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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
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イチイ・ディ・プリアレスト・ヒツジ。




国に認められ、男爵位を賜った。

そう聞くと大変なことのように感じるが、どうもそうでもないらしい。

研究者が何か成果を出し、王族の誰かがそれを認め、援助しようとなると男爵位を与える、ということになる。

それが新しい植物だったり魔道具だったり。

イチイの場合それが菓子であるだけだ。

因みにギルドの高ランク者も場合によっては爵位が貰えるらしい。


男爵になったことで発生する義務は、国菓子としてマカロンを普及させること。

そのために掛かる費用だったり何だったりは、応相談で援助されるという。

他にも細かい色々が増えたりはしたが、まぁそれくらいなら許容範囲内だ。

王宮に入れるのもちょっと楽しい。



マカロン普及に当たって一番必要なもの。

自動泡立て器とオーブン。

自動泡立て器は頻繁に魔力を補充しなくてはならないが、一応ある。

スーも使える。

オーブンは新しく作った。

温度調節機能がまだつけられないため、マカロン専用温度にして作ったのだ。

イチイのレシピでは200度である。

これでスーも焼成が可能になるので、マカロンの生産を増量できる。

バラ売りとセット売り、味のバリエーションもさらに増やした。

国菓子として販売ということで、元来の羊と国旗をあしらったパッケージになった。





今日はこの見本品をトゥレ、三の姫に献上しに来たのである。

王宮には男爵が研究成果を献上するための部屋がある。

それほど男爵が多い証拠でもある。

部屋は献上の間というのだが、正門から左手の入口から入る。

その入り口は王宮に仕える魔術師団や騎士団の入口と共通だ。

前回イチイの菓子のファンだという女性騎士や魔術師に声を掛けられたので、若干顔見知りも出来ている。

元々見知った顔だったりして、常連さんの仕事を知る機会となった。

確かに割と高給取りでないと頻繁には店にこれないだろう。


「待ってたわ!これが新作ね?」


「はい。従来のカカオ・マカロンをカカオでコーティングしました」


カカオというとややこしいが、要するにチョコレート味のマカロンにチョコレートクリームを挟み、それをチョコレートでコーティングした、チョコレート尽くしのマカロンだ。

見た目のかわいさは損なわれるが、味は良い。

イチイはマカロンの中でこれが一番好きだ。

他にもキャラメル味や苺味、チョコミント味も作ってみた。


「美味しい!さすがですわ」


トゥレは王族なので、一応毒見役を連れて来ていた。

そういう決まりらしい。

毒見役の侍女が食べてすぐトゥレも食べてたが、遅効性の毒だったらどうするんだろう。

まぁ入ってないけど。


「あぁ・・・役得です。このチョコミント味、良いですね。爽快感が堪りません」


「癖があるので好き嫌いが分かれるところですが、好きな人は嵌ると思います」


お茶を入れて貰ったので、宛らお茶会だ。


「ふぅ・・・美味しかったですわ。新商品も人気が出そうで何よりです」


「ありがとうございます」


「援助はいかが?何か必要なものはなくて?」


「今のところ、特には」


「そうですか・・・。何かありましたら遠慮なくご相談くださいませね」


「はい、ありがとうございます」


「微弱ながらわたくしもお手伝いさせていただきます故」


トゥレも毒見役の侍女も良い人だ。

売上が伸びたら業務拡大の援助をしてもらえるだろうか。

平日の日中店を開けるための従業員がほしいところだ。




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