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俺 in 異世界  作者: 黒兎
1章 ~落ちて異世界~
2/2

1-(2) 万年不幸・事故バンザイ!(2)

 ふぅ、予定通り書けました。


どの位の間意識を失っていただろうか、真っ暗な闇の中で目が覚めた。あまりに暗いためほんとに目が覚めたかどうか分らないが意識を失う前に感じた浮誘感を未だに感じる。


『…ここは――…』

試しに声を出してみたが聞こえない。耳を澄ましてみたが怖いくらいに何一つ物音しない。しばらく耳を澄ましてみるがそれでも聞こえない。


 一瞬体がバラバラになったのかと思い怖くなったが、背中に刀袋に入れた木刀の堅さが伝わって来たのでそれも瞬時に収まった。


 暫く経っただろうか、たまに恐怖に囚われそうになったりしたが何とか我慢していた。だが、また恐怖に駆られそうになった時体の中に暖かい物が流れ込んできた。次の瞬間目の前に光が広がった。


「うわ!」


 ドスン!!


いきなりの明るさに目が眩み声を上げたらしりの下に硬い地面の感触がした。


「痛ってー!」

 落ちた?と同時に腰を打った。


 痛みに呻きながらも目を光に目を慣らす。ずっと暗い所に居たせいか、慣らすのに時間が掛る。その間は音を聞いて現状を探る。


 周りに人の気配はしない。その代わり,火がパチパチと()ぜる音が聞こえた。


 目が慣れてきたので周りを確かめてみる。


「なっ!!」

 ただ絶句するしかなかった。


 始めに目に入ったのが民家?なのだろう木造の建物のものだが、それは赤々と燃える火に包まれていた。その周りに建てられている物もそう。全ての物が火に包まれており、いつ崩れてもおかしくない。


「火事か?」

 疑問に思いながらもそこは危険なのでひとまず火の無い所を探すため走り出す。すると運の良いことに民家の一角に燃えてない場所が一か所だけ見えた。


「あそこに行ってみるか」

 足の向きを変えまた走り出す。しかし、角を曲がった瞬間にその足は止まった。


 目の前の足元には血だまりが出来ていて、人が無数に倒れている。


「おい!どうした。大丈夫か?」

 一番近くに倒れていた人に走る。


「――っ!」

 見なければ良かった。


 仰向けにしたと同時に息をのむ。無残にも喉と腹を引き裂かれている。腹の中の臓物が飛び出し、すでにこと切れている。


「うえぇっ」

 死体から目を逸らし吐く。穴に落ちる前の晩にしか食べ物を口にしてないのでなのも出てこない。その代わり酸っぱい胃液が喉を競り上がって来る。


 道場で怪我をする人は居るが死ぬ程ではないし、傷の具合が違う。この人は何か生き物(・・・)の爪で引き裂かれている。


流石に油断して居たので止められない。胃液を出し切っても吐き気が収まらないがフラフラしながらも死体を目に入れないようにしてその場を離れる。


 血だまりの中を歩きながら何とか火が無い場所の近くまで来た。ここまで来る間にやっとのことで吐き気を押さえおちついた。


 もう一度角を曲がり、火の無い所へ真っ直ぐ―――。という所で向こうに人の気配がした。まだ生きている人が居ると思い走る。


 前に進むにつれ火の爆ぜる音が小さくなり人の息づかいや、声が聞こえてくる。


 だが、生きている人が居たことと、やっとこの地獄のような所から出れるかもしれないという喜びで周囲に気を配るのを怠っていた。


 ピシンッ――カランッ、カラン


 開けた所に出る直前、足元に張ってあった糸に足を引っ掛けてしまった。


 糸が切れて鐘が生きおい良く鳴る。


「あっ!」

 足を引っ掛け転んだが、咄嗟に受け身を取ったので怪我はしなかった。


 なんだか様子がおかしいと感じたので急いで立ち上がろうとしたが、首に白く冷たい尖った刃を突き付けられた。


 首に刃を突き付けられた瞬間背筋が冷え「しまった!」と失敗に気付いた。


 ここに来るまで生きていた人と一人とも合わなかったから油断した。罠があるなどと予想もしてなかった。


「ほう、まだ生き残っていた奴がいたか」

「頭、よくこんな罠思い付きやしたね。ビンゴッスよ!」

 一番始めに声を出したのは頬に傷がある男、その次に俺に剣を突き付けている男だった。


 この場には俺を含めて六人の人間がいた。四人は俺の周りに、残る一人頬に傷があり頭と呼ばれた奴は少し離れた所でこちらを見ている。


 すでに前後左右と四方を囲まれてしまっている。逃げるのは無理だろう。


迂闊だった。住人しか居ないと思っていた俺のミスだ。


 周りを見れば首が刎ねられた死体が何体かあり、目の前に立っている男の服などにも飛び散った血が大量に付着している。おそらくこの場に逃げてきた人たちの首を刎ねて殺したのだろう。


