29.桂子さんのイライラ
29.桂子さんのイライラ
最近、大輔さんが居間で寝ることが多くなった。帰りが遅いと桂子さんを起こさないように気を使っているみたいだ。例によって、今日もまだ帰ってきてないよ。
「じーたんは?」
最近、大輔さんとぶらぶら行くのがお気に入りの空ちゃんは大輔さんが大好きみたい。
「まだお仕事だよ」
桂子さんはそう言いながら、なんだかイライラしている。紗希ちゃんと彩君がお友達の結婚式にお呼ばれしていて遅くなるから、空ちゃんの子守を頼まれていたんだけど、大輔さんが帰ってきたら交代して、行きたいところがあったみたい。
「ねえ、ぶらぶらは?」
「もう、お外が真っ暗だから、おうちで遊ぼうね」
桂子さんは空ちゃんが大好きなDVDをつけて大輔さんにLINEを飛ばす。すぐに大輔さんから返事があったみたい。
「空ちゃん、もうすぐじーたん帰ってくるって」
「ぶらぶらいく?」
「じーたん、帰ってきたら聞いてみれば?」
桂子さん、急に表情が和らいだような気がする。
ボクは階段を下りて玄関の前に。別に大輔さんをお迎えに行くわけじゃないんだ。最近、外の様子が気になるんだよね。ドアが開いたすきにちらっとでも外の景色が見えるのが嬉しいんだよね。
足音が近づいてきた。きっと、大輔さんだ。
「ただいま!」
大当たり!大輔さんは玄関のドアを開けてびっくりしたよ。ボクがここに居たからね。そして、慌ててドアを閉めようとする。もうちょっと…。ボクが外を覗こうとすると、大輔さんにネコ掴みされちゃった。そのまま階段を上がって居間へ連れてこられちゃった。
「パルさんに何てことするの!」
それを見た桂子さんが大輔さんに言ったんだけど、ボクはそんなに嫌じゃないんだよね。
「じーたん!」
空ちゃんが目を輝かせて大輔さんのところへ飛んできた。
「ぶらぶらいく!」
「えっ!今からか?」
ぼやきながらも大輔さんの表情は嬉しそう。




