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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
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翌週末、またもや茶会に招待された。

どうやら毎週末、茶会を開いているらしい。

それで週末になるとフォードがホール買いをするわけだ。



「ヒツジ様!お待ちして居りましたわ!」


トゥレの明るい歓迎に、イチイは少々身を引いた。

何このテンション。何事だろうか。

慎ましやかさを求められる貴族とは思えないんだが。


「うふふ、今日のお菓子、とっても楽しみでしたの!」


ああ、そういうこと・・・。

今回イチイの持参した茶菓子は、トゥレのリクエスト通りなのである。

色取り取りのマカロンにレアチーズタルト、ベイクドチーズケーキにマロンムース。

前回と同じ参加者たちも、チーズのお菓子に興味津々らしい。


「まあまあまあ!このタルト、とっても美味しいわ!」


目をきらきらさせてチーズを食す令嬢たちはかわいらしい。

しかし彼女たちは、一向にマカロンに手を付けない。


「見た目はかわいらしいのですけど・・・」


メレンゲ菓子と説明したのが良くなかったらしい。

イチイが思っているよりも貴族はメレンゲ菓子を倦厭しているようだ。

平民の菓子、と。

イチイは美味しければなんでも良いと思うのだが、それはやはり食べなれているからなのだろうか。


「・・・気に入らないわね」


トゥレのその言葉に参加者たちは息をのんだ。


「わたくしがすすめるものを、食べられないっていうの?」


途端に、空気が凍る。


「そうね・・・あなたたち、平民になればこのお菓子を食べるのかしら?それでしたら平民にしてさし上げてもよくってよ?」


仮面越しでもわかる、氷の微笑。

イチイはこの空気をどうしたら良いかわからない。


「ついでにヒツジ様を貴族にしてしまいましょう。そうすれば貴族が作るお菓子ですもの。誰もが口にするようになるのではなくて?」


「え・・・?」


戸惑った表情で彼女たちはイチイに視線を投げた。

たぶん彼女たちはイチイが平民であることも、ヒツジ商会の人間であることも知らなかったに違いない。

貴族は平民と同じテーブルに着かない、と聞いたのでイチイが平民などと思わなかったに違いない。

イチイは「ディ」であるので、分類は一応貴族になるのだが。


「そうね、それがいいわ。フォード、早速手配しなさい」


「・・・トゥレ様、しかしながら爵位を与えるにはそれなりの功績がありませんと」


「腕の良い冒険者なのでしょう?何か良い案件を探しなさい。それに、新しいお菓子の開発も国で取り上げれば良いのではなくて?そうすれば功績として充分」


「・・・畏まりました。仰せのままに」


何だろうこの流れ。

そして何故冒険者云々の話を知っている。


「ヒツジ様が貴族になればもっと公の場でもご一緒できるわ。楽しみね」


「・・・フォードさん」


説明求む。


「諦めてください。主は一度言い出したら聞きません」


「私はどうすれば・・・」


「貴族になって頂きます」


「は・・・」


どうか具体的に説明をお願いします!





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