歴代ベストイレブン
シーズンが進みすぎてるんでちょっと番外編を挟みました。
鹿児島戦が終わった翌日から、アガーラ和歌山のオフィシャルサイトでは、こんなページがオープンした。
「Jリーグでの5年間を振り返る!アガーラレジェンドイレブンアンケート」
2008年にJリーグに昇格してから6年目のシーズンを戦っている訳だが、実はまだ5周年記念のイベントは何一つ出来ていない。後半戦を戦う上で、選手達に歴史を知ってもらう上で昇格争いの発奮材料にしてもらおうと、竹下社長が開催を決めたのだ。
インターネットからの投票や、新聞の折り込みチラシ、ハガキなどで各ポジション一人ずつ選手名を明記して応募するもの。クラブの伝統的な布陣である4−4−2に当て嵌めて発表する。
それが始まって1ヶ月がたったあたりで、若干の問題が出てきたのだった。
「DFが割れすぎなんですよねえ」
インターネットの集計結果を見ながら、三好広報は呟いた。
現在の状況を整理すると、キーパーは開始早々から友成が圧倒的に票を伸ばし、2トップも剣崎、寺島(現奈良)の新旧エースがほぼ固定。中盤はチョン、栗栖、竹内の現役勢に松本コーチの4人に票が集中しているのだが、肝心の4バックは生え抜きの川久保、村主が抜きん出る以上に、残りの二枠を埋める選手の得票数が過半数割れと言える状態だった。ちなみにわずか1年しかプレーしていないが、今石GMもそこそこ票を得ている。
「しかし、JFL時代を知るものとしては、キーパーに瀬川(現奈良)、秋川(現コーチ)に票が集まんないってのは寂しい気もするなあ」
フロントの古株である営業部長の石川富雄がぼやく。サポーター上がりの営業マン、塚田博幸も頷く。
「それに、地域リーグ時代からの面々もだいたいはJでプレーできるくらい成長したんですし、検見川さんや大場さんの名前が出てこないのもなぁ。ミーハーな連中ばっかなんだよなぁ」
そして三好から古参の心にチクリとくる言葉が出る。
「懐かしんでるところ悪いんですけど、サイドバックが村主さん以外ロクなのいなかったせいで、4バックに支障出てるんですけど?」
「…去年までうちにいた藤川とか、昔レンタルした二宮(久武、元札幌)とかは?」
石川からの質問を、三好は現実を突き付けるように言った。
「二人ともDF部門のベスト5にすら入ってません。ついでに言うとルーキーの関原くんよりも下です」
ベストイレブンを決める投票においてこのサイドバック問題は最後まで解決せず、センターバックタイプだった猪口と大森が三位と四位にランクインしたので、急造の4バックでの発表となった。
歴代ベストイレブンは以下の通り(カッコ内はJでのプレー期間)
GK友成哲也(12〜)
DF川久保隆平(08〜)
DF村主文博(08〜)
DF猪口太一(12〜)
DF大森優作(12〜)
MFチョン・スンファン(08〜)
MF松本大成(08〜09)※スタメン唯一の引退選手
MF栗栖将人(12〜)
MF竹内俊也(12〜)※FW部門でも三位にランクイン
FW剣崎龍一(12〜)
FW寺島信文(08〜12)
ちなみに次点で作ったリザーブの7人は次の通り。
GK瀬川良一(08〜12)
DF関原慶治(13〜)※ルーキー唯一のランクイン
DF二宮久武(10)
MF野上康生(08〜09、11〜12)
MF内村宏一(12〜)
FW鶴岡智之(12〜)
FW宮脇健太郎(08〜09)
ちなみに、監督投票は曽我部、今石、バドマンの三人を凌いで、11年シーズン終盤、数ヶ月だけその任に就いた竹下社長が選ばれた。創世期からクラブに在籍した生き字引的な存在であることが評価されていた。
アガーラ和歌山シリーズの短編「和歌山でサッカー」「Jリーグでの苦闘」をあわせて読むとより分かりやすくなります。




