第6節マッチレポート
小説の世界でも発行されている新聞、Jペーパーに掲載された記事です。
〜エース剣崎、目覚めに尾道粉砕〜(浜田友美)
「むこうの9番(荒川)が点取ったなら、俺が取らないわけにはいかない」
開幕戦以来のゴールから一気にハットトリックを達成した、昨シーズンの若き得点王は鼻息荒くして答えた。
「せっかくチームが勝ち続けるのに俺だけ流れに乗れていない。3月の締めくくりには絶対貢献したかった」
新しい指揮官から、エースとしてより一層の期待をかけられながら、開幕戦の「ついでにとれた(剣崎)」2得点からゴールが遠ざかったことに忸怩たる思いもあっただけに、「勝ちに繋がるゴールをとれたのがよかった(同)」。
しかし、試合内容を振り返ると「決して褒められた内容ではない(友成)」。前半は剣崎の同点弾以外は試合のイニシアチブをとられ、後半は対策を施して主導権を取り返しながら、オフサイドトラップにはまり続けるうちに勝ち越されてしまった。極端な言い方をすれば、剣崎の復活がなければ2−0の完封負けを喫したも同然だった。バドマン監督も会見でこれを指摘しており「主導権を握った時のゲームコントロールをもっと磨かなければならない」と改善の余地を口にした。
とは言え、課題を抱えながら3月の6試合を全勝で乗り切り、いきなり18の勝ち点を重ねたのは大きい。「課題を意識しながら戦えるのはこの上ないアドバンテージ(沼井)」だ。リーグ優勝とJ1昇格を果たすための最初の関門を、和歌山は持ち前の馬力をもってクリアした。
採点・寸評
和歌山
20 友成哲也 6
攻撃の起点として輝けるのは強み。失点はどちらかは触りたかった
5 大森優作 5・5
荒川つぶしを託されたがやや消化不良。速さにはついていけた
23 沼井琢磨 6・5
体格差克服し、シュヴァルツと互角に渡り合った
21 長山集太 6
古巣戦で初先発の粋な器用にほぼ満点解答。驚異の運動量披露
7 桐嶋和也 5
桂城相手は役不足か。いいようにあしらわれ悔しい前半限りの出場
17 チョン・スンファン 6
中盤からチームを鼓舞し続ける。さすがの存在感
2 猪口太一 5・5
光ったのは後半から。右サイドでマルコス・イデの攻め上がりを抑えた
31 マルコス・ソウザ 6・5
ポジションを代えながらもそれぞれの位置でハイパフォーマンスを見せた。
8 栗栖将人 6
勝負どころでの狂いのないラストパス供給は、さすがの一言
16 竹内俊也 6
ハットトリックでもおかしくない出来だが、オフサイドに泣かされ続けた
9 剣崎龍一 8
復活のハットトリック。ようやく勝利にからんだ
14 関原慶治 6
桂城からの猛威を緩和。指揮官の期待にきっちり応えた
22 西谷敦志 6・5
これだけの選手が控えなのだから、相手監督はやってられない
18 鶴岡智之 −
時間短く、評価なし
C ヘンドリック・バドマン 6
前半の課題をすぐに修正。起用した選手も結果残した
尾道
20 宇佐野竜 5・5
失点はノーチャンス。課題のキックはもっと精度が欲しい
4 モンテーロ 5
剣崎のマークを託されたが、格の違いを見せ付けられた恰好に
5 港滋光 6
押し込まれた展開でも沈着冷静。巧みにオフサイドトラップを仕掛けた
26 深田光平 5・5
右サイドの均衡を保つが、攻撃のリズムにつなげられず
2 マルコス・イデ 5・5
相手のマークに苦しみ、いつものような驚異にはなれず
6 山田哲三 6
この日の和歌山にとって最も厄介な存在。バランサーとしてキレていた
17 亀井智弘 5・5
山田とのコンビは良好も、和歌山の助っ人コンビに歯が立たず
7 桂城矢太郎 6
先制点に繋がるクロスなど、攻撃の起点として光っていた
8 御野輝 5
ほとんど中央に出れず。先輩に華を持たせる恰好に
9 荒川秀吉 6
先制点のポジショニングはさすが。嫌らしい動きで攻めた
11 シュヴァルツ 5
来日後最低とも言える出来。無念の負傷交代
22 朴康信 5・5
ファーストタッチで活路開くも、その後は尻すぼみに終わる
18 野口拓斗 6
チームに光明見出す初ゴール。シュヴァルツの具合では今後チャンス有
3 橋本俊二 −
時間短く、評価なし
C 水沢威志 5・5
課題残る逆転負けも、収穫もあり悲観する必要はない




