財産は確かだからな。それにそこに転移陣を仕込むつもりなんだろう?」

 私は頷く。

「つくるタイプにもよるが、陣を二つもらってもいいかもな」

 にやにやとおっさんが楽しそうに悪い顔をしている。

 すっごい満足そう?

「入り口は吊り橋から遠くなくて、でもすぐには見つからないようにしたいし、そこまでに足並みを揃えさせたくない。ここに野営地とかつくられても強敵で警戒されても困るし」

 他に回られても困る。

「ふむ。まずは地形改造からだな。目先の道がそこにしか見えなければいいだろう」

 なんか、ハッスルしている?

 んと、もしかして暇だったのおっさん。

 ブラシを動かすと満足そうな震えを感じる。

「この子たちの生活圏に影響出ない?」

 おっさんが私の手元を見下ろしてくる。

 そこには野ねずみがいる。テニスボールくらいでブラッシングしているうちにふこふこになった。ああ。この幸せ触覚!

 癒される!

 出会いは退治した蚤の死骸に寄ってきてフクロウ達と乱闘していた生き物だ。

 蚤の死骸ならまだあるんだから喧嘩しなくともって思う。つか、完全駆除できるのはいつ!?

 野ねずみ用にバラした上でフクロウから離して撒けば喧嘩しなくなった。

 盗み食いじゃなく与えた分はいいらしい。フクロウ、まじ賢い。

 野ねずみも頭がいいらしく、危害を加えず餌を与える私に徐々に近づいてきた。

 フクロウ樹の袋で捕まえて小麦ちゃんの抜け毛でザクッと拭いてからブラッシングはじめたのは発作だと思う。

 最初は少しパニックしてじたじたしてた野ねずみが大人しく身を任せてくるのに時間はかからなかった。

 連れて帰っていいかなぁ?

「平気だろう。そいつら喰うなら成獣の方がデカくてとれる肉が多いぞ?」

 幼獣の方が肉に臭みは少ないが。と続いた。

 おっさんの肉鍋の正体?

 いや、虫以外にも狩りができるようになって良かったと頷かれても、狩りじゃないし。

 一瞬、どんびいたけど食肉って、そういう事なんだよね。

「ちなみにフクロウも美味いはずだから増えたらしめるのもいいな」

 おっさんがフクロウたちと野ねずみを見る目が食糧に対するソレだ。

 肉。フクロウ達は肉なんだろうか?

 果実なんだろうか?

 食べるなんて考えてなかった。

「間引きはどんな生物でも重要だぞ?」

「……うん。考えておく。でもこの子を食べることはいま考えてない!」

 もふもふ愛玩〜。

「鼠は増えるの早いぞ」

 この世界でもそうなんだ。

「橋ができたら、侵入者が手軽に狩る獲物の一種になるだろうな。あいつらのメインは食材収集でもあるから」

 ん?

 食材収集?

「つまり、迷宮前に果樹園を作れば?」

「居座られるだろうな。できうる限りの最強戦力を護衛にして安定食糧確保が優先されるだろう。一掃されるだろうが、それまでの被害は大きくなる可能性が高いな」

 あー。ダメだぁ。

 でも食材はエサになるのか。どうやって地下迷宮に誘き寄せるか。

「とりあえず、迷宮をつくる。できるの?」

 おっさんに聞けばあっさり「当然」と返ってきた。

「図案描けばその通りに作ってやるぞ」

 軽っ。

「代金は?」

「必要な分は請求するぞ。ただ、掘るぐらいなら初期契約範疇だ」

「つまり?」

「人工的な照明を付けたりする場所の成形は別料金だ。灯り苔とかくらいなら無料でいいぞ」

 ふんむ。

 少し、まじめに予算とか考えてみるかぁ。


 って、洞窟のつもりが迷宮になってる?

 あれ?

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