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王と王妃  作者: くま
1章
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強い人

「あなたは強い人だから」


 小さな囁きのような、吐息のような声だった。

 だからそのあとに何か続いたけれど、その続いた言葉を、聞き取ることはできなかった。

 困ったような微笑を浮かべながら、けれど決して首を縦に振ってはくれなかった彼女は、あのとき何と言ったのだろうか。

 どうして聞き返すことができなかったのか。

 あのとき聞き返していれば、今こんなにも苦しむことはなかったかもしれない。

 初めて会ったときから、いやそれ以上に美しく成長した女性。

 誰よりも焦がれて、手に入れたいと手を伸ばした最初の人。

 けれど決して自分の手を取ってくれなかった、愛しい彼女。

 気が狂いそうなほどの想いは、未だに自分の中から消えてはくれない。

 彼女は、今何を思っているだろうか。

 願わくば、彼女のこれからが幸せであればいい。

 一切の不幸など寄せ付けない、誰よりも幸せな生を歩んで欲しい。

 最早願うことしか許されない自分は、異国へと嫁いだ彼女のためにだけ祈る。

 光あれ――――と。

 

 

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