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もふもふ成分不足と精肉工場

「モフ充電が足りないっ!!」

 いくらもふもふたちとの愛の生活のための赤字回避策とはいえ、作業に追われてもふとのふれあいが午前中のブラッシングタイムだけだなんて、

「耐えられなぁあああい!」

「堪えろよ」

 おっさんがヒドい。

 くっそ悔しい。

 フクロウたちが心配そうに首を回していたが自分たちの作業は止めることなく運搬中だ。

 くぅ。健気かわいい。

「私、頑張る!」


 おっさんが今まで狩ってきた肉の置き場に連れて行ってくれた。

 少しひんやりとした場所にいくつもの塊が襲いくる影のように積まれてる。

「すぐに食えもするが置いた方が旨みが出るな。面倒な時は強制加工するが時間と場所があるなら自然加工の方が味が良いと弟の一人が言ってたから試してみようと思ってな」

 おっさんはやたら広いそのスペースを肉で埋め尽くす予定らしく、あき空間を見つめながら「まだ置ける」とか呟いた。

 ここはどこの精肉工場だよ!?

「嬢ちゃんの手に負える範囲なら切り取って売り物にしてもいいと伝えておこうと思ってな。ついでにあっちは皮だな。暇だったから処理済みだ」

 暇だったんだ。

 話を聞けば、余暇ができるたびに狩りをしてたらしい。普段はそのまま煮炊きするらしいけれど、暇だったから皮を綺麗に剥いでみたり加工してみたりしているらしい。飽きるまでに作業増やせと圧をかけられた。

 おっさん、そうかもとは思っていたけど、まじ仕事中毒!?

 というか、飽きが来たら旅立ちたくなるかららしい。

 今の興味は小麦ちゃんブラッシングだとか。

 それは私の憩い時間!

 奪わせはしないんだ!

 押し付ける作業を捻出しなくては!

 具体的には洞窟作成!

 洞窟は二十メートルぐらいの狭い蛇行通路。その先に六畳くらいの小部屋。そこから野ねずみのエリア、ノンカンさんのエリアへの細い通路が二本。人が通れるとは思えない通路だけど、おっさんは「小さい種族ならいけるかもな」と言っていた。

 ただし、それぞれの巣穴なので半端なく待ち構えられてる。外にも繋がってる。

 ノンカンさん、最近良い出会いがあったらしくて旦那さん見つけたみたいだし。嬉しそうに報告されたよ。くぅ。リア充め!

 もちろん、メイン通路はおっさんが二人並んで進めるぐらいのものを考えている。ある程度進めば、転移陣から出てきたリア獣上司様の部隊が問題なく戦える広間も必要で。だからと言って休憩エリアにされても困る。

 ただ、本当に戦力が手元にないのだ。

 野ねずみと蜘蛛のノンカンさん。

 あと一応、大地蜂(おおじばち)。まだ見たことはない。

 マクベアー倒せる集団がくると考えるとキッツいのしか理解できない。

「増えてきたならフクロウたちも戦力に数えられるぞ?」

 マクベアーも戦力になるだろうしと続けられても、マクベアーを捨て戦力にする気はない。(まだ懐かれてないけど、肉を与えて日に一回戦闘訓練に付き合ってもらってる。いつか、ブラッシングしてやる。

「まだ一カ月目だからな」

 おっさんの言葉は運営についてだろう。

「今月はケットシー商会にかけた金額五万と食費の一万。今月の労働量自体は別費用が出るほどではない。今月は生活環境を整えることが目的だしな」

 あれ?

 四万浮いてる?

 調理器具ゲット容易い?

「これからは夏服もきちんとした装備も発注する必要が出てくるだろうしな。資金繰りは大事だ」

 夏服!?

「現状の防衛ライン対応方針もちゃんと説明できる状況を作れよ。給料に響くぞ」

 うっ!

 聞くところによるとリア充上司様が緩くてもいちゃラブ側近様が厳しめらしい。

「できれば粉砕機を万が一にも止めた時用に五万確保しておかないとな。あぎゃに連れて行かれた訓練後二日寝込んでやばかっただろ?」

 リア獣上司様……まさか、月一で訓練入れてくれてたりする!?

「報告時に戦闘力測定がないとは限らないしな」

 なんだと!?

「簡単に侵入者にヤられても困るから最低限の戦闘力は求められるってとこかな」

 マジかー。

 着替え。

 着替えは必須だよね。マクベアーとのじゃれ合いでほつれたりしてるし、さすがに報告時は小綺麗な格好しとかないとマズイだろうし。

 初期荷物の中に礼装っぽい一着、普段着っぽい二着。運動着っぽいのが三着入ってたけど、夏かぁ。寒くなる前に何かとは思ってたけど、まず夏かぁ。

 システムキッチン入れてて良かった。

 製氷機ついてるんだよね。だから、不要説は受け付けないんだ!

「戦力が少ないから私も強くないとマズイんだよね」

「ああ。ところで大地蜂の巣穴はどのあたりに作るんだ。どうせなら迷宮内に少し広めの花園をつくって蜜も集めさせたらどうかと思うんだが」

 洞窟内の灯りは別料金って言ってなかったか?

 いや、その上で見返りがあるってことか。

「モクレイたちが迷宮内に植樹されてもかまわないって言ってたしな」

 ん?

 モクレイ?

 謎単語を発したおっさんと視線が絡む。

「ああモクレイな。嬢ちゃんが伐るなっつった木の妖精達だよ。宿っていることに気がついてたのか?」

 まーさーかー。

 桜に似てて望郷にかられた感傷だけだしー。

 モクレイって、木の精って、うっわー、ファンタジーだぁ。

「機会があったら呼びかけとけ。気がむきゃ挨拶に出てくるさ」


 モクレイっていったらやっぱり半透明の妖精さんかなぁ。それとも小枝みたいな姿?


 明日の朝は声かけしてみよう。



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