「おい、こっち向け」

 首に突き付けられた刃によって上を向かされる。その際、鋭い刃のせいで首筋が少し切れて血が流れた。


 それと同時に今まで感じていなかった死への恐怖が全身を支配する。



 今まで車に撥ねられたり鉄骨が落ちて来たりと、一歩間違えたら死ぬ様な経験を幾つもしてきた。だがそれは何時も唐突に起こるため深く考える暇も無く対処していたので恐怖を感じる暇もなかった。しかし、今は首に刃を突き付けられ、相手の意思一つで直ぐに死ぬという状態でじわじわと精神を削られる。そこは幾ら鍛えても実際に体験するのとはものが違う。



 俺が抵抗しないと見たのか、後ろと横にいた三人が目の前に立つ。


「はっ、やっぱり見た目通りのチビ餓鬼だ」

「どうする?あいつ等みたいに遊ぶか」

 そう言って周りに転がっている死体を顎で指す。


 たぶん、と言うより確実に俺を殺す方法を話し合っているのだろう。


「お前それ好きだなぁ。あれはあれで楽しいけど相手をした奴だけだろ。それにこの街にはもう火が廻って来てる。この餓鬼以外生きてる奴なんて居ないはずだ。外に逃げれば()の餌食になるしな。ま、最後の獲物だ。みんなで楽しめる奴にしようぜ」

「まぁ、そうだな。じゃあアレ(・・)にしようぜそうすれば「おい、そろそろ時間だ」一緒…えっマジ?」

 これから、というところで頭とが声を掛けた。先ほどから殆ど話さなかったのは、火の周り具合を見ていたからのようだ。


「ああ、そろそろ俺らも行かないと出られなくなるぞ」

「えーたく、しかたねぇじゃあ、頭、この餓鬼どうします?」

 その言葉にピクリと肩が微かに動いた。


 事の次第ではこのままに逃してくれると思ったからだ。


 だが、次の頭の言葉でその思いは打ち砕かれる。


「ザギ、お前が()れ。残りの三人は集めた物を纏めろ終わったらすぐここを出る」

 そう言い放ち、自分も荷物を纏める為、袋を持ち物を積み上げていた建物に向かう。残りの三人もそれぞれ手に袋を持ち後に続く。


 ザギと呼ばれたのはずっと俺に剣を突き付け、良く喋っていた男だった。


「残念だったな。もっと遊んでやりたかったんだが頭の命令だ、まあ痛みは一瞬だけだ。死ぬことを恨むんなら俺らじゃなく自分の運命を恨むんだな」

 決め台詞のつもりで言ったのか、剣を俺から離し、肩に乗せて言ったが、俺は後半を聞いていなかった。


 無視している訳でも、恐怖している訳でも無い。あえて言うなら俺は怒り狂っていた

散々人を殺しておいて未だ遊び足りないと言うその言葉に。


 俺は命を粗末にする奴が嫌いだ。俺が小さい頃に両親は死んだ。だから両親の顔を覚えてないし、今更どうこう言おうと戻って来はしない人を求める様なことはしない。そのことが在るから俺は命大切にしない奴は嫌いだし、目の前で死のうとしている奴が居たら殴ってでも止めるだろう。


 だが、今俺の目の前にいるザギやその仲間が好き好んで人を殺すのが許せなかった。


 ザギが剣を振り上げ降ろす。その時既に俺は無意識に動いていた。


 振り降ろされた剣を、右側に自分から倒れることで避ける。避けられたことに慌てて剣をもう一度振り降ろそうとしたところを先に動いた俺が剣を持っている方の腕を肘で殴り、取り落としたところ、その剣を奪い取る。


「なっ、お前!」

剣を奪われたことに驚き、すぐ怒りに顔を染め素手で掴み掛って来る。


 真っ直ぐに突っ込んで来たのを横にずれて躱し、すり抜けたとき、剣を横なぎに振るい、首を切り裂く。


「ザギ!てめぇ、このクソ餓鬼がぁ!!」

 ザギの声を聴き、駆けて来たのだろう。四人ともそれぞれ剣を抜き突っ込んで来る。


 四人の突っ込んで来る動きは、ヤナにはゆっくりしとた動きに見えた。それぞれ動きがバラバラなおかげで隙が多くある。


 相手の剣を躱しては切り付け、それを繰り返す。そのたびに飛び散った血はヤナを赤く染め上げ、誰も起き上がらなくなった時には全身を返り血で赤黒く染め上げていた。


「……終わっ、た…」

 ポツリと一言呟くと、その場に剣を落とし近くの壁に背を預け、今まで忘れていた木刀を刀袋に入れたまま胸に抱き寄せ、ずりずりと座り込む。


 体の疲労より、精神的な疲労の方が大きい。もうここから移動しようとする気さえ起きなかった。


 今回、異世界初の戦闘です。


 次回ヤナ死んじゃうのか?てな感じですが、当然死にませんので。その代りに能力発動!!

 過去に起きていたことしか書いてなかったけど、次いよいよ不幸体質が発動します。

 異世界に落ちて早々殺されかけたことはどうなのよ!?というのは置いといてください。

             以上、終わり!!


 誤字脱字・感想などお待ちしてます。

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