Scene5 悲劇の序章
家に帰ると、珍しく両親がいた
「あれ、今日早かったの?」
事前に聞いてなかった私は、両親に尋ねた
「うん、まあ・・・な」
と歯切れの悪い返答を返す父
続けるように母が
「後で大事な話があるわ
その前に、少し休みなさい」
と言った
・・・おかしい、何かある
しかも、自分の進退に関わるようなことではない
こういうときに働く、妙に鋭い勘は母親譲りだ
そうは言われたものの、こういう時に呑気でいられるほど、気は強くない
とりあえず自室に入り、荷物を置いた上で着替え、深呼吸をしてリラックスしてみる
・・・少しは収まったようだ
両親が待つリビングに行くと、既に2人とも座っていた
「いいか、よく聞いて欲しい
ついさっきの話だが、
前に違法な凶化薬物製造で逮捕された犯人が居ただろう
・・・そいつが脱獄したらしい」
「・・・えっ?」
「それで、すぐに脱獄者捜索班が出動したんだが、どうやら共犯者が居たらしくてな
その共犯者がかなり用意周到で、尻尾を掴ませなかったんだ」
「それってかなりマズいんじゃあ・・・」
「ああ、今警察をはじめ、国家軍が全力で探してるが、見つかるかどうかは・・・
何かやらかしてなければいいんだが」
「本来なら学校で話をしてもらうつもりだったのだけれど、そのころにはもう遅くて・・・
各家庭で注意喚起と対策をするように言われたわ」
「勿論、明日から軍属者による集団パトロールや、教育施設を含む重要な施設には警備兵も増やす
だが、それで安心できるような相手ではないんだ」
「そんな・・・」
「一応明日はいつも通りだが、何が起こるか解らない
そのためにこの札を持って行くといい
これは重力捕縛網と守護者の防壁だ
発動に必要な魔力は札に予め封じてあるから、翳すだけで使える
ただし、1枚に付き効果は1度きりだから、危ないと思ったらすぐに逃げるんだ」
「・・・分かった」
どうやら、朝から何か変わってると思ったら稀に出る予知能力が告げていたらしい
しかし、それだけで大丈夫なのだろうか?
少々不安だが、親の言いつけを守るしかない
何せ自分で出来ることなど殆どないのだから
そう思いつつ、前に教えてもらった活力吸草の術を発動させてみる
本来は相手の魔力を吸い取り、相手の動きを鈍らせたり、自分が他の術を使用する際に、その術を発動させる源に吸収した魔力を使用する為の術だが、最悪、種だけを対象に植え付けることさえ出来れば、制御は難しくなるが対象の魔力を吸い取りつつ、動きを封じる網として使えるのだ
特に、相手に植え付ける使い方なら自分の技量は殆ど関係がなくなる為、緊急時に使う捕縛用の術としてはそこそこ優秀なのだ
・・・発動させられれば、の話だけれども
一応それらしい種は出来た・・・が
試せない
相手が居なければ成り立たない上に、一歩間違えれば相手の息の根を止めかねない、危険な術である
アリスはそれ以上試すのは止めにして、眠りについた
アリス「なぜ1日に2度も投稿したの?
文章も短いし、文才がまるでない貴方が」
筆者「気分です」
アリス「訊いた私がバカでした」