14.松坂家の日常 休日編その3(年末年始休暇)
14.松坂家の日常 休日編その3(年末年始休暇)
幸い、食べるものはすべて冷蔵庫にしまってあったので被害はなかったみたいだね。でも、せっかく洗い終わった食器なんかはまた洗い直し。桂子さんは仕方なく食器を洗い始めたんだ。
「あーあ、大掃除なんかしなきゃよかった…。台所だけで1日が終わっちゃう」
「仕方がないよ。他のところはボクがやっておくから」
夕方、何とかお掃除が終わって、注連縄やお供えのお餅を飾り終えた。そこへ、銀行の人がおばあちゃんを尋ねて来た。
「仕事場に居るよ」と、桂子さん。
「誰も居ないんですよ」
「うそ!だって、今日は仕事場の掃除だって…」
桂子さんが覗きに行ったら仕事場はもぬけのから。
「何やってんだ!クソばばあ」
いつものことだよ。おばあちゃんは誰かが見ていないとすぐにさぼっちゃうんだよ。きっと、パチンコだね。
桂子さんと大輔さんは空ちゃんを連れて買い出し。近所のスーパーでお正月用の食料とおそばの材料を買いに行ったんだ。途中で空ちゃんが寝ちゃったから一旦、家に帰って空ちゃんを大輔さんに預けると、今度は桂子さんが一人で商店街へ出かけたんだ。帰って来た時にはもうくたくただったみた。空ちゃんの隣で横になると、すぐに寝ちゃったよ。それを見計らったように大輔さんがいそいそと外へ出て行った。
桂子さん、目が覚めて焦ってた。どうやら桂子さんも出掛ける用事があったみたい。大輔さんに電話してもメールしても返事が無いみたいで。でも、紗希ちゃんと菫ちゃんが仕事から帰って来たから事なきを得たみたいだけどね。
結局、大輔さんが帰って来たのは明け方だったみたいで、その日の菫ちゃんのお弁当は作れなかったみたい。それでもお昼前には起きてきて台所に立ったんだよ。年越しそばのおつゆを作るための出汁取りを始めたんだ。なんだかいい臭いが漂ってきたよ。
この日はおばあちゃんが朝から火の車。昨日、掃除をさぼったから仕事場と自分たちの部屋の大掃除。
「なんで今頃やってんだよ!」
おじいちゃんに文句を言われて、訳の分からない言い訳をしながらね。