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魔法使いの菓子屋  作者: クドウ
第五章
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冬期休暇明け。


折角の栗である。

店はシューフェアからマロンフェアに変更した。

ディスプレイはブッシュ・ド・ノエルとメレンゲ菓子のサンタたちを撤去、クロカンブッシュはそのままにいがのついたままの栗を転がした。

栗はあまり一般的な食べ物ではないらしく、珍しいので目を引くのだ。


「こんにちは。良かった、開いてますね」


「こんにちは、フォードさん」


上客基老紳士である。

冬期休暇中休業していたのでひさしぶりである。


「休暇中は営業されないのですか?」


「そうなんです、仕入に行ってまして」


これ、と栗を見せる。


「・・・初めて見ます、何ですか、これは」


「栗っていうんです。ご試食どうぞ」


マロンフェア期間中は、マロングラッセやマロンパイ、マロンムース、モンブランをメニューにしてある。


「サクサクとした生地とほくほくとした食感が良いですね。今日はこれにしましょう」


「ありがとうございます」


「それにしても・・・平日のお昼は営業されないのですか?」


「学校があるのでちょっと・・・」


「学校・・・?」


「えぇ、魔法学校の2年生なんです」


店内ではローブを纏っていないので、一見ではわからないのだ。


「魔法使いなのに、お菓子屋さんですか・・・」


確かに不思議な組み合わせではある。


「魔法を使うと便利なんですよ、菓子作り」


全自動泡立て器がない世界なので魔法を使わないとツライのだ。

他の菓子屋さんはすごいと思う。



「しかし、学生さん・・・そうですか・・・卒業後はどうするのですか?」


「一応、お店一本に搾る予定です。菓子作りに便利な魔道具の開発はしたいですけど」


元の世界に戻るまではそういう道具の開発もしたいのだ。

それを販売すれば家庭でも菓子作りが手軽に出来るし、菓子自体も一般に普及していくのではないだろうか。


「それは良かった。お店がなくなったら困ってしまいます」


「気にいって頂けて何よりです」


「しかし・・・あと2年は平日のお昼は営業していないと・・・それは残念ですね」


「まだ人を雇う余裕がないので・・・」


「他の方も、学生さんで?」


「そうですね、ほぼ学生で、無償で手伝ってくれてるんです」


「なるほど・・・」


先月はフォードさんのおかげで売上良かったし、ニトロプリアの自販機もあるし、このままいけば早めに学費も返せるだろう。

そうすれば正式にスーを雇えるし、他にも人を雇える。


「ではまた明後日に」


「はい、ありがとうございました。お待ちしております」











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