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助言と資金繰り

 


 四角い木箱を用意します。

 フクロウ樹から採ってきた袋を敷きます。

 粉砕機で粉にした元岩塩を敷きつめましょう。

 次に血抜きした野ねずみ皮剥き内臓抜き済みを並べて上から塩で埋めます。

 その上から香りのいい野草を敷きつめ、また塩で埋めます。

 野ねずみに下味をつけてみようという試み。

 これは実験であり、下準備である。


 そう、クイック・クックを見返すためにも!


 クイック・クックの言葉には事実考えさせられることは多かった。

 実際、半日をかけて査定と環境チェックをしてくれたことには間違いなく感謝している。

 システムキッチンを見て「コレ、半年は早かったんじゃね?」とか言われたけど、システムキッチンは必要なんだ。活用しているから!

 確かに一カ月は早かったかも知れない。

 でも、身体をお湯で浄めることができるって行動力にめちゃくちゃ影響するんだから!

 クイック・クックはお仕事モードの時は丁寧でそうでない時は荒いのかと思ったら、舌打ちされた。

「どうでもいいって不愉快だっていう態度を隠すこともできない相手にまともな対応しているのも悔しいから」

 って。

 確かにクイック・クックをこわい、気味が悪いと見ている私がいた。

 不審感を隠せず、相手に不快な思いをさせたのは事実で、くれた忠告は納得できないワケではなくて自分の他人に対する不信感を自覚した。

 私は誰かを信じることがこわいんだ。

 そして、それを認めることも嫌なんだ。

 クイック・クックはサビ猫ちゃんに売るべき粉はとにかく低品質のものを押し付けろと助言してくれた。

 それでも最終的には調理器具と食器セット分の売り上げにはなるだろうという目算。

「良質の粉は出し惜しめ」と言われた。

 とにかく低品質在庫を抱えるなと。

 大量に流れれば価格も落ちるから低品質粉をマクベアーや野ねずみたちの食事に回すことも勧められた。

 品質の良いものを食べたり、飢えることなく過ごせれば基礎体力が上がるモノだとか。

 下支えする下層の品質が上がれば、その捕食者も強くなると、クイック・クックは一旦そこで説明を止めた。

「クマベアーと同種のものは食べれないというか、草食主義か?」

「肉も好きだよ。情がうつった子は食べるのに抵抗があるだけで」

 きっと、食べることだってできる。

 クイック・クックはわからないなと言わんばかりの表情のくせに了解と答えてきた。

「戦闘訓練の相棒にってリア獣上司様がくださったっていうのもあるし」と言えば、「あんた嫌われてね?」と言われた。

 嫌われてない。嫌われてないはずだ。

 ちょっと、私がリア獣上司様の予想より遥かに軟弱だっただけだ。くっ。泣けてくるっ。

 ただ、その後に続いたリア獣上司様嫉妬疑惑には萌えたけどね。

 リア充上司様の関心が新参者な私にいってるヤキモチ。それでも世話を任されて表立って反感を示せない。

 なに、そのシチュエーション。

 萌える。かわいい。かわいいよ。リア獣上司様!

 クイック・クックにドン引きされた気がする。

 確かにその結果が力量以上の強敵との試し戦闘だと言うのなら洒落になってないのはあるけれど、でも、命の安全は確保されてるんだよね。

 おっさんもいたし。

 ただ、戦闘をこわいとすり込まれる可能性もあったのかぁ。でも、でもそれって事実だし、軽く考えてしまうよりいいかなぁ。

 リア獣上司様かわいいからいいか。

 うん。

 いいや。


 この塩漬け野ねずみは二日ほど漬けてからノンカンさんに吊るしてもらって味の違いを確認する分とさらに三日ほど漬けて塩ごと粉砕機にぶち込むコースを予定している。動物の旨味と香草の風味の混じった塩を作ろうと思うんだ。

 おっさんの作った煮詰められた肉スープをまぶして旨味増量を目指す!

 狩ってから半月過ぎた肉とかの熟成がいい感じだからっておっさんが食卓に肉を並べた。

 囲炉裏の火で炙って塩を振るだけのダイナミック料理だ。もちろん、香草塩も岩塩削りかけも美味しかった。パンかナンが欲しい!

「これ、売れない?」

「肉か? 売れるぞ。骨も爪ももちろんな」

 おお!

「ただなぁ、このあたりの肉は珍しいわけでもないし、肉は得やすい食材な分安いな。干し肉加工した分は調理法が偏るしな。それこそ人里の猟師に商談持ちかけられたら終わりだろう」

「じゃあ、肉の旨みと香草とで味のついた塩は?」

 少量をお湯で溶いたらけっこう美味しかったんだよね。

 粉砕機でできる粉砕ってアラのない細かい粉なんだよね。小麦粉とか片栗粉みたいなやつ。だから綺麗に溶ける。

 ところで水分とかどこにいってるんだろう?



 まぁ、ともかく粉砕機使って資金繰りだ!


 それもこれももふのため!

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