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青い鳥と瀕死な面談

「出て来い。吊り橋守り」


 デカい鳥がホバリングしていた。

 叩きつけられるような暴風は羽ばたきだ。

 身長三メートルくらいだろうか?

 彼の頭上にはリア獣上司様が乗っていた。

「王城で説明は受けたであろうが、此処は我らが南方将あぎゃ様の直轄地の一部だ。流通は南方本部を通り、分配される。無論、南方本部に納める物は王城に納める物とは別に必要だ」

 至極真面目な業務連絡でした。

「春の納付は必要ないが、夏の納付は心に留めておくがいい」

 季節納付らしい。しかも考慮されているもよう。

「東方本部より岩塩が届いている。外に置いておいたので後ほど回収するがいい」

 荷物のお届けでした。

「ところで、」

「はい!」

「聞いているのか?」

 そんな、もちろん!

「しっかり堪能中です!」





 南方本部事務官長ひよ様。

 それが今、私の目の前にいる青い鳥様だ。

 小麦ちゃんよりは小柄だけど、種族の差だろう。愛らしさの種類が違う。

 濃淡のある青い翼で引き起こす暴風はドアを吹っ飛ばしてしまっておっさんに文句つけられるほど。おっさんの作った建物がやわかった所為だからひよ様はお気になさらないで。でも、困ったように視線を彷徨わせるお姿もキュートです。ひよ様。

 そしてひよ様の一人称は『ひよ』!

 青い鳥ひよ様は自分のことを示す時に「ひよの考えと致しましては〜」とリア獣上司様に報告するお姿に私、めろめろです!

 リア獣上司様は『あんぎゃー』『あぎゃ』としかおっしゃらないので判別不能です。もちろん、リア獣上司様はそこがまた愛らしすぎて悶えることに。

 ひよ様ギャップ萌え!



 話を聞けと殴られました。

 誰に?

 おっさんに。

 ひよ様は気になさることなく、次のプレゼンの準備です。

 ひよ様が持つと書類挟みもちょーキュートですね。何が出てくるんです?

 ひよ様デカいから書類挟みがプッティーサイズ!

「西の姫将様に複写していただきました洞窟迷宮図面。これによるとこの地の防衛ラインにてひよの通過する幅はないようですな」

 ピシリと図面を押さえる羽先。飛ばさないように微妙にぷるぷるして見えるのが萌える。

 ひよ様出番が見えなくてがっかり!?

 やだ!

 殺す気だ。

 萌え死にさせる気だ!

「聞け」

 おっさんにまた殴られた。

「ぽこぽこ叩かないでよ。ルートはまだ、未定ですが、入り口部の上部に大型の通路と踊り場のような場所を作るつもりです」

 おっさんに苦情を入れてから至福存在ひよ様に未来予定図を説明する。ひよ様からの好感度を上げていくぞ!


「それがいいだろう。力ある者が来ればこちらの意図せぬ間口の拡張が行われるは時間の問題。しっかり考慮に入れるように」


 頷き青い鳥ひよ様キュート。うっとりする。

 かわいいよ。ひよ様。でっかくて俺様風なのに一人称はひよ!

 そして、何気に気づかい細かい?

 かわいい。かわいいよ。

 鼻血出そう。


「岩塩は味をつける前に袋詰めできるか?」

 ん?

「岩塩のままですか?」

「いや、粉砕後だ」

「可能です」

 なんで?

「岩塩時と粉砕後の魔力含有量を精査するので十日内に検査用粉砕済みを作っておくように」

 魔力含有量?

「ああ。物質含有魔力は粉砕後目減りしてるな」

 おっさんが納得したように頷く。

 水分と魔力が減ってるの?

「魔力は破砕時の消費分は物に戻さず、設備の維持に回っているようだからな。魔力の旨味に慣れた奴らには味に不満が出るか」

「それが一番の難だが、それを踏まえても細やかに削られた塩の有益さは捨てがたいそうだ。主に赤っ面に」

「あー。わかる。わかる。酒のつまみのちょい足しにいいんだよ。岩塩舐めるよりすっきりとなー」


 赤っ面って酒呑みのことか。

 魔力っておいしいんだ。

 常識範囲の話らしくこちらにそれ以上の説明は流れてこない。


『あぎゃ!』


「ダメだ」

「いけません」


 リア獣上司様が何かを言っておっさんとひよ様に却下された。スッゲー早い。


 うわぁ!


 リア獣上司様、ひよ様の上で『なんでぇ?』とばかりに頭振ってる。あざとい!


 でもかわいい!


 絶対、自分の小動物さを理解しているよね。リア獣上司様。


「昼前に魔力枯渇起こしてぶっ倒れてるからな。その後にひよに乗って空白の地に修行なんざ、小娘には無理だ」

「魔力枯渇は慣れない間は体力も削るからな。暴発か?」

「いや、放出しただけだ」

 私の頭の上でおっさんとひよ様の言葉がキャッチボールされていく。

 そう。私の魔法は使えない魔法だ。それを思うとちょっと切なくなる。


「ひと月で魔力枯渇するほどに魔力解放するとは魔力量が少なくともこれからが期待できるな。得意属性は……風か、大地か。延焼は起きなかったようだから火ではあるまい」

 魔力解放?


「聖域設置してたから守護系を覚えやすいのかもな」

 おっさんとひよ様で盛り上がっていく。

 一度、魔力解放魔力枯渇を経験すると魔法を使うための体の準備がはじまるという説明をされた。

「たったひと月で」とひよ様に大げさなくらい褒められると嬉しくて照れる。




「十日後にまた来るぞ。目に見える成果を出すがいい」

 つまり塩を粉砕して袋詰めろと。

 ついでに洞窟迷宮のルート補正案。

 基本魔法の練習を行い、属性を判別すること。

「成果を出せば、なんだ、えーと、そうだ。このひよをぶらっしんぐさせてやろう!」


 な・ん・だ・と!?





「成果をご期待ください!」


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