野外訓練ともふもふ様
マクベアーの存在意義。
ピヨット君に言われて考えている。
うん。もふもふ要員。ブラッシングに気持ち良さげに寝そべる様は野生のやの字も感じない。
肉は生より煮込まれた肉鍋の方が好きで、急な階段は自力で下りれない。上りは登れるんだけどなぁ。垂直崖っぷちを体験したのがトラウマらしい。
「どーして、ピヨットまで参加なんですか!」
「さぁ?」
吠えるピヨット君につれなく返しつつ防御シールドを魔力で形成する。だって、ピヨット君はお助かり要員だけど、もふ要素少ないし、私ショタ萌えはしないから。そう。腹黒ショタより純白ロリ!
まぁ私の性癖は置いておくとして。魔力の扱い絶対うまくなってきている自信がある!
だって、魔力があるという事を知って二カ月たってないんだから!
ゼロからの成長!
使えないからの、使える世界!
テンションあーがーるー!
ピヨット君が雷撃を落として敵戦力を削ったのち、マクベアーと私が武力で殴る。その間にピヨット君は魔力回復という巡りで戦闘中だ。ピヨット君の雷撃はちょっと痺れさせるだけらしい。でも、充分助かる!
え?
私の魔法?
戦闘前に構築しておいた魔力シールドだけだとも!
野外訓練はリア獣上司様とひよ様監督の元、リア充上司様の勢力外地で。
対戦相手を見繕ってくれたのは今回、ひよ様。リア獣上司様は対戦相手に不満そうだったけど、ひよ様が「とりあえずは戦闘が成り立たなければ訓練にもなにもならぬのです」ともっともな主張をしてくださった。うん。また、強過ぎる相手を前にして動けなくなったり、気を失えばどーしよーもない無駄時間だよね。
「戦闘訓練は必要だ」
「ピヨットは事務担当です!」
「戦闘訓練は事務担当であれ必要だ」
ひよ様とピヨット君の上司部下会話が気持ちよく決まっていた。ひよ様ステキ。
ピヨット君はそろそろ諦めよ? 私も道連れがいる方が嬉しいからね。
マクベアーに対してリア獣上司様が『あぎゃあぎゃ』となにやら指示を出し、それを受けて動いたマクベアーのヒット率が上がる。
コレ確かな訓練効果。
私に何か効果は、と言えば、最初は当て難かったのが少しはダメージ強めに当てることができるようになってきたということだろう。体が今回の対戦相手に慣れてきた。蚤相手に攻撃を当てることができるようになったあの時みたいな感覚だ。
地道に基礎体力も上がっているんだろう。マクベアーと日々散策しているしね。
柄を握る手が時々滑りそうになって困る。と言うタイミングでひよ様から終了を告げられた。
へたりそうな疲労を抑えてまだ生きている対戦相手から距離をとる。急に動かれたら対応できそうにないなら少しでも距離が欲しかった。
「吊り橋守りよ。その実力はまだまだ覚束ない。されど、マクベアーの信を得た事実を持って人員増員の許可を与える。事務方であれ、作業であれ、戦闘であれ関する人員を自由登用する許可だ。無論、条件・制限はあるが、それはピヨットに聞くように」
ばさりと大きく翼を広げて風がぶつけられる。
勢いに目を閉じると暖かい感覚が通り過ぎ、疲労感が消えた。
快復魔法ってやつ?
疑問は問うことができなかった。
「では、吊り橋守りよ。本日のメーンである」
メーン?
でかい魔獣キター!?
白旗振るんで逃してください。って、リア獣上司様ひよ様によるお手本にならないお手本戦闘でした。魔獣を引っ張ってきたのはおっさん。超得意げ。
戦闘リア獣上司様。前肢をぶんぶん振り回して無邪気な様が萌える!
そして解説ひよ様でした。
弱点はやはりこの辺り、薄い部分はココ、鋭い凶器で一気に首元の血管をかき切りますとか先が遠すぎます。血液が有毒であることもあるので要注意って戦闘中にそこまで思考は及ばないと思います。え? 先々慣れてから思い出せ? はい。先生。
ぷるぷるしているマクベアーをおっさんがポンポンしてたよ。「いってもいーんだぜ」ってなんのイジメだ!
おみやげにフクロウ樹の梟達みたいなピンクのボールを投げられた。
まるっこくって、ふこふこでまるっこくってふこふこで超可愛くて速攻ブラッシングした!
マクベアーの存在意義。
もふもふである。
そして、小麦ちゃんほどではないがでかい。
デカイのである。具体的には私が跨っても全然平気なくらいデカイ。
なぜ、マクベアーはピンクのボールと喧嘩しているんだろうか?
私はブラッシングブラシ片手に小麦ちゃんのブラッシングに勤しむのだ。
マクベアー。
相手はかなり小さいんだからいじめるんじゃないぞ。