第10話 ――10年後:詩〜巡る時・巡る季節――
春は、出会いと別れの季節。オレたちは何人との人物と出会い、何人の人物と別れるのだろうか。人の出会いは、一期一会。
どんな人物でも出会うだろうし、その中には嫌なヤツだっているだろう。
どんな人物でも別れるだろうし、その中には好きなヤツだっているだろう。
でも、どんなことがあろうとも、友達を大切にしなければならない。
だって…人は…一人じゃ何も出来ないのだから……
巡り巡る人との出会い。別れ。ソレは季節が巡り、毎年咲く桜の花びらのように――
〜10年後 桐咲市総合病院 医務室〜
ある病院の医師室。
この医師室に精悍なまだ若い、しかし様々な修羅場をかいくぐって来た様な雰囲気をかもし出していた青年がいた。
コンコンと、ドアをノックする音。
ドアが開くと、そこには年配の看護師が立っていた。
「荒河先生。このカルテを」
看護士がその青年にカルテを渡した。
「ああ、分かった。出ていいぞ」
「失礼しました」
「ああ。…ふぅ。しかし、アレから十年か」
オレはあの後、医者になる決意をした。誰かを救う。オレや、桜の思いをしないように。そう心に決めて必死で勉強して、異例の速さでここまで上り詰めた。
ここまでこれたのは、桜と、友人たちにおかげだろう。
ふと、窓の外から桜の花びらが入って来た。
「ああ。今日も、桜が綺麗だ」
誰にもなく、そうつぶやいた。
〜 END 〜