表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
93/154

91

営業中、イチイは飴細工の練習をしながらスーを見る。

表はトマとロニが見てくれているので、最近は仕込みと仕上げをスーが1人でやっている。

焼成以外は問題なく出来るようになった。


イチイの飴細工も大分上達した。

元の世界ではこうはいかなかっただろう。

熱い飴に色粉を入れて引き伸ばし、形を作る。冷えると固まってしまうので手早く。

この熱い飴が曲者だ。

本当に、熱い。

だからイチイは熱魔法を使い飴の温度を保ちつつ、自分の手に防御魔法を使い練習する。

この方法なら大分難易度が下がる。

なので元の世界に戻ったら飴細工は出来ないだろう。


この分なら冬にツリーも作れそうなので満足だ。






魔道具も割と順調だ。

今は住居の方でレンとミカが取り組んでいる。

課題というわけではないので、レンが加わっても問題ない。

今のところ、電池作成に勤しんでいる。

空間魔法を使いその中に圧縮した魔力を閉じ込める。

言うだけなら簡単なのだが、これが難しい。

奇跡的に一つだけ成功したので、あとはこれが量産出来れば良いのだが、魔力にも底があるので一日にそう何度も挑戦出来ないのが難点だ。

イチイなら魔力に底がないのだが、店の営業もあるので難しい。


この魔力の電池は充電式なので、一度出来てしまえば充電は簡単という代物だ。

それは試作品で立証済みである。

100個作って1個も出来ない計算なので根気がいる。

イチイはスライムでレベル上げする気分に陥った。




「イチイ、フォードさんが来たよ」


「すぐ行く」


よく話す常連さんが来た場合、よっぽど手が離せない仕込み中以外は出るようにしている。


「いらっしゃいませ。こんにちは、フォードさん」


「こんにちは。今日は何がお勧めですか?」


「今日は色取り取りのマカロンを作りました。ただ・・・」


「ただ?」


「マカロンはメレンゲ菓子ですから、貴族の方は好まれないと聞きました」


「そうですね・・・貴族はバターを大量に使った焼き菓子やクリームを好みます」


「美味しいんですけどねぇ、マカロン。それにほら、こうして色取り取りのマカロンってかわいくないですか?」


カカオ・ブラウンは勿論、ラズベリー・ピンク、ピスタチオ・グリーン、オレンジ、ココナッツ・ホワイトなど見た目にも美味しいお菓子だと思う。

特に女性はこういうかわいらしいものが好きだと思うのだ。

籠にレース編みを敷きマカロンを詰めリボンを掛けると一層かわいい。

プレゼントに最適なのではと一つ作ってみたのだ。


「ほう、かわいいですね」


「あとはこちらのリコッタチーズのタルトもお勧めです」


「チーズですか!チーズのお菓子とは珍しい」


「チーズをたくさん頂いたので作ってみました」


レンのおかあさんから送られて来たのだ。

このリコッタチーズのタルトは販売用ではなく、試作品なのだが、フォードさんは特別なので良いのである。勿論試作品とはいえ完成度は十分だ。



「それでは両方頂きます」


「はい、ありがとうございます」




マカロンの籠をひとつ、タルトをホールでと相変わらず大量に購入する。

大家族なのだろうか。


「明後日は休日ですね。それではまた明後日に」


「はい、お待ちしております。お気をつけて」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