Scene6 衝撃の翌日
翌朝、学校に向かうと、皆に情報が行き渡ったのか、暗い雰囲気が教室を支配していた
特に派閥のリーダー格の子は護符を持っており、取り巻きに配っている所もあるようだ
登校中にも軍人らしい小隊規模の集団と何度もすれ違っているし、構内の警備員詰め所も明らかに増員されている上に、見回りの間隔も狭くなっていた
ところが、既に来ていたジャスミンとエーデンはそんな雰囲気などどこ吹く風といった感じで座っている
・・・凶化薬物といえば、魔力を持つ者に対してならほぼ確実に作用する、製造、所持、販売及び使用が禁止された薬物だ
効果は投薬者には忠実になるが、それ以外の理性を失わせる上に身体能力を大幅に強化、一時的に魔力も増大させるものである
一応、噛みつかれても薬が移ることはないが、披投薬者が毒を持っていたり、接触感染する菌を持っている場合は話が別で、体液や血液が粘膜等に触れた場合は対処のしようがない
そんなものを製造できる人間が脱走後行方不明ともなればこの雰囲気に染まらないほうが不自然なのだが、幸いというか、他に二人の様子に気付いた者は居ないようだ
やがて担任が入ってきて、SHRが始まるなり
「これからは暫く通常授業を減らし、集団自衛術を中心とした授業に切り替える」
と言った
「それと、構内を警備員さん達が巡回しているが、さらに当分の間、各クラスには2人護衛兵が付くことになった」
そういえば先ほどから軍人らしい人が教室後方に2人立っている
・・・が、教師たちも不安なことに変わりはないらしい
やがて授業の時間になると、移動を指示されて皆が立ち上がり、軍人が殿になる形で、地下の訓練場に移動する
ここはこの学校では最大サイズの訓練場で、全校生徒を収容してなおかなりの余裕のある場所で、元は有事の際の住民の避難用シェルターとして作られたらしい
そこに全校生徒が集められ、訓練を受けるのだ
やがて昨夜のニュースで言っていた事と大差ないような話が終わり、学年に関係なく家が近いもの同士でチームを組むことになった・・・が
誰もいないのである
そもそも国中から生徒が集まるこの学校だが、生徒の大半は首都の中心部に住んでいる為、大規模な自衛集団が出来上がるのだが、中心部から離れた郊外の者や、そもそも首都に住んでいない者も少数派とはいえ居るため、どうしてもこういうチームでは疎らとなる
普段徒歩通学しているアリスもその一部の者である
ではそんな距離をどう徒歩で通うのか
答えは簡単、親が強化魔法をかければよい
平時の魔法の使用は禁じられているが、それは未成年者の話
成人さえしていれば責任を求められる代わりにある程度自由であるため、長距離を歩く子に対して疲れにくくする程度の強化魔法ならば全く問題はない
だからといってその途中で起こる非常事態に対処ができるわけではない訳だが
ところが、こんな状況でもジャスミンとエーデンは誰かと組もうとする気配を見せない
他の学年上位者でもそんなことをしようとしないというのにだ
アリス自身は何か問題に巻き込まれた際の為に訓練を付けられていたし、護符や魔法を併用する方法も訓練していた為に問題はあまりなかったりするのだが、それは生まれつき身体能力に問題があることが早くから分かっていた為に両親が独自に訓練法を開発、実行していたからであって、そもそもいともたやすく学年上位に食い込めるだけの身体能力を持った2人がそんな訓練を受けていたとは考えにくいのだ
だが人の事を気にしている場合ではない
そう考えて自分は独自の訓練法に自衛法を組み合わせた訓練を行うことにした
~~~Jasmine's angle~~~
どうやら皆訓練を始めたみたいね
恐らく、仮想敵はせいぜい中位悪魔の小規模な群程度
まあ、元々軍が到着するまでの時間稼ぎが目標でしょうけど、上位悪魔の集団とか、若しくは『仲間』を増やす目的の集団に当たった場合はどうするんでしょうね
私自身はわざわざ近付かなくとも集団を迎撃する事は充分可能だけれど、ね
~~~Eden's angle~~~
皆さん訓練を始めましたね
どうやら魔法を主体とした中~長距離の砲撃戦をメインとしているようですが、万が一魔法を無効化されたり、魔力を使えなくなった場合はどうする気でしょうか
私自身は逃げきれる自信がありますし、戦闘になったところで圧倒できるくらいの力はあるので関係ありませんが
Scene1から居るジャスミンの心理描写が漸く登場
というか後発キャラに追い越されるってどういうこと
どうも戦闘描写は苦手です
ついでに文章が拙い気がします
どうせなら他の筆者さんの小説みたいに主人公に最強チートかけてやりたいくらいですが、それは筆者のポリシーに反する気がしなくもないのでやりません、面倒だけれど
というかそんなことをしたら話が根本的にひっくり返ります