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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
98/154

96

チガヤ王国言語を操るドラゴン、名は、ない。



『姫様の御子である貴方をずっとお待ちしておりました』


話が見えない!


「最初から説明してください」





約千年前。

チガヤ王国の国王の側室であった姫・キャサリン。

彼女はチガヤ王国では珍しくはない、竜の神子だった。

ドラゴンはその姫に仕えていた。

姫様は国王との間に子供を設けていた。

黒い髪に黒い瞳の、美しい少年。

国王が亡くなり、王妃に追われた姫は、子供を連れて逃げた。

それがこのハロンの山。

しかしその逃亡中、不慮の事故で子供は死んでしまう。

姫は自分の過失だと心を病み、あの魔方陣を描いた。

同じ魂を持つ者を、生まれ変わった子供のみを呼び戻すための魔方陣。

しかし姫は魔方陣にありったけの魔力を注ぎ、衰弱。

長くは持たず、子供が転移される前に亡くなった。






とりあえず。


「長く持っても千年じゃあ会えてないと思うけど」


「それをいうな。・・・魔方陣の話は出てこないが、チガヤ王国では割とメジャーな物語だな」



『姫様の願いは叶わなかったけれど、私は貴方に仕えるように託されました』


「と言われても・・・私が本当にその子供の生まれ変わりかとか、確かめようもないことだし」


『それは間違いありません。顔立ちも雰囲気も魔力の質も、すべてそのままでございます』


「・・・私は、どちらにせよ、現世の生活がある。元の世界に返して欲しい」


『・・・かしこまりました』


意外とあっさりだ。


『姫様がいない今、ご主人様は貴方1人。ですが今すぐという訳にはいきません』


「時期が決まっているということ?」


『いえ・・・あの魔方陣はこの山の魔力を少しずつ吸収して発動します。早くて半年、長くて4年程で魔力が貯まると思われます』


「半年から4年か・・・」


『はい。発動時期になったらきっとお迎えに参ります』


「わかった。お願いします」






ドラゴンとの邂逅を終え、山を下る。

下ればすぐにチガヤ王国だ。


「帰るんだな」


「・・・うん」


「・・・・・」


このしんみりがいやだっ!


別れは辛い。

出来ることならイチイも、レンやトマ、ヘレンたちとも勿論別れたくはない。

だからといって、元の世界にいる家族、友達、皆と別れることを選べない。




「帰るよ」




選べるのは片方。





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