第8節マッチレポート
Jペーパーに記載された奈良戦のレポートです。
スコアは4−0。得点者と交代の組み合わせは次の通り。
得点:竹内(31)、剣崎(45+1)、栗栖(67)、鶴岡(79)
交代
和歌山:小西→長山(79)、鶴岡→西谷(83)、チョン→猪口(89)
奈良:太田→西川(HT)、寺島→杉山(71)、近藤→ソウザ(71)
〜波乱なきダービー。現状通りの結果〜(浜田友美)
「プロとしてすべきこと、勝つためにやるべきことをいつからしようとしていたか。それが勝敗を分けたと思う」
試合後の会見でバドマン監督が語ったように、この試合は覚悟を固めるまでのタイムラグが、そのまま試合での質の差に反映されていた。
確かにこの日の奈良は、直近3試合と比較して、目に見えて動きの質が違った。先制こそ許したが粘り強いディフェンスを見せ、特に失点直後に見せた藤川を起点とした反撃は目を見張るものがあり、友成の好セーブがなければ同点どころか逆転もありえた。
それでいて4−0というスコアになったのは、奈良の選手たちの気構えが一過性の程度に留まったことだ。「同点のチャンスをモノにできないことより、それを引きずって生まれたピンチを一発で仕留められて、抜け殻のような雰囲気になったのが一番の問題」と、最後まで声を張り続けた瀬川の言葉に、奈良の不振の元凶が見え隠れする。
試合後会見において曽我部監督の解任が発表された。約1年の政権に終止符が打たれ、奈良は新たなスタートを切ることになる。瀬川は続ける。「はっきり言って和歌山の若い連中の方が『プロ』だった。チームとして意識改革をしないと、誰が監督しても同じことになる」と。剣崎、友成らの気概を、昨年1年間チームメートとして実感しただけにその言葉は重い。
採点・寸評
和歌山
20 友成哲也 7
際立つ守護神ぶり。先制後の奈良の猛攻を悠々と防いだ
5 大森優作 6
終始安定。確実にスタメンとしての地位を築きつつある
6 川久保隆平 6
今季初出場で完封に貢献。まだまだ沼井、大森は安泰ではない
11 佐久間翔 6・5
2点目に繋がるボール奪取は見事。その後も随所で攻撃に絡む
14 関原慶治 6
対面する高橋、藤川によく対応。後半は守備に徹した
17 チョン・スンファン 6
川久保同様、まだまだチームに欠かせないことをプレーで示した
10 小西直樹 5・5
佐久間を良くサポートしたが、もっと攻撃に絡まないと困る
8 栗栖将人 6
攻撃に良く絡み、直接FKで3点目の置き土産を残す
16 竹内俊也 6・5
トップ下で何度もセカンドボール拾い1G1Aを記録
9 剣崎龍一 6
奈良の息の根止める中押し点決める。早くも得点王へ地固め
18 鶴岡智之 6
全体的に消化不良。それでもコーナーキックでは高さでモノを言わせた
2 猪口太一 −
時間短く、評価なし
21 長山集太 −
時間短く、評価なし
22 西谷敦志 −
時間短く、評価なし
C ヘンドリック・バドマン 6
盤石の試合内容。選手交代にも余裕があった
奈良
14 瀬川良一 5・5
懸命のコーチングで味方を鼓舞したが、実らず4失点喫する
5 太田盛安 4・5
年下の剣崎にやられ放題。次第に戦意も失った
27 平野一樹 5
古巣相手に奮闘見せたが、敵わない場面が多かった
28 藤川克己 6
低調な雰囲気の中、ただ一人和歌山相手に刃向かいつづけた
25 野上康生 5
攻め上がってチャンスを演出したが、味方と上手く噛み合わず
2 アンドレ 5
ロングシュートを枠に飛ばす。それ以降は尻すぼみ
6 加藤秀行 5
沈むチームを鼓舞するどころか、雰囲気に飲まれてプレーに精彩欠く
10 近藤一樹 4・5
まさかのミスで致命傷。他にも積極性を欠いたプレー少なくない
16 高橋祐輔 5
攻めたい気持ちが空回り。シュートも枠に飛ばず
9 石倉健太郎 5
出来が悪かったというより、相手が悪かったという印象
19 寺島信文 5
体を張ったプレーもあったが、和歌山のセンターバックに苦戦した
22 西川秀平 5
攻撃のカンフルとして投入も、すでに2点ビハインドでは…
13 杉山直人 −
時間短く、評価なし
15 ソウザ −
時間短く、評価なし
C 曽我部雄三 4・5
低迷の上にダービー3連敗では、解任もやむを得ないか
COLUME和歌山
〜質に量が追いついた。センターバックに見る選手層の進化〜
開幕から未だに全勝を続ける和歌山。その勢いは決して偶然ではない。いや、偶然を上回る実力が伴ったと見るべきだ。
その要因は選手層の強化であり、最も如実に現れているのがセンターバックである。メンバーの入れ替えを繰り返して、バドマン監督は大森と沼井をファーストチョイスとするようになった。沼井の実力は言わずもがなだが、触発されるように大森の成長が止まらない。フィジカル任せだったプレーに、状況判断の早さ、局面の冷静さが伴うようになり、昨年13枚(レッド1枚含を)もらったイエローカードは今年はまだもらっていない。そんな中で生え抜きのベテラン川久保がようやくの初出場初スタメンで完封に貢献。心身の強さに足元の技術を兼ねる園川もレギュラーを張る実力を有している。決して厚くないと言われてきた選手層だが、質に量が追いついた。だからこその全勝なのである。