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ドリームクリエイト  作者: 真導霧照
模写せし黄狐
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今までの世界2

少し暇ができたのでもうあげることにしました^-^

「何でこうなったんだ……」

俺は今自分が置かれた状況に困惑していた。いやいや、この状況で困惑しない人間を見てみたいと本気で思う。何故こうなったかというと、今日は瞬間移動機が動いていないなんていうアクシデントに遭ったからだ。小学校の頃から、瞬間移動機は通学の必需品だったのだが、これが使えなくなると、俺達は学園に行くことが困難になる。いや、それどころではない。この町から出るためには必ず使うものなのだ。それが使えないということは、この町に隔離さ

れたと言ってもいい。

「ごめん。今日は瞬間移動機が動かないって昨日来た共通テレパスで伝えられていたのを忘れていたよ」

「いや、俺が共通テレパス無視して全然聞いていなかったのも悪いんだ。それより急ごうぜ。高校生活最初から遅刻は洒落にならない」

そして今、俺達は走って学園に向かっていた。テレパスというのは必ず確認しなければならないわけではない。だからこそ、俺はほとんど無視するわけで……。こういう時は飛べる魔法とか雷の魔法を使って光速に移動できれば便利である。昔は電気を使った乗り物があったらしいが、今の時代に何故消えてしまったのか疑問に思うところだ。こういう時にあると役立つような物だ。

「そういえば、霊也は何時もそのキーホルダー持っているよね」

そう言って優那は俺の鞄に付けているキーホルダーに目を向ける。

「あぁ。別にどうでもいいだろ、そんなこと。強いて言うなら気分だよ、気分」

「ふ~ん」

それ以上優那は追及してこない。本当にただの疑問だったらしい。これについては誰にも触れられたくないものだったので、追及されなくて良かった。

「あ、そういえば優那。今日は何で何時もと雰囲気違うんだ?」

「えっ。そ、その……そう。今日から新学期だから心を入れ替えようと思って……あのさ、どうだった?」

「え? 何がどうだって?」

声が小さくて、走っていながらでは聞こえない。出来ればもっと大きい声を出してほしいものだ。

「はぁ。だから今日の私の印象に決まっているでしょ」

「あぁ。そうだな……なんか(ゆう)()に少し似ていたかもな」

その瞬間、俺は胸に刃物が刺さるような痛みを感じた。いや、実際に刃物が刺さったことはないので、そんな痛みは分からないが……。こんな現象はあることを考えると必ず起こる。もう慣れになってきたが、治ることがない。

「だ、大丈夫?」

どうやら顔にも出てしまったらしい。今回は何時もより痛みがあったから顔に出てしまったのだろう。毎度のことだが、優妃のことを思い出すと胸に痛みを感じる。まだまだ俺は優那のことを克服できていない。

「いや、平気だよ。ちょっと昔のこと思い出しちゃってさ。もう大丈夫だ」

そう言うと優那は少し暗い表情になった。それから俺達は学園に着くまで一言も話さなかった。というよりは、話しにくい空気になった。



「入学おめでとう。私は封付学園の生徒会長を務めさせていただいています()(だらい)(はる)()です。皆さんはこれから魔法の勉強に精進することでしょう。……」

生徒会長の挨拶の後、校長や教師からの話などが終わり、入学式は特に変わったところもなく終わった。尤も俺達は全力で走ってきたが、ぎりぎり間に合わず、立たされながらの入学式だった。その後、入学式後に教師からの説教に遭い、ついさっき解放された俺は、テレパスで送られてきたクラス表を見て、優那とクラスへと向かっている。

「同じクラスでよかったね」

「といっても二クラス合計60人だけだし、確率は50%だからな」

「でも、もうちょっと喜んでくれてもいいじゃん」

少しすねた優那は先にクラスへ走って行った。もうちょっと大人になったかと思ったが、まだ子供っぽい、本心からそう思う。

「ちょっと待ってくれませんか」

俺の後ろで何やら人を引き留める声がした。別に俺は誰かに引き留められる理由もないのでそのまま教室の方へ歩く。もし自分が呼ばれていたとしても、初日から絡まれるのは絶対に御免だ。意外と俺は面倒臭がり屋なのだ。

「無視と来ましたか。一年A組、真田霊也君」

今、俺の名前を呼んだ気がしたのだが……。俺はつい後ろを振り返る。

「やっと振り向きましかた。それもそうですね。入学式早々に遅刻する人ですしね」

「あ、あの~。どちら様ですか?」

そこには見覚えのあるようなないような先輩が立っていた。どうやら俺が遅刻したことも知っているらしい。

「……本当に覚えていないのですか?」

「へ? だって初対面だと思うのですが。もしかして一度会いましたか?」

「はぁ。もういいです。もう一度名乗るので、ちゃんと覚えてください。私は琥盥晴香。この学園の生徒会長です」

そう言って自らの胸をポンっと叩く。

「あ、そういえば確かに」

正直、俺にとって入学式の時はあの後どうなるが心配で全く見ていなかった。そう言われると確かに風格がある気がする。

「で、俺に何か用ですか?」

俺が会長に質問した瞬間、少し会長の後ろの人たちが吹き飛ばされていくのが見えた。これは野生の感だが、この人は怒らせるとかなりまずい。とりあえず、素直に聞かれたことを答えるべきだろう。

「真田君。今日あなたがしたことを思い出してみてください」

俺は言われるがまま今日自分がしたことを考えた。でも全く覚えがない。あるとしても会長とは関係が薄いことしかない。例えば優那がご飯を食べている間、鞄の中にガラス球を数十個入れ、後でばれて頭上をその鞄で叩かれた、ということぐらいしか思い出せない。

「考えることないですよね! あなたは遅刻したのですから」

「あぁ、それですか。本当にすみません。……って会長、何で優那には言わないのですか?」

そう聞いた俺は、この学園特有の規則を思い出した。入学前に必ず覚えておけ、と合格通知と共に送られてきた書類に書いてあったのに、今の瞬間はすっかり忘れていた。これはかなりまずい。次は規則を覚えていないことで責められるかもしれない。俺は吹き飛ばされることを覚悟した。……だが、それは杞憂に終わった。

「封付学園規則第四条、高級魔道師以上の者は学園での軽い問題は免除される。あなたは知っているでしょう。永瀬優那さんは高級魔道師。そして真田君、あなたは低級魔道師。この意味分かるでしょう」

会長は自分で言っておきながらも少し暗い表情をした気がする。俺もこの規則にはかなり文句が言いたい。どうやら会長も同じ考えなのかもしれない。今の時代でこんな差別をする学園があるとはどういうことなのだろう。いや、昔にもあったのか分からないが……。それでも、生まれながらの才能で、こんな格差を作るなんて、人間としてやっていいことなのだろうか?

「確かにそういう規則がありましたね。すみません、遅刻してしまって」

俺は何も言い返さずに謝った。言い返さなかった理由は勿論、この人に言い返したらさっき飛ばされていった人と同様なことが自分の身に降りかかりそうだからだ。先程の失態には何もされなかったが、次もそうとは限らない。俺はどうにか顔に出さないようにする。

「じゃあ今日は注意だけですから。それよりもうすぐ予冷が鳴るから教室へ行ったほうがいいですよ。うちの先生、こういうことにうるさいですから」

「はい、失礼します」

俺は会長の言葉を聞いて、急いでこの場を立ち去る。今回は助かったが、これからは目を付けられないようにしないと危険だ。俺は心に深く刻みつけた。


明日あげられればあげようと思います

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