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16.松坂家の日常 休日編その5(年末年始休暇)

16.松坂家の日常 休日編その5(年末年始休暇)


 大輔さんが帰って来た時には桂子さんも菫ちゃんも紗希ちゃんも、もちろん空ちゃんも寝てしまっていたんだ。それもテレビをつけっ放しで居間のホットカーペットで。さすがに空ちゃんは布団に寝かしつけていたけれど。大輔さんは破魔矢を壁掛に掛けるとテレビと電気を消して一人で書斎へ行っちゃった。


 翌朝、最初に起きてきたのは大輔さん。回る台座に専用の器をセットしておせちの盛り付けを始めたんだ。これも毎年大輔さんの仕事なんだって。空ちゃんが起きない様のそっと静かにやっているのがよく解かる。そこへ…。

 怪獣みたいにドタドタドタって足音を響かせながらおばあちゃんがやって来た。台所に来るなり、食器をガチャガチャ取り出した。

(くう)が寝てるからもっと静かにやってよ!」と、大輔さん。

「そりゃ、すみません」そう言うおばあちゃんの声がまたでかい。耳が悪いから自然に声が大きくなるのは解かるけれど、こういう事に気を使えないのがおばあちゃん。根っからの江戸っ子だから仕方ないのかもしれないけれど、何度注意されても解からないのは年のせいなのかな。

「ここにお餅を入れればいいの?」

 お雑煮のおつゆが入った鍋に固いお餅を入れようとするおばあちゃん。

「先に焼いてから入れるでしょう。普通は。ボクがやるからいいよ」

「そう?悪いわね。じゃあ、お餅は私がやるわね」

 そう言ってオーブンレンジにお餅を入れる。タイマーをセットする。チンッ。

「あれ?全然柔らかくなってない…。何分やればいいのかしら」

「中が温まってなかったら時間がかかるよ。こういう時は“コンビ”でやるんだ」

“コンビ”と言うのは電子レンジとオーブンを合わせてやる機能。大輔さんがやると、2分で出来ちゃった。その間に大輔さんは鶏肉と小松菜をつゆで煮込んで、紅白のかまぼこを添えてお雑煮の出来上がり。おばあちゃんはおじいちゃんの分と二つのお雑煮を持って部屋に戻って行ったんだ。来た時と同じように怪獣みたいな足音を立てて。

「まったく…」と、大輔さん。お手上げのポーズ。


 電話が鳴った。広子ちゃんからだった。

「何時に出掛けるの?」

「10時頃に迎えに来て」

 元日は家族全員で近くの健康ランドに出掛けるんだって。

「ほら!みんな起きろ。もうすぐ広子たちが迎えに来るよ」

 





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