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王と王妃  作者: くま
3章
16/19

正妃

 雲一つない―――――晴天。


 その日、世継ぎたる王太子と、その正妃との婚礼が挙げられた。

 正妃となった彼女は、名門公爵家の長女であり、正妃となる前まで王太子唯一の側妃として寵愛を受けていた。

 彼らの間には既に半年前に生まれた王子が一人おり、王子が生まれた後も彼らの仲睦まじさは有名だった。

 儀式の合間にも見つめ合い、何かと王太子が妃に手を貸す姿に誰もが笑顔になり、喜んだ。

 まさかその裏側で、


「……正妃になったからって自惚れないでよ」

「レティ」

「側妃になる前に『好きな人ができたらその人に嫁ぐ』って言ったの、あれ有効だから」

「おい!」

「もちろんあの子も連れて行く」


 破局めいた会話が成されているとは知らず。

 ふいっと顔を逸らすレティシアに、シルヴァンは焦る。

 イーデン王妃、ローザがフェイアンに来ると決まってから、レティシアの機嫌は悪かった。

 自分に原因があるだけに、シルヴァンはどうにも立場が悪い。

「レティ」

「………」

 笑顔で民衆に手を振りながら、シルヴァンを無視する。 

 何度か呼びかけた後、返事がないことに諦め。

 手を伸ばして細い頤を捕える。

 何、と目線で問うレティシアに、


「……愛してる」


 と初めてその言葉を囁いた。

 見開かれる大きな瞳を見つめながら、そっと唇を重ねた。

 大きくなる観衆の声を聞きながら、二人は目を閉じたのだった。


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