嘆く門には悪魔来たる
初投稿です。
飽きっぽいけど、続けるようにがんばりま~す!
ミンミンと、蝉がうるさい。一週間の命なのはわかっているけれどさ。
もう少し、静かに鳴いてくれんものか。
イライラしながら、部屋に転がる。この、クソ暑い中寝るのも辛い。
ああ、もうなにもかもいやだ。
めんどうくさい。
めんどうくさがりで、無愛想。これが俺こと、文野 悠鬼[フミノ トオキ]の性格。
中学3年の夏、進路の希望も特にない、ただただ平凡な俺に、突きつけられた非日常。
人ってさ。案外コロッと死ぬんだよ。俺のばあちゃんも、そうだった。
一昨日までは元気だったんだけれど、昨日の朝はもう息をしていなかった。
親戚の五月蝿いおばさんたちが、俺が何かした、みたいなことを話してたけどさ。いやいや、なんで俺が自分に不利な方向へ行かねばならない、て思ったね。
俺は、ばあちゃんしか家族がいない。両親は俺を、「悪魔の子」と言ってばあちゃんに押し付けると、さっさとどこかへ逃げたらしい。
別に、恨んではない。いや、奥底では「テメエ、コンニャロー。ふざけんじゃねえぞ」って思っているかもしれないが。
だから、ばあちゃんが死んでしまうと、俺は困ってしまう。高校にいけるかも心配だ。それに、親戚も俺を「悪魔」と思っているらしいし。金のかかるお荷物を、自ら背負おうっていうお人好し、まずいないだろう。
ああ、もうなにもかもいやだな。死んでしまったほうが、楽なんじゃないか。
きっと、誰も悲しまないだろう。クラスメイトとも、あまりうまくいかない俺なんかさ。
『なに言ってるのさ!』
「・・・・・・え?」
いま、一瞬ばあちゃんの声がした。
『あたしはね、あんたをこんなへなちょこに育てた覚えはないよ!』
「ば。ばばばばあちゃん?」
口の端が震える。
あれ?俺、夢見てたのか?ずいぶん、胸糞わるい夢だったな・・・・・・・
『ちょっと!あたしの声もわからないっていうのかいっ?』
「え。あ・・・・・やっぱ、ばあちゃん?」
『そうだって言ってるだろ?ちょっと頼みごとがあるんだ。お前にも関わる大事なことだから、よくお聞き』
俺は仕方なく、頷いて見せた。もういいや。ドッキリでもなんでもしろよ!
『過去のあたしが大変な目にあうみたいなんだ。本当ならあたしが行きたいんだけれど、そうにもいかないでしょう?そこであんたに行ってもらいたいの』
「それさあ、誰に教えてもらったわけ?」
『それがね!悪魔の子なんだよ。悪魔ってね、そこまで悪いやつじゃないみたいなのね!あんたのお手伝いをしてくれるみたいよ』
よほどその悪魔の子を気に入ったようだ。
「ふうん。そっか・・・・・・」
『そうよ!でもね。あたしもね。あんたと一緒にもう少しだけ家族でいたかったわ。大丈夫?親戚の人たちはあんたに、ひどいことはしていない?』
「いないよ。だいじょうぶ」
死んだばあちゃんに心配をかけるわけにもいかないのだ。
『そう・・・・・・?ねえ。あんたにあたしのこと頼んでもらってもいいかし ら。あんたに初めてのお願 い』
そういわれると断れない。そんなこと、ばあちゃんも十分理解してるんだろう。きっと、断っても、何度も揺れるような言葉を言うはずだ。
そして、なぜかノイズ交じりの声になってく。お別れも近いのか。
「わかったよ。でもさ、うまくいくかどうかは・・・・・・・」
『大丈夫よ!悠鬼はね、自分が思っ いる以上にで る子 んだか 。そ に、 い子の悪魔 いる だ ら』
「そっか。もう、お別れ?」
さっきよりもノイズがひどくなってる。もう、聞き取るのも大変なくらいだ。
『そ みた ね。ざんね もうす し、悠鬼と話したか たな。お願いね――』
もう、ノイズが、ガンガンと頭に響く。もう、金づちで殴られたような痛さだった。
もう。なにも、聞こえない――
はやく、新キャラだしたい・・・・・・