朝ごはんと散財予定?
朝起きるのはまだ暗いうち。
魔力枯渇対応のまっずい飲み物をちびちびと飲む。一時的な予防にもなるとか。
まずいのはおっさんの陰謀かとも思うけど、そこまで我がままは言えない。必要だとは認めているから。
体を軽くほぐしてから着替える。
そのまま地下の粉砕機のところに行って魔力を込めて殴るポージング。
目指せ寸止め! 届け魔力!
ひよ様の考えでは稼働必要魔力が満たされていれば素材から魔力が差し引かれないのではないかという予想である。ついでに訓練にもなる。
ひよ様頭をゴテっと傾げる動きがかわいいよ。
超萌える!
本気で萌え殺されるよ!
ランプがひとつ点灯するのを確認してから朝ごはんの準備。ランプの数三十個あるから先長いけどね。目指せ。一日二つ点灯!
すでに体怠いからまたまっずい飲み物を飲まないと。
小麦粉を水と大地蜂の蜜で捏ね、香草粉ミックスを上から振りかけておく。
んで、小麦ちゃんとマクベアーとの至福時間である。
気がついたんだけど、このブラシ使う時も魔力が吸い出されている感じがあるんだよね。魔力を込めてブラッシングしていこうと思う。
しーあーわーせー。
ごっそり抜けた小麦ちゃんの抜け毛をアウリーとグリームが運んで行く。
マクベアーの綿毛は対象外らしいので洗って干して袋に詰めて簡易クッション量産中だ。
いつか毛糸にできるだろうか?
ノンカンさんがヨリイト作ってみてくれるらしいのがちょっと楽しみ。
後片付けして、手を洗ってキッチンに戻る。
ぷっくらと捏ねたタネがふくらんでいる。
にんまりと頬が緩む。
それを平べったく伸ばしてきのこと野ねずみジャーキーをのせてオーブンで焼く。焼いてる間に香草茶を入れればほかほかの朝ごはんの出来上がり!
焼けたピザもどきの量はやっぱり多いけどね。
保存用とチャッキーたちが食べる用とに分けておく。
「チーズとかミルクとかが欲しいなぁ」
贅沢だとわかっていてもこのシステムキッチンにいるとどうしても贅沢ゆとり気分になってしまう。
紙と筆記具を手元において書きこんでいくのは現在の洞窟のマップ。
ここに転移陣を置くかと言えば、ここじゃない方が良いというひよ様の助言もあった。
というか、なぜこんな入り口部に生産場をつくったのかと問われた。生産場を作るなら守りやすい拠点側だろうと……。
行き難くしてはあるけれど、誘き寄せるエサ場みたいな要素もあるし、住居区側に生産区画は作るつもりで、それは一年、此処で過ごし終えてからの話だと思ってる。と説明したら渋いながらも認めてはくれた。
つまり、もっと奥、もしくはもっと先にも同様な花園、たぶん、次は果樹園を考えてはいる。
上部にひよ様でもゆうゆう通れる通り抜けの通路を造って入り口の上へと至れるルートにする。
逆にそこから攻められたらと言う助言にはその先からまた誘導可能な道を吊り橋が開くまでに作ることになると考えている。
サビ猫ちゃんに街の戦力や士気の程度を聞いている限り、現在は戦力はさほどないらしい。
橋を渡れるのは一度に五人チームひとつ。
街から橋までは四十キロ程度。
橋が再生される情報はわたっていない。
橋むこうとこちら側では野ねずみ一匹とっても戦力が違う。
橋の再生は秋。
秋は実りの時期で人々は森の恵みを集めることに勤しむ。
他の地区より短いとはいえ、冬は雪が降り積もるから。
その時期に橋の再生に気がつくだろうか?
つまり、秋は冬支度で忙しい。冬は寒く体力を削る。近づくほどに体力は削られ、休憩しても疲労はとれない。
それにわたって来るだろうか?
この橋の意味を理解しているのなら『危険区への道』だとひよ様は言う。
橋に手をかければひよ様たちの場所、つまり本部に連絡がいき嬉々としたひよ様たちの訓練戦闘の餌食になるのだ。それはもう危険区だろう。
調査に覗きにきた人なら一度は帰らせた方がひよ様たちの訓練戦闘の回数とやりがい増えるかも?
これに関しては連絡、出立、到着の経過時間を測ってから随時調整していくらしい。
ひよ様は三十分もあれば何体かの魔獣を乗せて此処まで飛んでこれるらしい。
三十分ならなんとかなるかなとも思う。
それにこの洞窟は抜けられてもいいものだ。
入り口付近で薬草採取して帰られてもいい。
人が来ればひよ様たちの訓練……娯楽になるみたいだし。
直行したり、ルートからひどく外れさせないコースづくりが私のもふもふパラダイスに繋がる!!
目指せ!
もふパラ!
たぶん、本番は次の春!
一応、自宅の下にも花園を造ってもらった。これは侵入者が進みやすいエサ付きコースから外れた場所であるべきと言うのが現状の私の考えだ。
どっちにしてもおっさんも仕事が出来て喜ぶ。
私も作物の保管やチャッキーたちの全滅を避ける避難所を確保出来ている状況は嬉しい。
マクベアーのお部屋はそっちに移そうと思うけど、まだ内部準備が出来てないんだよね。
今日も周辺散策お手入れ後に……ん、あー。
「私、その後に体力残ってるかなぁ」
予算もだけどさ。
「チーズやミルクが欲しいならトルミエを見にいくか?」
「トルミエ?」
おっさんがピザもどきを一切れ口に放り込む。味薄いとか言ってたけど素材の味に優しい甘さだと思う。
「ああ。カタログに処理機二万で載ってたぞ」
私はなんだろうと悩む。
おっさんはカタログを開けてコレだと指で指し示す。
『魔術ろ過槽』
コレ、いったいなに?




